私の中で生き続ける「ZARD」
私がZARDを好きになったそのとき、もうこの世界に坂井泉水さんは居なかった。
きっかけは「名探偵コナン」のアニメの主題歌。
「運命のルーレット廻して」という曲が大好きだった当時、親がZARDのCDを持っていることを知り、他の曲も聴くようになった。
親よりもZARDが好きになり、車に乗って出かける時は必ずかけてもらっていたことを覚えている。
当時の一番の宝物は、お小遣いやお年玉をかき集めて買った「ZARD SINGLE COLLECTION ~20th ANNIVERSARY~」というCD7枚組の100曲入りコレクションだった。これは今でも宝物だ。
「ZARDが好き」というと、同級生の友達には必ず?マークが飛んだ。
私たちの世代では、ZARDを知っている人はほとんど居なかった。(コナンが好きな子は知っていたけど)
当時、初めてZARDの話で盛り上がった人が、給食のおばちゃんだった。
「好きな曲は?」と聞かれ、「黄昏にMy Lonely Heart」と答えたことを、最近、急に思い出した。
今覚えばおばちゃんがどうして驚いていたのかも分かる。小学生が、こんなにも切ないラブソングを一番好きだと言ったら私でも驚く。
それでも当時、本当に大好きだった。
こんなにも大好きなのに同級生の誰にもわかって貰えなかったことが、思っていた以上に辛かったのかもしれない。
おばちゃんとのやりとりはほんの5分程度だったのに、小学校の思い出の中で強烈に残っている。
「ZARDが好き」と言っても分かって貰えず、相手のそんな反応がだんだん見たくなくなり、高校の時は人に言わなくなった。
言わなくなると次第に、別のバンドにハマったりもした。
今、私は大学生だ。
坂井泉水さんの生きた人生の半分を私も生きた。
いろんな音楽に出会ったけど、一番会いたいアーティストはあの頃からZARDのままだ。
結局、私の一番奥深くにある音楽はいつまでもZARDだった。
頻繁に聴くことは減ってしまったけど、たまに聴くとやっぱり一番落ちつく。
会えることなら、この目で、坂井泉水さんを見て感じたかった。
好きになったときには、坂井泉水さんはもう遠いところへ行ってしまっていたけど。
だけど、私の中にいつまでも一番近いところにいてくれるのもZARDだ。
直接会って感じられなくても、音楽を聴けば、そこに坂井泉水さんはいつでも生きている。
坂井泉水さんの生きた世界のほとんどを私は知らないけれど、ZARDの残してくれた音楽が泉水さんの生きた世界や想いを私に想像させてくれる。
坂井泉水さんが残してくれたものが音楽で良かったなあ、としみじみ思う。
音楽じゃなかったら、当時小学生の私には出会えなかったかもしれない。
音楽の中で生き続ける坂井泉水さん、そして、ZARDに、今日も私は会いに行く。
坂井泉水さんに感謝と敬愛を込めて。
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