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色彩の教科書(49)選挙ポスターの秘密

街角にある様々な掲示物の中でも一番目立つのが選挙ポスターではないだろうか。候補者の顔がアップになっているポスターは、生理的に人の視線を引き付けるものだが、あの独特の色使いは、趣味の良し悪しは別として(明らかに悪いのですが)、実はその色の効果が充分に計算されているものなのだ。
そもそも選挙ポスターの目的とは、一人でも多くの人に票を入れてもらうこと。つまり、
1)目立って、名前を覚えてもらうこと。
2)目立つだけではなく、良いイメージを持ってもらうこと。
この2点だろう。
ではその思いはどのようにポスターの色に表れているのだろうか。
まずそこに使われている色だが、ほとんどが赤、青、白、そして少々の黄色だ。単に目立つだけなら、本や雑誌の表紙の色使いでも分かる通り、黒、オレンジ色、そしてもちろん金色も考えられる。しかし、目立った上で好感を持たれることを考えると、使える色が絞られてくる。
色のイメージに注意してみると、青、赤以外の色の持つイメージは政治家の皆さんにとっては微妙なメッセージを含むことがわかる。「重厚」「力」などは政治家の暗部に通じ、「陽気」「気楽」は政治に関しては良いイメージとはならない。「豪華」「裕福」はもってのほかだ。
そもそも有権者の皆さんが選挙に求めるのは「世の中や暮らしを良い方向に変えたい」「信頼できる人に政治を任せたい」「お金にきれいな人」などだろう。
そう考えると、選挙ポスターの色は、どうしても赤、青、白がメインカラーの「いつもの定番」となってしまうのだ。
色のイメージ一覧を下にまとめた。選挙戦略として選ぶべき色は自ずと限られることがお分かりになるはずだ。

(色の連想イメージ)
青・・・「知性」「清潔」「真実」「冷静」
赤・・・「情熱」「活気」「愛情」「興奮」
白・・・「清潔」「新しい」「可能性」
黄色・・・「明朗」「快活」「躍動」
黒・・・「重厚」「孤独」「力」「男性的」
オレンジ色・・・「陽気」「気楽」「わがまま」
金色・・・「豪華」「高価」「裕福」 

(終了)


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