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大阪より京都に行きたかったナ【関西旅行記 最終回】

うん、昨晩投稿したばっかりなのだが、あれは毎日投稿の急務に追われていたためで、べつに今日の分を今書いちゃえばよくね?となったので続けて投稿することにする。一晩明けたので続けて、でもないか。

関西滞在三日目。前日夜の宅飲みののち、風呂にも入らずにリビングで寝落ち。雑魚寝スタイルである。家主が気を利かせてキンキンになった部屋を暖めようと冷房を切ってくれたのだが、今度はイビキをかく五人の放つ体温で部屋がサウナになり、酔いと眠りから醒めた僕ともうひとりが辛抱たまらずベランダに出て、真夜中に突然の談笑が始まった。本当は友人宅から程近いところにある駅前の繁華街まで散歩をしようと話していたのだが、メタルギアよろしくカードキーを探すわけにもいかず、運良くカードキーを見つけたところで今度は部屋に入るためのセキュリティコードを寝ている家主から訊けるはずもなく、結局ベランダでお茶を濁すはめになった。電車の音がうるさいのが難点だと家主は言うが、しかし駅が近いということもあって周囲はそこそこ栄えており、ホテルのネオンサインやコンビニの光が町を照らし、真夜中といえど通行人もまばらに居て、それらを見下ろしながら思出話に花を咲かせるのはなかなかにエモーショナルな時間だった。二人ともほとんど裸に近い恰好だったが、ホテルから見下ろす客ならばいざ知らず、マンションの上階を眺める人間などいるはずもなく、周りのことなど一切気にしなかった。
ひとしきり話したあと、そろそろ戻るか、と僕が切り出す。明日は一日かけて東京のほうへ戻るのだ。運転しないとは言え、助手席でナビゲーションなどのサポートを務めるので、夜のうちにたくさん眠っておかねばならない。とはいえサウナ状態の部屋へ戻るのはたいへんに億劫だった。
部屋に入る。屋外も涼しいというほどではなかったが、閉めきった部屋は予想通りかなり暑かった。先ほど起きたときに歯を磨いたので眠るための準備こそ出来てはいたものの、もう一度眠るにはちょっと苦労しそうだな、と思っていたところで家主がのそっと起き上がって冷房を点ける。僕と談笑した友人とで顔を見合わし、笑う。IQOSの充電ケーブルを借りてスマホに繋ぎ、布団も敷かずに再度睡眠体勢に入る。二日目の道程は不完全燃焼の感があったが、さすがに伏見稲荷での疲労のためにすんなりと二度目の入眠ができた。

翌朝……というよりも最早昼である。昨夜できなかった駅前の散歩をすることになり、そこで家主との最後の食事を摂る。空港が近いのか、異常に近い上空を飛行機が頻繁に飛び去っていく。マジで近い。ビルとビルの間を縫うように進む飛行機は、攻殻機動隊かくやあらんだ。
道中、トレカ自動販売機なるものを見つけ、YouTuberよろしく動画を回しながら買ってみるなどした。僕は遊戯王の500円オリパで、他二名がそれぞれポケカ、ドラゴンボールヒーローズの500円オリパだ。奇しくも遊戯王の原作者である高橋和希先生が逝去される直前だった。最近あまりトレカを買っていなかっただけに、久しぶりに買ったタイミングでの訃報にひどく狼狽えた。中身はスーパーレアカードが数枚、といった感じで、十中八九ハズレだったんだろうが、僕が寡聞にして詳しくないリンクモンスターだったので価値がまったくわからない。売るつもりもなければ値段を調べることもない。召喚方法もシナジーもわからないので決闘で使うこともない。オリパの開封結果としてはもちろん残念な部類なのだが、多少の思い入れはある、みたいなヘンなカードを引いてしまった。他の皆もそんな感じだったが、カードゲームをまったくやらない人間たちなので僕より価値を見出だすことに苦心している様子だった。なんで買ったんだよ。
駅構内と、そこに隣接したモールで昼飯に入る店を決める。ジャンキーなメンバーなので、多数決でもしっかり油ものが優勢であった。僕だけはソバを所望したはずだが、当然のように牛カツを食べるはめになった。地元を離れてから食べたものを(おやつ抜きで)羅列してみよう。うどん、まぜそば(地元から持参)、そばめしと明石焼き、酒、そして牛カツだ。うーん、こってり。粉ものに揚げ物しかない。うどんやそばめしはせめてもの抵抗のつもりだったが、この滾る「漢」の膳の前では怖気づいてOLが注文するようなヘルシーな一品をインサートする余裕などなかった。超弩級戦艦のオンパレードである。大阪が斯様な食文化を擁する土地であることは重々承知だったが、本来ならば京都で一息入れる手筈だったわけで、やはりかの地の美しい食事を楽しめなかったことは非常に悔やまれる。特筆すべきことでもないが、実は海老名サービスエリアで横浜家系ラーメンも食しており、このヘビーダーティな食生活に拍車をかけているのだ。ここでもひと悶着があり、件の運転手が散々、
「ここもなんか違うよね。あんま美味しそうなものない感じ」
と駄々をこねた挙句、遅疑逡巡ののちに結局三つほどサービスエリアを廻った。妥協というか、もう少し同伴者を慮ることができないものか。

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明石焼き。正式名称はもうちょっと長かったけど忘れちゃった。これは大阪に来たときは必ず食べているが、べつに大阪名物ではないらしい。ただ僕の中ではいつまでも大阪のソウルフードってわけ。……道理で大阪らしからぬ繊細な味がしたわけだ(真顔)。
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そばめし。びっくりするくらい美味しかった。これはハマる。ハンドルネームにするだけのことはある。
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牛カツ。「おかわり自由」の文字に釣られた運転手がここに決めた。思春期男子ホイホイである。もう23なんだケド。かなり美味しかったが、注文を間違えられたり、僕はそもそもファーストインプレッションが最悪だったりで不当な評価をつけられてしまった模様。ただ、控えめな量といいわさびを含めた各種薬味で細かくAJIHEN KANG-FU GENERATIONできるところなどは、ちょっと僕の求める理想的な食膳に近かったりする。

僕らが泊まった家の主と別れたあとは、上記においてみた如くたくさん寄り道をして東京へ帰ったのだった。旅行中、ことあるごとにスマホで動画をまわしていたのだが、容量節約のためにQHD画質に設定していたにもかかわらず総計36GBという厖大な量になっていた。撮れ高は微妙だったし、設定ミスで2224×1080という中途半端なアスペクト比(スマホの全画面サイズ)になっていて失笑を禁じえなかった。トリミングするか、いっそこのままちょっと横長なサイズで編集しちまうか。でもこのサイズ、シネスコ等と違ってかなり微妙なマスクが入る気がする……。

手放しで愉しめるような旅ではなかったが、数か月ぶりに直接会えた友人と思い出を作ることができたのでまあ良しとしよう。ほんとに疲れた。


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