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色彩の教科書(34)茶色の事件、エピソード

節約上手は茶色いお財布を使う

茶色は「節約色」「倹約色」とも言われている。茶色を見た人の多くは安定、安らぎ、ぬくもりといったイメージを思い浮かべる。つまり、満たされた気持ちになる。そんな気持ちの状態は、満たされない、ちょっとした興奮状態であることが多い浪費の心理状態とは対極のものだろう。ちなみに、同じ効果が得られる色として、癒しの緑、冷静さを取り戻せる青なども有効だ。日ごろ、無駄遣いが止められない方々は、こんな色の財布を使ってみるのもよいだろう。

江戸が育てた粋な色

派手な色の使用を禁止された江戸時代の奢侈禁止令で、グレーとともに庶民に使用が許されたのがこの茶色。そのため、茶色を使った渋さが「粋」な文化として花開き、多彩な茶色が考案された。このころ出来上がった茶色の中でも有名なのが、やや柿色のようなニュアンスが加わった茶色の団十郎茶。歌舞伎の定式幕の茶色である。初代市川団十郎が十八番「暫(しばらく)」の素襖で使ったのが、最初と言われている。

素襖すおう:麻地で、定紋じょうもんをつけた衣服。ひたたれ。初め庶民の常服だったが、武士の常服となり、江戸時代には武士の礼服となった。


左から 白茶(しらちゃ)、江戸茶(えどちゃ)、団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)、璃寛茶(りかんちゃ)、煤竹茶(すすたけちゃ)
定式幕


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