旅に求めることは

今のままの生き方でいいのかわからない。なにかを変えたくて旅をしたい。世界中を周りたい。でも行動に移すには越えなければならない心理的ハードルが高すぎる。
と悩んでいた僕に、ある人がプレゼントしてくれた1冊。

ASIAN JAPANESE  小林紀晴

勤めていた新聞社を辞め、カメラを片手にアジアへ旅に出た著者が、道中出会った人々に、何故旅に出たのか、どんな旅をしてきたのかを取材した第一部。そして、彼らはその後どんな人生をあゆみ、旅は彼らにとってどんな意味を持っていたのかを取材した第二部で構成されるベストセラー・ノンフィクション。


登場する人々の、旅の動機や想いは人それぞれ。

旅は彼らにとって「苦行」だったり、「変化のきっかけ」だったり、「戦い」だったり、「差別化」だったり、「逃避」だったり、「無意味」だったり、、、

そんな人々が旅を終えて振り返ったとき、旅はいつも彼らの心の中にあり、いつでも日常生活の中に顔を出すことがある。旅をしなければよかったという人は一人もいない。


旅を終えて、再び彼らに会う時間のなかで、僕は一つのことを感じていた。それは、旅は人生のシミュレーションではないか、と。旅に出て、旅を終える。それは自らの意思でもう一つの人生を始めて、それを終わらせてみることのような気がした。「人生のシミュレーション」を終え、いったん人生を終えたなかで見えてきたもの、僕はそれをいちばん聞きたかったのかもしれない。

P365

著者曰く、「出会った人の旅は、その人に似ていた」そう。

刻一刻と時間的な終わりが近づいてくる中、自分が何をするのかを選ぶ。その決断の仕方、時間の使い方、選んだものに生き方が現れているということなのか。

もし自分が旅に出るとしたら、やはり何かを求め、ゴールを決めて、そこにたどり着くために旅をすると思う。

「ある場所からある場所まで向かう」であるとか、「毎日必ず○○する」とか、自分が前に進んでいる実感と、達成感が欲しいから。

自分がいいと思った場所にずっととどまって、人の流れや景色を見続けるような旅は憧れもあるけれど、やっぱり焦りを感じる。


自分が人生で求めていることもそういうことで、意味を求めず自由に、、、というよりは、何かを成し遂げたいということなのだろう。


旅をしている人は、常識という枠の中で縛られた生き方に疑問を持ち、模索しながら生きていて、そんなふうにもがいている人たちの話を聞くことで、自分の生き方や大切にしたいものが見えてくるのだと思う。この本を通して、多くのもがいている人の考えに触れることができ、自分が目指す姿や、自分が納得できる生き方がまた少し明確になった気がしました。


あなたは旅に、何を求めますか?

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