見出し画像

容姿の威力/「愛の不時着」と香港

3週間ほどかけて、ようやく「愛の不時着」を完走することができました。

韓国映画といえば、「オールド・ボーイ」と「殺人の追憶」と「息もできない」、つまり泥臭い作品にしか、食指が動かない私。
韓国恋愛ドラマ、かつトータルで尺がおよそ20時間(約1時間半✖︎16話)。
そんな作品を、ニヤニヤしながら完走してしまうとは、成長した自分を褒めてあげたい。

ご存知の方も多いと思いますが、簡単なあらすじはといえば・・・

韓国の財閥令嬢かつ経営者の女性ユン・セリが、事故に巻き込まれて北朝鮮に「不時着」し、そこで出逢った北朝鮮軍人リ・ジョンヒョクと恋に落ちる

という。

当然、半島の分断という現状がベースになっていますが、基本線はラブコメですので、全く重苦しくはありません。

「愛の不時着」そのものを語ろうとすると、章立てにして長々としてしまうほど気に入ったので、それは別の機会にとっておくとして、、、。

今回お伝えしたいのは、私が本作で最も強く印象に残った点であり、現実のニュースに触れて、改めて痛感したこと。

それは、「容姿の威力」である。
どんなに建前を弄し、ルッキズムだのなんだの言っても、みんな「美しいもの」には心惹かれてしまう。

こちら、北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョクを演じるヒョンビン。

画像1

静止画でも素敵、動くとなおのこと魅力的。

無理やり例えると、藤木直人と竹内涼真を足して、灰汁を抜き、好青年に純化させた雰囲気。
※二人が好青年じゃない、という意味ではない。

男女問わず、劇中の登場人物は、リ・ジョンヒョク氏が大好き。
怪しくても、全然疑わない。
敵役も、「こいつ、ほんとは良い奴だな」と、半ば信頼しながら粘着する始末。

ほんとはおかしいんですけどね。
このリ・ジョンヒョク氏、幼なじみの婚約者を10年間放置しても平気な顔してるし、悲しみに暮れると湖畔でピアノ演奏しちゃうし、傍目から見れば、結構キテる奴である。
だが、リ・ジョンヒョク氏に出逢えば、みんなメロメロ。心を許しちゃう。

だって、かっこいいから!
誠実な雰囲気の美男子ってのは、得が多い。
「北朝鮮」の「軍人」という、最大の警戒に値するはずの偏見や先入観を、秒速で吹き飛ばしていく。

彼は中隊長で、腹心の部下たち(みんな良い味だしてる)が影に日向に支えてくれるのですが、ヒロインのユン・セリは、露骨に美男子差別をする。

画像2


特に、左上のチョ・ピス氏のへ扱いがひどい。
悪態をつきながらではあるにせよ、やってる行動はリ・ジョンヒョク氏と大差ないのだが、全然尊重されないのである。

軍事境界線で分断される以前に、人は生まれながらに分断されているのである。
という、メッセージなのかもしれない。

これは現実の話ですが、香港が話題です。
「民主の女神」周庭さんが連日取り上げられています。
「『自由で美しい』香港」の具現・擬人化を、一身に背負っているような印象を受けます。
なんつっても、「人呼んで」女神ですからね。
自称神様は数多いですが、他称神様となれば、みんな彼女の外見と内面に相当惹かれているでしょう。

彼女ひとりに過剰にフォーカスするのも、民主派を分断を目論む、当局の陰謀じゃないのかしら、とうがった見方をしてしまう。

有史以前より、人間は美しいものが好き。これは認めなくてはならない。
というか、生き物は全てそうだ。
昆虫があんなに珍妙怪奇な風貌なのも、そうすれば、勝手に敵が避けてくれるからである。進化ってのは、時に悲しい。

もし私のところに、敵陣営の女性が空から落ちてきたとしても、絶対に恋愛には発展しない(僕は好きになるかもしれん)。なんなら、彼女は、身の危険も顧みずに、自首するだろう。

もしくは、私がもし闘争の末に逮捕・勾留されて、「不協和音」を頭の中で流しても、気味悪いだけでしょう。

様々な外因・陰謀に負けず、分断に負けない強い気持ちを、心の中で燃やしていきたいです。

がんばれ、香港。なんだその結び。

この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,736件

自分に何ができるかはわかりません。 しかし!夢への第一歩として、一層精進いたします。 どのような形でも、読者の方々のリアクションは励みになります!