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㊺【経営計画書に予想B/Sを記載しよう。】地方在住の経営コンサルが地方在住の経営者のために書くブログ。

写真は岡山市北区、749年に創建された金山寺の客殿です。過去の歴史に学び、未来に活かすことは色んな分野において今、まさに必要なことかもしれませんね。

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前回に取引金融機関によってなされる財務格付について述べました。その中で定量的な評価はもちろんのことながら、3次評価も意識することが大事であると触れました。そして今回はその3次評価の中においてB/S(貸借対照表)の実態評価時に適用される継続B/Sを皮切りに、経営に活かすための、貸借対照表の様々な考え方についてかみ砕いて書くことにします。

3種類のB/Sをご存じですか?

まずは、通常の決算書として扱われているB/Sはたいていの方がイメージできると思われます。中小企業を経営していく上で、経営者が常に意識しておかなければならないのが残り二つのB/Sです。

①継続B/S(存続価値)

➡資産を時価評価で計算し直した上で、経営を継続していく上で支障のない資産を売却したと仮定して算出される純資産額です。言い換えるならば、手持ち資産を売却しスリム化させた上で自社にはどれだけの純資産があるのかという指標となります。本当の純資産額とイメージすれば良いと考えられます。

②清算B/S(清算価値)

➡事業をたたむと仮定し資産を全て売却し、いくら現金として残るのかという数値です。不動産が売却可能か、再建築は可能かを考慮せねばなりません。ポイントは建物の解体費用を折り込んで減算することです。この金額を把握していると自社の置かれた競争環境や市場の将来性を理解した上で、事業売却であったり、事業売却した上での新規事業の立ち上げであったりと、選択肢が狭まる前の大きな経営判断をしやすくなるというメリットが想定されます。もし、マイナスであればそれをどう解消していくのかを計画に組み込んで行かねばなりません。

過去の経営の積み重ねが評価されるB/S

「業歴と純資産額にドラマが隠されている。」と私は考えます。繰越利益剰余金額を業歴の年数で割れば1年あたりにこの企業がどれだけの利益を積み上げてきたかがわかります。業歴の割に、もし純資産額が少なければ、過去に非常に苦しい時期がありそれを乗り越えての今があるのか。はたまた、現在、業況が芳しくないのか。過度な節税をし過ぎてしまった結果なのか。など色んな仮説を立てることができます。仮払金や経営者への貸付金などは、金融機関からすれば公私混同する経営者と判断されるリスクもあり、今後どう経営姿勢を改めていくのかなど、真摯に考えねばならない状況の企業も多くあるのではないでしょうか。

ここで私がお伝えしたいのは、B/Sは過去の通信簿のようなものであり、自社の特徴が多く表れています。強みや弱みを把握するための貴重な客観的な資料です。これを未来の経営に役立てない手はありません。3年後、5年後、7年後、10年後など期間を区切って、経営計画書に概算でも良いので、理想のバランスシートを記載することは、あるべき未来に向かいやすくなるきっかけや、追い風となるはずです。

「絵にかいた餅」と揶揄することなく、経営者の方々には現時点での自社のあるべき未来像を堂々と描いて欲しいと私は考えます。

「社長の性格はB/Sを見ればわかる。」「現預金と借入と純資産額に銀行は注目する。」「在庫は粉飾決算の温床」などB/Sにおいて格言めいたフレーズが多く存在しています。それだけ、企業の実態を示すよく来た資料ということですね。複式簿記日本に持ってきた福沢諭吉さんは本当に偉大なお方ですね。笑

補足・・・エクシヴなどのリゾート会員権、名門ゴルフクラブの会員権などは購入しても全然構いません。もしそれが純資産からの現金であれば問題ありません。要は問題はお金の出どころです。例えば利益の出ていない状況で、運転資金の借入からの一部を流用することが銀行からは特に問題視され、信用は失墜します。

まとめ

・今後、自社をどういう会社にしたいのか、数値で示される未来像として予想B/Sを経営計画書に記載することは目標達成の追い風になる。

・決算期毎の損益計算書にばかり目を向けて企業の追いかけるべき全体像としてのB/Sも忘れないように経営していくべき。

・継続B/Sを理解し、過去の時間軸に縛られたB/Sを常に現在価値に洗い替えし本当の純資産額を経営者は理解すれば的確な施策を打ちやすくなる。

・清算B/Sは自社の事業の「引き際」を測る上での重要な判断材料となる。

・身だしなみのように、究極に追い求めるB/Sをイメージすることは経営者としての発想を広げるヒントになる。

今回もお読みいただきありがとうございました。

中村徳秀

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