見出し画像

婚活体験記 その7

前回まではこちらをご覧ください。

と、いうわけで
先に決まった営業職さんとのお見合いに行くことになった。
場所はいつものホテルのラウンジである。
難なくお見合いが始まった。いつもの感じである。
彼はかなり話が上手かった。
聞く姿勢を持ちつつ、自分の話もよくしてくれた。
敬語だが、距離を感じさせない喋り方で、初対面とは思えない。
話題も豊富で、時事ネタからアニメの話まで、何でも知っていた。
ユーモアセンスもあって、要所要所で笑わせてくれた。
初めは当たり障りのない話題の話をしていたが、
段々と最近見ているアニメや、YouTubeの話で盛り上がった。
いきなり趣味について深く話せる人は少ないので、嬉しかったし、
単純に、楽しかった。
大学の友達に再会した感じ。
恋愛かどうかは分からないが、それは今はそれほど重要ではない。
会うのが億劫でないか、ということが重要だった。
私は交際希望でお返事をした。

趣味も合うし、一緒にいても気を遣わないし、まあもう一度会ってみよう、という感じ。
返事はすぐにきた。お見合い成立。
ちょっとほっとした。
連絡先が開示されたので、LINEを交換した。
他愛ないやりとりをして、次に会う日程をなんとなく決めた。
よくある、仮交際の始まりである。

その次の日が、開発職さんとのお見合いだった。
開発職さんは年上だったが、童顔で実年齢より若く見えた。
赤いネクタイをしていたのを覚えている。
無難な話題、仕事の話を振ってみたが、
マジで仕事の内容が分からなかった。
なんか、難しそうな機械の脳みその部分を作っているらしい。
家庭用ではないから想像しづらいですよね、と言われたが、
私が全く知らない領域の話だったから想像も何も、全く分からなかった。
こ、これが理系か…
正直に、すみません、知識がなくて…あまりピンときていないです。
と言ったら、彼は一つ一つ丁寧に説明してくれた。
全く知らない領域の話を聞くことは面白かった。
すると、この場合はどうなんですか?あの時は?
と、次から次へと質問がわいてきた。
たぶん、小学生レベルの質問だったと思う。
けど、彼は嫌な顔一つせずに答えてくれた。
何も知らない自分の知識のなさに申し訳なくなったが、
知的好奇心みたいなものが刺激されて、ずっと質問して、彼の話を聞いていた。
あまりにも彼の話が私が生きてきた世界と無縁すぎたから、根掘り葉掘り聞いてしまった。
完全に理解はできなかったが、こんな世界もあるのか、と勉強になった。
数学の話まで発展して、何だかお見合いという感じではなかった。
あーこれはやっちまったな、と思った。
私が彼と同等レベルで何かを知っていたらよかったのだが、私には精通した分野などなかった。
読書はするが、本の虫というほどでもないし、
仕事も情熱を燃やしているというほどでもない。
だからと言ってパリピなわけでもなく、家でぼーっとしていることが大好き。
つまり、全てが中途半端なのである。
こんな私が、彼と合うわけがなかった。
けどまあ、楽しかったしなあ、恋愛かどうかは分からないけど、彼の話はスッと私の中に入ってきた。
だから、もう一度会ってみたいな。
ダメもとで交際希望を送った。

すると相手側からも、交際希望のお返事がきていた。
まさかだった。
絶対に、断られると思っていた。
彼と私の知識量の差がありすぎたから、たぶん、釣り合わない。
彼も話していてもう少し賢い人だったらよかったなーと思っていたに違いない。
だから、嬉しいよりもびっくりが勝った。

そんなこんなで一気に交際している人が二人になったのでした。

続く

この記事が参加している募集

いただいたサポートは今後の活動のため、とっても大切に使わせていただきます。