ストレングスファインダーを「心理テスト」で終わらせないために
珍しく仕事関係のお話。
先日、初めてストレングスファインダーを受検しました。受けてよかったなーとは思っているのですが、これ一本でヨシ自己分析完了! と思ってしまうと少しもったいないかもしれない、とも感じたのでメモしておきます。
結構流行っているのでご存知の方も多いと思いますが、ストレングスファインダーは自分の「強み」を分析するための診断のひとつです。117の質問に答えていくと、「責任感」や「コミュニケーション」といった34の資質の中で、自分の強みがどこにあるかをレポートしてくれます。
私が受けたのは簡易版で、質問の数は変わらないのですが上位5つの資質のみ教えてくれるというもの。フルバージョンでは34すべての資質についてのレポートが見られるらしいので、どちらを受けるか選べるときはフルバージョンの方がよいかもしれません。
もっと詳しく知りたい、という方はこちらを。
受けてみたい! という方は公式ページから申し込むか、最安値は以下のような冊子を買っての受験みたいですね。
1.ストレングスファインダーの結果
ちなみに私の上位5資質はこちら。
1位:内省
2位:戦略性
3位:運命思考
※文面がちょっとスピリチュアルっぽいけどそうではなく、人と人とを結びつけて関係性を構築することが得意だよ、みたいなニュアンスのようです
4位:学習欲
5位:個別化
か、かたより~~~~~!!!(IKKOさんの声で)
34の資質は大きく
実行力(目標の達成に向け努力を惜しまない)
影響力(主導権を握り周囲の人間を動かす)
人間関係力(他者と円滑な関係を築き、チームの絆を強化する)
思考力(周囲の状況や情報に対して的確に思考、分析、判断する)
の4領域にカテゴライズされるのですが、私の上位5つの資質は思考力(内省、戦略性、学習欲)と人間関係力(運命思考、個別化)のどちらかに収斂し、影響力と実行力が皆無の結果となりました。一言で言うと人当たりの良いオタクといったところでしょうか。
同時に受けた人たらし系営業マンの結果を見せてもらうと、影響力4×人間関係力1の構成でした。みんな割と偏るものなのかな。補い合って生きていこうね。
で、レポートを読んでると普段の自認とはまあまあ合致するものの、ちょっと意外な印象も受けました。というのも3カ月ほど前に私は研修でヒューマンアセスメントも受けており、その結果と今回のレポートの内容にそこそこのずれがあったのです。
2.ヒューマンアセスメントの結果と、ストレングスファインダーとの乖離
私が受けたアセスメントは、1日がかりでグループワーク、インバスケット、アセッサーとの面談を行い、その取り組み方からディメンションを測ってもらうというものでした。
ここで私の強みとされた上位3つの性質はこちら。
※解説文は口頭でのフィードバックを私がメモした内容なので、厳密な定義ではありません。
1位:バイタリティ
→ストレングスファインダーの4領域でいうと上位5位にひとつもはいってこなかった「実行力」に分類されそうな資質が、アセスでは一番強く出ました。本筋と関係ない話ですが、これに絡めたフィードバックで「仕事で泥臭く汗をかくことを厭わないタイプですね」と言われたのが、個人的には一番うれしかったです。本社機能の中でずっと仕事をしていると、そういう感覚から遠ざかっていきそうだな、というのが心配だったので。
ストレングスファインダーで対応する資質はおそらく「責任感」あたりになりそう。
2位:柔軟性
→これはストレングスファインダー第5位の「個別化」と似ていると言えないこともない…? でもどちらかというと「調和性」のほうがニュアンスが近いかもしれません。
3位:感受性
これはストレングスファインダーの資質でいうと「共感性」に近いですね。
ということで、二つの診断結果の差異をまとめるとこんな感じでしょうか。
ストレングスファインダーでは最も強く出た「思考力」に関する資質が、アセスの上位ディメンションには表れてこなかった
次に強く出た「人間関係力」に関する資質はアセスでも強く観測されたが、その中身まで一致するものはなかった
アセスでは「持続力」が最も強みとされたが、ストレングスファインダーでは特に上位資質として表れていない
どちらも多くの資質を並べて順位付けしていくタイプの診断なので、強みとして診断結果に表れてこないことが即座にその資質に欠けていることを表す、というわけではありません。
ただその点を考慮したとしても、ふたつの診断結果には大きな乖離があるなあ、と感じました。
3.なぜずれが生じたか
なんでこんなずれが生じたのか、ということを考えてみたのですが、どっちの診断のほうが精度が高い低いという話ではなく、同じ「能力分析」のツールでも診断方法によって見えてくる側面が異なるのだろうな、という結論に至りました。当然の話かもですが。
