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映画や本・音楽について

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#映画

ヴィム・ヴェンダースのベルリン

日本で大学生をやっていたときは、その大半を映画や音楽鑑賞に費やし、大学では授業に出るよりも図書館で過ごした時間の方が長かったように思う。茶屋町のロフト地下にあったテアトル梅田にはよく通っていた。 映画を観るきっかけを与えてくれたのは、奈良の中高一環教育の学校で知り合った体育の先生である。体育の先生でもあり、バスケットボール部の顧問でもあった先生には中学1年で担任を持ってもらってからずっと懇意にしていただいた。体育の先生なのに英語の教師より英会話が達者だった。アメリカから交換

ひとり映画祭開催中

今月は相対的に仕事の量が減っている。正直、あまりよろしくはないのだけれど、まとまった時間があるときにしかできないことをしようと潔く映画を観ることにした。それ以外にも友人に勧められたシアターやオペラなどにできるだけ足を運ぶようにしている。 先日、キアヌで盛り上がったところなので、手始めに彼の出演作を中心に観ることにした。非常に単純でわかりやすい動機である。NETFLIXで検索してヒットしたものをまずは3本。 『ディアボロス』も『47RONIN』も豪華なキャスティングの割に「

空き時間を作って観た「ナヴァルニイ」のインパクトが強すぎた

今月は医者にばかり行くことになっていることは、先日のnoteで少し触れた。しかもその上に、自分で予定を増やし続けているような気がしてきた。 来月に3年ぶりの日本行きが迫っているので、それまでにまとめて色々とやっておこう、という気持ちになっていることは自分でもよくわかる。それにしても、お誘いや用事というものは重なるときは本当に重なるものだ。 元来、面白そうな話にはつい、飛びついてしまうという習性があるんだけれど、娘に良さそうな案件があったので「やってみたら」と半ば勢いだけで

ピョートル・ドマレフスキ『私は決して泣かない』父を訪ねて470里

大傑作。オラは不良少女として、成人もしてないのに酒は飲むしタバコは吸うし、車好きが高じて学校をサボってまで整備工場でバイトするような人物だが、母親と大喧嘩して家を飛び出ても、玄関に置いてあったゴミは一旦家に引き返してまで捨てる実は優しい性格の持ち主でもある。そんな彼女は、アイルランドに出稼ぎに行った父親とは仲が悪く、長年離れ離れなので人となりすらよく知らない。二人を繋げているのは、オラが運転免許を取ったら車を買ってくれるというお願いだけだ。ある日、父の客死を知ったオラは、家族