【インタビュー】No.7 吉田 彰文
座・高円寺劇場創造アカデミー出身のメンバーを中心として活動する、CTAラボによる演劇創作プロジェクト。2023年度は劇作家・演出家の松田正隆を迎え、小津安二郎の映画『東京暮色』(1957)をモチーフに東京の現在を描いた新作『東京トワイライト ー強盗団と新しい家ー』を上演します。
本プロジェクトに参加するアーティストへのインタビューを複数回に分けて掲載します。第6回目は、俳優の吉田彰文(よしだ・あきふみ)さんです。
これまでの活動(表現との関わりや経歴)について
アトリエ劇研という京都の劇場で開催されていた演技のクラスに通ったらすごい楽しくて、そのときに出会った人に勧められて、バックパッカーで20カ国を10ヶ月間旅をしました。その旅の中でやりたいことが見つかるのかなと思ったんです。インドが一番長かったですね。泊まり込みでヨガをするアシュラムっていう道場があって、そこに2週間ぐらい滞在しました。
演劇に救われたという思いがずっとあって、それを超えるものがなかったんです。旅の中で役者という職業以外に自分が楽しく仕事にできるものはないっていう結論に至って、帰国してから座・高円寺劇場創造アカデミーに入所しました。
修了してからは、受けたいオーディションがあったら受けてみたり、アカデミーの修了上演修了上演に毎年出演していました。
CTAラボに参加しようと思った理由
京都で演劇をやっていたときから、松田さんのマレビトの会を観劇してたんです。作品を見てすごい衝撃を受けて、それでいつか俳優として関わりたいなって思ってて。今回松田さんが座・高円寺で、アカデミー修了生たちによる舞台作品を作るということで、こんなチャンスはないしオーディションを受けるしかないって思いました。
今回の作品について
あまり演技をすることをもとめられなくて、どちらかというと演技をしないで欲しいって言われています。それはどういうことなんだろうって思いながらやっていました。でも劇世界の、例えば家の中にいるとか、コンビニの中にいることとか、想像力と集中力がすごい求められてるなと思ったし、もっとその想像を具体的にしていく必要があるんだろうなって思います。
演技をしているとき、想像の中にずっと存在している状態になっていくと、何か頭がぼうっとしていく。そういう状態で通しをすると、通しの後もみんな静かに過ごしてて、その静けさが面白いなと思ってます。お客さんに能動的に見てもらって、劇場から出たあともそれぞれの中で想像を膨らましたりできるような作品だなと稽古の中で思いました。
東京について
最近は高尾山によく登りに行ってます。モヤモヤがあるときに考えながら登って、降りたときには、その問題が解決していることもよくあって、これは運動がてらいいなと思ったんです。旅に行ったあとは、日本っていう国はすごい平和で、便利だなっていうのをすごく感じましたね。東京はその中でも最先端が集まっている中心地っていうイメージです。できることなら海の近くに住みたいけど、役者で食べていくには東京のほうがチャンスが多いし、離れるというのはちょっと考えられないですね。
聞き手:森田諒一