■自分で自分を掘り下げるストレングスファインダー、初対面の集団に放り込まれるヒューマンアセスメント
ストレングスファインダーの受験方法は冒頭で書いた通り、大量の設問にひたすら答えていくというもの。他者の視点は一切介在せず、ただ「自分の価値観」を突き詰めていくようなスタイルです。
これに対してアセスは、初対面のグループ/初対面のアセッサーに受験者を相対させ、その中での振る舞いを見られるという内容がメイン。いやおうなしに「他者から見た自分」があぶりだされることになります。
また、アセスに関しては当日の状況の特異性も考慮する必要があると感じます。
例えばグループワークは「その日限りのチームで、限られた時間の中ある程度のアウトプットを目指す」という性質のものなので、普段の仕事の仕方とはちょっと違った動きになっていたかも。
そういえば私は今採用担当を外れているのですが、グループワークの際は年下のメンバーが多かったこともあり「新卒採用の現場で学生とやりとりしているとき」に近いマインドで臨んでいた覚えがあります。初対面の人物(新卒採用の場合は応募学生。今回の場合は、チームのメンバー)と早急にある程度の関係性を構築し、相手にリラックスしてもらい、率直な言葉を引き出していくことを最優先する意識。そりゃあ感受性も強く出るだろうよ。
あれが既に関係性を築けている同僚との会議だったり、自分がいま実際に担当している仕事に関連するテーマだったりしたら、ふるまい方は大きく変わっていただろうと思います。
■WILLとCAN、より知りたいのはどっち?
上記のように書くと「客観的な自分がわかる分アセスのほうが精度が高いのでは?」と感じられるかもしれません。
確かに、「他者から自分がどう見えているか、どのような能力を持っていると評価されるのか」ということを知るには対面アセスのほうが納得感があるのでしょう。
ただストレングスファインダーの精度が低いというとまったくそうではなくて、こちらでは自分の価値観ややりたいことが強く浮かび上がってくるということなのかも。
キャリアを考える上ではよく
WILL:やりたいこと、ありたい姿
CAN:できること、所持しているスキル
MUST:担っている役割・義務、周囲から期待されていること
の視点を持つことが大切だといわれています。
ストレングスファインダーではひたすら「自分が仕事で重視したいこと、得意だと思っていること」を掘り下げていくぶん、この3つのなかではよりWILLに寄った結果が表れる印象です。私の場合、第一印象として「この資質が必要とされる業務のアサインにはテンションが上がるな」「この系統の仕事はストレスなくできるな」というような結果が出ました。でも同時に、客観的に見てどうなのか、という点が気になりました。これはあくまで自分の主観なので、できればレポートを一緒に見てワイガヤできる相手がほしい。
※受験後直属マネージャーにレポートを見せたところ、わりと面白がっていろいろ話してもらえました。ありがたい。
※ストレングスファインダーの結果を用いてキャリアコーチングをしてくれるサービスもあるようですね。
で、アセスはCANに強いのかな。第三者視点で顕在化している能力を見てもらえる、というか。慣れ親しんだいつもの業務とは全く違う環境でワークを行う分、自分の思考や行動のクセが取り繕えずに出やすいんだろうなと推察します。
※じゃあMUSTは? というと、まあ役職や業務のアサイン状況から推して図ってくれやという話かもしれませんが、手っ取り早いのは上司とのコミュニケーションでそういう話に持っていくことでしょうか。
4.ツールはツールなので上手に「使って」いこうね
ふたつの診断を受けて、私がストレングスファインダーに抱いた印象をまとめるとこんな感じです。
仕事をするうえで重視する価値観や得意なこと、取り組み方のクセを手軽に分析できる。
「やりたいこと・得意なことがわからない」状態の人には特に有用かも。
あくまで自己診断なので、客観的にどうか(ex.実際に一緒に働いている人が診断結果を見て腑に落ちるか)はまた別の話。
勤め人の方で上司との1on1なんかが気軽にできる環境であれば、診断結果を見せつつ普段の自分の姿とのギャップなんかを聞いてみるのがいいかも。
権威性もあるし受験して納得する部分も多くありましたが、ツールとしての特性を踏まえて「どう使うか」を考えないと単なる心理テストで終わっちゃう危険もあるな、と感じました(他の診断ツールも同様なんでしょうが)。
ちょうど今は上期の業績を振り返る時期なので、まずは「強みとされた資質をちゃんと使ってお仕事できているか、できていないなら何故なのか」という点を自己点検してみたいと思います。
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