積読を並べてみた
子どもがひとり増えるたびに家の中の細々とした物が増える。増えていく。一体何が増えるのだろう。それはおもちゃや絵本だったり、衣服や靴、乗り物に教科書やプリント類だったりする。
ベルリンで一人暮らしをしていた頃はアパートの中がガランとしていて、友達が遊びに来るたびに、生活感が皆無だとびっくりされた。物を増やすことでサッと荷物をまとめて移動できなくなるのを恐れていたのだと思う。実際、1995年からベルリンで就職する2002年まではベルリンとモスクワを行ったり来たりする生活を送っていたのだ。今から思うと、よく一々ビザを取ってモスクワくんだりまで足を運んでいたものだな、と自分でも呆れてしまう。
移動ばかりしていた頃は日本にもそれほど定期的には帰らず、本をじっくり読むような生活を送ってはいなかった。それでもなぜか日本から「文学空間」やら「狂気の歴史」「現代思想の50人」など落ち着いて読むべき本は何冊か持ってきてはいた。本棚を買うまで、それらの本は段ボール箱の中で鎮座していたはずである。
そういえば、IKEAというところに初めて行って、本棚を買ったこともよく覚えている。ひとりで組み立てるのが大変だ、と言うと、なぜか数人くらいが家まで来てくれて一緒に組み立てるのを手伝ってくれたように思う。そうやって助けてくれる友人には恵まれていたようだ。ありがたいことである。
そのときの本棚だけでは到底足りず、最近は文字通り読みかけの本や気になっている本を積んでおくようになっていた。ご存じのように、本というものはなぜか積まれているとなかなか読まれずに時間ばかりが経過するものだ。一体、どんな本を積んであるのだろう、とその山を崩して本棚の上に並べてみることを思いついた。とにかく積まずに並べるとより可視化されるので、読む気になるのではないかと思ったわけだ。それに、あまりにも山が増えていて、何かをするたびに山を移動させなくてはいけないのにも辟易していたのでちょうどよかった。
並べてみると、何年も前に購入して忘れていた本、友人にもらった本、一時帰国中に自分で購入した本などが何冊もでてきた。でてきた、というより積まれていたのを並べただけなので、再認識できた、と言った方がいいのだろう。
積読だけではなく、美術館でもらったリーフレットやその他の無料配布パンフレットなどの類も並べておいた。ドイツはとにかく無料で入手できる資料がとても充実しているのだ。「民主主義について」「移民について」など、気になるテーマの資料がたくさんある。
とまぁ、そんなわけで今日は埃まみれになった土曜日だった。並べるスペースがなくて机の上に置かれた数冊の本からまず手に取ってみようと思っている。
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