⑳年商10億円規模までの会社がコロナ後も生き残るために大事なこと~都銀出身・元焼肉店経営・元不動産投資家・地方在住、経営コンサル2年目の気付き
写真は先日、岡山県高梁市成羽美術館にて開催されていた、世界的芸術家、千住博氏の展覧会で撮影しました。若い感性を刺激するまたとないチャンスと思い、二人の中学生の娘らと一緒に行って参りました。素晴らしい美術館を作ってくれた先人たちに感謝せねばです。
企業の実態把握はどうやる?
今更ながら思うのですが、銀行員時代に行っていた財務格付の洗い替え作業(債務者モニタリング及び自己査定)はよくできていたと感じます。
決算書データからの定量的判定。
経営者からヒアリング情報を基にした定性的判定。
貸借対照表を時価評価し、できる限り実態に則した純資産額を算定。
業種のトレンドや今後の展望。
それらすべての要素を融合させて最終的な格付が算定されます。
銀行は許認可商売ですので、国から不良債権額を把握するよう指導されており、きちんとマニュアルが整備されていて、それに則り粛々と業務が行われておりました。当然のことといえば当然ですよね。
翻ってこれは経営者の立場から見ても活かせるノウハウです。
銀行は企業実態把握の目的を不良債権化のリスクと基準金利を決定するための、財務格付の判定に置く。
一方で経営者においては、自社の経営の指針や強化していくべき点を明確にしていくことが目的となります。
言い換えるならば、経営者自身が決算分析レポートを作成し、経営計画を策定すれば経営施策の精度を上げていくことができるということです。
自分で作成する資料に意味がある。
銀行やTKCなどの税理士さんが持ってくる、「システムに打ち込んで、ちょちょっとコメントを加えました」的なレポートを活用すれば良い、という考えではだめです。
あくまでご自分がオーナーの企業なのですから、ご自分が頭で考え、手を動かして、納得した上で作成しなければ空虚なものとなり、何の意味も持ちません。そしてご自分で作ったものならば、言葉に想い、つまり魂がのります。そうすることで初めて、ヒトを動かすことができるのです。
年商10億円の規模までの商いであれば、中堅企業や、大企業の一事業部に収まるサイズ感です。お一人で全体を把握する作業は絶対にできます。
オーナー経営者であれば多くの方が、金融機関に個人で連帯保証を差し入れていることでしょう。だからといって、「リスクを取っているからそんなことしなくていいんだ!」的な発言で経営資料を作成しないのは怠慢です。「従業員・スタッフの給与を稼いでいるのは私の営業の稼ぎのたまものだ!」という自負やプライドもあるでしょう。しかし、実態把握や、分析。それを踏まえた根拠のある計画無しには、いずれ大失敗をしてしまうリスクが存在し続けることでしょう。
これは私が経営者という立場に浮かれていてやるべきことをやっていなかった「大バカ野郎」だったから言うのです。
今、うまくいっているのは偶然にすぎません。成功率100%はありませんが、PDCAサイクルに真摯に取り組むことで、経営施策の成功率を限りなく100%近くに引き上げていくことは努力で可能です。
そして、努力しなければバンバン淘汰されていく時代が既に到来しています。
いろんな人から「コロナだからこそチャンスだ」的な発言を聞きます。
しかし、どんな時代も、即効性があって全てを一気に解決してくれるような魔法のようなものはなく、地に足を付けて、原理原則に基づいて、仮説を立てる。そして経営戦略と戦術を決定し実行し、現状を改善していく。
こういった地道な活動から業績はデザインされ生み出だされていくのではないでしょうか?
やってみて欲しいことのまとめ。
・銀行借入一覧表を作る。→毎月の金利と返済額を把握。
・過去3か年の損益計算を作る。→業績のトレンドを掴む。
・過去の36か月の売上、営業利益、現預金残高(出来れば借入額)の推移表を作ってみる。→資金需要と業績のクセを理解する。
・自社の決算の振り返りレポートを作成する。→経営の実態を把握する。
・経営計画を作成する。→仮説を立て、何にどう比重を置いて取り組むかを説明する。
・資金繰り表と資金繰り予定表を作成する。→今後の現金の推移を計画。
一部偉そうに聞こえるかもしれません。あくまでnote。ご容赦ください。
中村徳秀
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