夜勤二日目
デスクの前の時計を見るとちょうど1:11だった。まだやっと1時過ぎ。まだまだこれから先は長いのだ。昨日よりも静かな夜で、今のところセキュリティーが「スマホで電話していたり、子どもが騒いでいてうるさい」と言いに来たのと、食堂で子どもたちが飲み終えたあとのテトラパックをわざと踏み潰して大きな音を立てたので注意しに行ったくらいである。通常運転。
見回りをしつつ、散らかったゴミを拾ったり洗面所を軽く掃除したり。空になった水のボトルを回収したりプラスチックのコップを補充したり。やることはそれほどないので割とすぐに終わってしまう。
朝方に郵便物やその他に関するお知らせカードを書いたりするくらいだろうか。結局、夜勤というのは住民が問題を起こさなければそれほどやることがないシフトなのである。だから時間を見つけて(時間だけはいくらでもある)こうしてnoteを書いたりしているわけだ。本来なら業務中のスマホやコンピューターの使用は禁止されているが朝の7時半まで一体何をしろというのだろう。その辺はチームリーダーにもよるが割と大目にみてくれるようなので助かっている。決まりにうるさいドイツ人リーダーだとこうもいかないのだろう。今日のリーダーは昨日と同じアラビア語話者である。
1時過ぎだがまだまだ住民たちは起きていて人の行き来がある。昨日も大体3時くらいまでざわざわと騒がしかったように思う。夜型の人が多いのだろう。空調はありがたいことに昨日ほど強くはないので、今のところは長袖のブラウス1枚で事足りている。日中の気温が高かったせいなのかもしれない。
それにしても不思議な職場だなぁ、と毎回しみじみ思う。昨日と同じメンバー構成だがチェスで仲良くなった同僚は隣でひらがなの練習を始めた。ロシア語話者の同僚からは「なんで日本人だって黙ってたの?地震のあった年に東京や名古屋、大阪にいたんだよ!」とスマホで写真を見せながら興奮気味に話し始めた。タイミングが合えばたこ焼きパーティーをするかもしれない。
とまぁ、大変風変わりな職場なのだが住民もそれ以上に風変わりである。さっきも入り口のセキュリティーとビールの持ち込みに関して大いに揉めていたので止めに入ったが結局のところ毎回感じるのは偏見と言葉の理解不足による行き違いというのが1番の原因になっているということである。揉め事の原因は大したことがないのに、わかってもらえない焦りや苛立ちで声のトーンが大きくなり騒ぎになっているのだ。みんな一回落ち着こうか。
そんなわけで偏見はよくないよなぁ、と仲裁に入りつつ毎回感じている。偏見をなくすにはお互いの歩み寄りと何らかの意思の疎通が非常に大切になってくるので経験だとか教育というのは相互理解のためには欠かせない。
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