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スポンジケーキ

長女が日本語補習校から帰ってきたと思ったら、スポンジケーキを焼き始めた。もう21時半を回っている。

「え、今から作ってたら23時とかになるよ」

と驚いて言ったら、明日(すなわち今日)は空手の進級テストがあるから焼けない。朝は寝たいから、という返事が帰ってきた。夜にケーキを焼く元気はないので相方に任せておいた、というかゼルダの迷路にハマってしまい、それどころではなかったのである。

今朝は台所でがちゃがちゃ音がするので目が覚めた。今度は朝の9時半である。

「また作んの?スポンジ膨らまなかった?」

確かに机の上のスポンジは半分にカットするには高さが足りない。分量通りに焼けばいいのに、なぜか型に全部流し込まず、カップケーキを別に作ったというではないか。

(そりゃ分量通りに焼かないと減るでしょうに…)

ツッコミどころが満載であるが、疲れている時に何かやろうとすると、あまりうまくいかないものだ。そういえば、長女があーだーこーだ言いながらスポンジケーキを焼いている間、長男の方は長女の部屋でなぜか完全に寝落ちしていた。ベッドを占領しているので起こそうとしたが「待ってまってまってまって」と日本語で寝ぼけながらしゃべるばかりで、全く起きる気配がない。仕方がないので、私と娘で足を持って動かしてみたが、くくく、と笑うだけでまだ起きようとしない。一体どうなってるんだ。

床でそのままのびてしまっているので、起きるまでそっとしておいたが、風邪をひかれても厄介なので大きめの声で「風邪ひくから起きて、ベッドで寝て!」と言ったら突然起き、パジャマに着替えて歯まで磨いて寝ていた。子どもって本当によくわからない。オンとオフの差が激しいのだ。

昨晩もおかしかったが、今朝も子どもたちのテンションが微妙におかしい。娘はギリギリに起きてきて、大慌てでスポンジケーキを作り直しているし、息子はハイテンションでゲームをしている。うるさい、うるさすぎる。

娘の方はスポンジケーキを焼くところまではできたが、生クリームを泡立てたところでタイムアウト。昼食をなんとか食べ、空手の道着をナップサックに押し込んでバタバタと出ていった。もちろん台所はそのままである。

(あー、土曜日の朝くらいのんびり過ごしたいものだよな)

と心の中でぼやきながら大量の洗い物を片付ける。天気もいいので走りに行きたかったが、ケーキのせいでタイミングも逃してしまった。だからこんなnoteを書いている。

別になんてことはない土曜日の午後。イチゴケーキのデコレーションがうまく行きますように、という気分である。

友人たちを訪ね、しばし歓談。携帯に目をやるとケーキの写真が送られてきた。うまくできたようだ。空手の方もふたつ進級できたらしく、帰宅すると廊下に認定証が2枚放り出されていた。

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