㊼【折り返し融資が出ない!?】地方在住の経営コンサルが地方在住の経営者のために書くブログ。
写真は岡山県瀬戸内市に鎮座する牛窓神社です。牛窓海水浴場の横から参道が始まります。
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そもそも折り返し融資とは
本日は、昨今の銀行融資の姿勢について述べます。当然、地域や業種・業態、そして何よりも業績によって折り返し融資が出る出ないの判断はバラつきがありますが、大局観を掴んでいただけたらと思います。
セオリーとして
税引き後当期純利益+減価償却費=返済原資
となります。
運転資金の借入額を返済原資で割った数字が、完済までの期間として財務格付判定時に算定されます。7年~12年くらいの範囲の企業が多いのではないでしょうか。
そして、折り返し融資というのは、年間の元金返済額に年間の返済原資が満たない場合、当然現金は減少していき、資金繰りは次第に窮してきます。そこで、例えば当初の融資実行から3年が経過した当初5年で完済する約定の証書貸付などを巻きなおし、再びスタートに戻すイメージで新規融資を行います。これを「折り返し融資」「回収新規」「復元」地域によっては「練り返し」と呼んだりします。
出しづらい銀行側の理由
今出づらくなってきているのは銀行の通常融資、俗にプロパー融資と呼ばれるものです。その中でも、追加担保無しのものが特に出づらい状況になっています。
コロナ禍になる前。約3年前から既に大手都市銀行はいわゆる「新規社数」という社内評価項目を外していました。結局、融資を打ち込んだは良いが、その後の取引妙味のない先(銀行自身の商売の展開)が見込めない先には、コスト倒れのケースが増えてきており、不毛な意味のない表面的な新規開拓はすべきでないという至極合理的な判断がなされていたとのことです。
「そりゃそうだ。」
と私としては感じます。ということは、コロナ禍以前から、国が推し進める金融緩和の方向性があるにも関わらず、ある面では「いたずらに融資額を伸ばせばよいわけではない。」という判断が大手行ではなされていたわけです。
更に商売の原則として、新規顧客の開拓も必要ではありますが、王道は既存顧客へのクロスセリングです。
そして昨年来のコロナ禍で景況感は冷え込む一方です。元々、金融機関は長い歴史の中で淘汰による再編を繰り返してきました。いよいよ日本全体が抜本的に生産性を上げていくために全ての分野でリストラが実行されていくでしょう。(国の究極のリストラは道州制導入だと個人的には考えています。)
大手行は一旦、再編は完了しました。みずほ銀行の今後の行く末はわかりかねる部分はありますが。自己資本比率や収益性をいかに高い水準に持っていけるかが、各地域の金融機関の生き残りのカギになっています。
「お互い地域に根差して共に生きていく仲間として…。」というスタンスで多少の低収益性には眼をつぶっていた折り返し融資もシビアに判断していかなければならない時合いに入ってきたということです。
このような前提に加えて、具体的な融資打診の局面において
こういった理由でやんわり断られるでしょう。
・コロナ融資が既に出ている。
・(貸し倒れリスクを警戒し)保証協会付融資の空き枠利用を促す。
・追加担保の提供がなければ厳しいと保全面の強化の必要性を説かれる。
ということなどが挙げられます。
ではどうしていけばよいのか。いつの時代も原理原則に立ち返り、でき得る対応例は以下です。前回述べたように、まず銀行との定期的なコミュニケーションがあればベストであり土台となります。もし、していなければこれから行いましょう。
折り返しを断られそうになった時の対応
1.精度は粗くともまずは資金繰り予定表を作成する。
2.事業性評価に繋がる経営計画の策定。
3.遊休資産、未稼働資産の売却という自助努力。
4.個人資産の注入(役員借入・増資)という自助努力。
5.原価と販売管理費の削減に対する行動計画。
等々。
最後に
追加担保や担保の再編も状況によっては必要となります。しかしながらその場合は、借入行と借入本数を減らし、まとめることで返済負担の軽減や、ニューマネーの注入をするという合理的なうま味が出るように、じっくり考えねばなりません。
そして、資本性劣後ローンの利用も視野に入れるべきです。というよりもむしろ、挑戦すべきです。
折り返し融資が出ないなら、自社の経営をどう改めれば出るのか?という視点で根本的な経営改善を行うチャンスと捉えればよいと考えます。
資金調達などの資金面のケアの手段は無数にあります。先入観にとらわれず、様々な方に相談されてみてはいかがでしょうか。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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中村徳秀
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