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*続 結婚式記念日

続いちゃったよ。


えー、新婦といえば、大きな仕事がひとつある。

花嫁の手紙。

家族に送る感謝の言葉。

結婚式の定番だ。

そんな訳で原稿の傍らで「花嫁の手紙のプロット」も製作。

せっかくやるからにはここぞとばかりに本気を出して周りを泣かせてやろうかとも思ったのだが……家族に手紙なんて書いたことはないし、なんて書こうか。

とりあえずwordを開いて下書きを書いてみる。

まずは姉に対する感謝の言葉だ。


『姉ちゃんは、私のヒエラルキーの頂点に君臨しています。』


違う。そうじゃない。

いや、合っているのだが、こんなところで姉を公開処刑する訳にはいかないし、そもそももうすでに姉に頭が上がらないことはバレている。

ひとまず敬っていることを書いておいた。


そして、父。

父宛ては恥ずかしながら下書き段階で泣いた。

なので「こんな序盤で泣かないようにせねば」と色々文脈を弄った。

懺悔と本音と、そして感謝の気持ちを。

拙い文章ではあるが、そっとここに書き記しておく。


『みなさま、本日は私たちのためにお集まりいただき、本当にありがとうございます。拙い文章ではございますが、この場を借りて家族への感謝の手紙を読ませていただくことをお許しください。

姉ちゃん

歳が離れていることもあり、姉ちゃんは小さい頃から私のことを可愛がってくれました。多分、喧嘩らしい喧嘩はしたことがないはずです。

これも全部喧嘩の前に姉ちゃんにしつけられていたからですね。

どうやら私が姉ちゃんに頭が上がらないことは周りのみんなにもばれているようです。

なんせ姉ちゃんは美術系の学校に進学できるくらい美術センスも優れているし、勉強も運動も、文章の上手さですら敵わないと感じております。

私にはないものをたくさん持っている姉ちゃんですが、それでも何一つ嫉妬心が生まれないのは、心の底から姉ちゃんのこと尊敬しているからです。

なんでもできる姉ちゃんのことを誇りに思っています。

まだまだ頼りない妹ですが、少しでも姉ちゃんの役に立てるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします。


お父さん

自由奔放で、いつも無邪気なお父さん。

「コンビニ行ってくるわ」のノリで「来月海外行ってくるわ」と言うほど行動的でなかなか家にいないくらい多忙なのに、中学1年生から男手一つで私を育てるのは本当に大変だったと思います。

本来なら私ももっと家のことを手伝うべきだったのに全然器用じゃないし、高校の時なんて入学早々に体調を崩してしまったから、たくさん心配と迷惑をかけてしまいました。

あの日のことを振り返るととても情けなく思ってしまうのですが、それでもお父さんは何一つ文句も弱音も吐かず、ここまで育ててくれました。お父さんには感謝してもしきれません。

お父さんがくれた誕生日のメッセージは未だに私の胸に残っています。

「お誕生日おめでとう。これからも幸せにね」

お父さんの言う通りです。確かに悲しいことも寂しい思いもいっぱいしてきたけれど、私はこれまでもずっと幸せでした。

○○(新郎)君も私のことを幸せにしてくれた人の一人です。そんな人の隣にいられるのですから、この先もきっと大丈夫。だから、安心して見守っていてください。


そして、○○君のお父さん、お母さん

こんな私を温かく迎えてくださり、ありがとうございます。

まだまだ至らないところばかりですが、これからもどうぞよろしくお願いします。

また、お忙しい中、ご列席してくださったみなさま。

こんなにも多くの方々に祝福していただき、本当に嬉しく嬉しく思います。

こうして今日の佳き日を迎えることができたのもみなさまのおかげです。

特に早くに母親を亡くした私に目をかけ、支えてくれた親族、ご近所のみなさま。心より感謝申し上げます。未熟者の私たちですが、これからもご指導のほどよろしくお願い致します。


最後にお母さん

(この場にいないのはわかっているのですが、お母さんにも感謝の気持ちを言わせてください。)

十三年間、これ以上ないくらいたくさんの愛情を私にくれてありがとうございます。

もし天国という場所があるならば、そこで私たちの門出を祝ってくれていることを願っております。

どうかこの思いが、お母さんにも届いてますように。』


( )にしたところは、泣いてしまって喋れなかったからカットしてしまった。

いや、言えなかった。

いろんな人から「お母さんも見てるよ」と言ってくれたから。

そんな訳で恥ずかしながら泣いた新婦の手紙だっから、あとから映像を観てみると嗚咽が聞こえるくらい会場もめっちゃ泣いてたので良しとしよう。


あ、心配していた新郎の挨拶だが、なんと一発本番で完璧に熟した。

や、やるやんけお前……

ただ、その後四次会までやり、0時を越えた途端に酔い潰れてくたばった。

新郎からただの旦那に戻った瞬間だった。シンデレラかお前は。

まあ、君も頑張ったし、私も頑張ったし、これもまた思い出。

あの日の写真は、今でも私のスマホのフォルダに色あせることなく輝いている。

お後がよろしいようで。

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