映画感想「オンリー・ザ・ブレイブ」
オンリー・ザ・ブレイブ (2017年/134分/アメリカ)
「炎は怖くない。恐れるのは、愛する人の涙だけ。」
私はこの手の、西野カナ的キャッチコピーが苦手でして、「愛」「守りたい」「会いたい」とか、ポスターに踊る文字が大嫌いである。
この映画も、劇場で公開される前に、やたらと大仰な予告編を見て、回避した次第。
がしかし、今回は声を大にして、こちらをオススメしたいのです。
妻のことは愛しているが、狂気のじみたくらい、炎に魅せられている主人公。
演ずるはジョシュ・ブローリン(アベンジャーズの「サノス」の中の人)。
もう一人中心になるのは、クスリに溺れ、歌も詞も作れない槇原敬之状態(つまりクズ)だが、消防士として再起をかける青年。
演ずるはマイルズ・テラー(「セッション」の虐められる人)
あとはその周辺に、消防士退院や家族たちが配置され、物語を紡いでいく。
なるほど、消防士版「海猿」みたいなやつね。
と思ったでしょう。
私もそう思ってました。
でも、全くそんな映画ではありませんでした。いや、別に海猿が悪いってわけではないんですけどね。
キャッチコピーとして踊る、
2013年アリゾナ。未曾有の巨大山火事に、たった20人で立ち向かった男たちがいた――。
正直、ここすらも、本来ネタバレです。
一応物語のクライマックスとなる山火事があるのですが、焦点はそこではないように思えます。
意外なくらい、消火活動シーンは短い。
てっきり、ずーっと事件に立ち向かっている映画かと思ったので、最初は拍子抜けしました。
代わりに、挑戦・挫折・成功・失敗・軋轢・喧嘩等々、どこにでもある出来事を過ごし続ける、ライフイベントシーンが多め。
ある一つの山火事ではなく、流れる人生の一つの結果として、事件がある。
事件のための映画ではなく、「人生の結果として」。
重要なので二回言いましたが、ここ、重要です。
とにかく見てほしいです。
自分が、あまり事前情報を入れずに鑑賞した分、この映画のことは何もこれ以上検索せずに、見てほしい。
やろうと思えば、どれだけでも、ベッタベタに描けた物語ですが、サラサラと進んでいきます。
食い足りないなと思っていたら、鑑賞後には絶妙な塩梅だったなと気付かされる次第。
不満な点も数多くある気がするのですが、好きな点が上回っているので、出来不出来はもうよくわからん。
これが、期待せず観たから故に気に入ってるのかどうかも、よくわからん。
ひとつだけ、ここだけは事前情報として。
劇中、「ホットショット」という単語が頻出します。
なんのことか、いまいちわからず見ていたのですが、鑑賞後検索すると、
ホットショットとは、アメリカでは消防界のネイビーシールズとまで言われる対山火事の精鋭集団。
なんだそうです。ほへー。
それだけ頭に入れたら、ぜひどうぞ。これ以上は検索せずに、どうぞ。
「オンリー・ザ・ブレイブ」は、Netflixやアマゾンプライムビデオで観られます。
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