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深淵なる助詞の世界よ(または、ある推敲の記録)

※特に言語学に知見があるわけでもなんでもない人間の与太話です

ところで皆さん、文章を書いた後に推敲ってされますか?
私はぼちぼちです。書いた直後にする~っと公開してしまうこともあれば、わりとねっちり読み直してあれやこれやいじることもあり、といった感じ。

先日書いた菓子パンnote(なんだそれ? と思った方はこちら)はそれでいくとややねっちり型だった……というか、変な袋小路に入ってしまったパターンだった。

無性に菓子パンが食べたくなってしまった。

菓子パン愛を語らせて

という最初の一文。この一行をためつすがめつするうち、

あれ、これって「菓子パンが」でいいんだっけ? 「菓子パンを」のほうが文法上正しいとか、そんなことはなかったっけ?

という、謎の疑問が湧き上がってきたのである。
母国語の文法って難しいよなあ、と、文章を書くようになって改めて思う。他言語や古語とちがって、しっかり学ぶ機会がないもの。でも別に日常生活では意識しなくても困らないから、なんか感覚で使えている気になっていると、ときどきこうやって足を取られる(私だけですか?)。

えーっと、この場合「菓子パン」はSVOCで言うところのO(目的語)。え、合ってる? 大丈夫?
で、「を」とか「が」は助詞でしょ。「目的語 助詞」で検索してみるか。

検索してみた

あ、やっぱり「を」がメジャーなんだ。え、でもやっぱり、「が」も普通に使う気がするんだけど、私なんか勘違いしてる?

さらに検索する

結構論点になる話題っぽい。なんだか安心する。

で、このページが私としては結構面白かった。

【「結果が/を出せる」のどちらが自然ですか という問いに対して】
(略)日本語の文法としては「を」ではなく、「が」を使うのが正しいけれども、実際には話し言葉でも書き言葉でも「が」と「を」どちらの表現も観察されるのです。(略)
 実は、この格助詞「が/を」のゆれは可能形に限ったことではなく、他に「〜したい」などの願望形、「好き」、「嫌い」、「分かる」、「出来る」、「欲しい」のような述語を使う時にも見られます。日本語では、通常「りんご食べる」のように、目的語を示す時に格助詞「を」使いますが、これらの動詞は「が」を使う珍しい例です。

上記ページより引用 【】内は私の補足

これを読む限り、今回躓いた「食べたい」、つまり願望形に対しては「が」を使うのがセオリー、という感じなのかも。願望形でも「行きたい」だと、「~行きたい」というのが正しかったりするから、もちろん一概には言えないんだろうけれど。
さっきのページでは助詞のゆれの発生の仕方が世代ごとに異なるとかそういうデータも見られて面白かった。さらにページ内で紹介されている『現代日本語書き言葉均衡コーパス』、初めて知ったんだけどこんなのあるんだ! おもしろ~。

……という感じで、なんだかとても遠いところに来てしまいましたが。
とりあえず私の中では「菓子パンが食べたくなった」でも「菓子パンを食べたくなった」でもかまやしないさ、という結論が出た。「が」がセオリーという感触もありつつ、まあどっちでも誤りとまでは言えないんだろうな、という、のんべんだらりとした結論である。

じゃあ、どっちにしよう。(本題)

どっちでもいいところをどっちかに決めなければならない……と再び考え込んで、結局「が」に決めた。

なんでって?
いや、ここからはもう、何の根拠もない私の感覚論というかなんというかなのですが(だからメンバーシップ限定にしますが)。

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