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『これって本当に「繊細さん」?と思ったら読む本』の読書感想文②



 今晩は。前回ご高覧くださった方も、今回初めて閲覧してくださる方も、こちらの記事を開いていただき、誠に有難うございます。今回は武田友紀,名越康文著『これって本当に「繊細」さん?と思ったら読む本』(日東書院本社)の読書感想文第二弾です。

 前回の記事も貼っておきますね。拙文極まりないですが、もしご興味がありましたら、書籍は凄くよいので!どうぞご高覧くださいませ。スキをつけてくださった方も有難うございます。たいへん励みになります。

 
 さて、前回はまずHSPの概念から、社会と繊細さん(文中ではHSPを繊細さんと呼称しています)について記述しました。今回は、「繊細さんが自分らしく生きるには」という窓口から(※まだ第一章目です)。

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 やはり、この生き辛い現代社会において、いかに自分らしく居られる余白を日常のなかに入れ込むかが勘所です。文中では、そもそもHSPがとりわけ自分らしく居られず煩悶するのは、周りからの要請に気づき応答しようとするぶん、自分の本音が分からず混乱してしまったり、あるいは自身の希望を後回しにしやすいためだと武田先生は指摘しています。

 これは私見ですが(そして脱線しますが)、自分の本音が他者のニーズに乗っ取られやすいのは体癖論で言えば4種的なのではないかと考えます(体癖論についての委細はこちら https://www.amazon.co.jp/dp/448043044X

)。様々な角度からHSPの概念を掘り下げるのも面白そうですね。

 武田先生は続けて、その混沌としたこころのなかで自分の本音を見つけるためには、何もいきなり重要な判断を自ら下していくような極端さ、振り切りではなく(HSPはしばしば白黒思考になるところがありますよね)、まず「その日食べてみるランチのメニュー」であったり、「明日着ていく服装」などつまり、気軽で気楽な部分から自分のこころの赴く方向に動いてみることで、少しずつ自身の本音を探し当てる練習をしていける、というわけです。

 名越先生は別の言葉で、周りから指示され行為するというよりも、「自由意志」からなる主体性、内なる動機が当事者に惹起することだと述べています。また、敢えて換言すればHSP気質のなかに混じるASD気質により、画一的にすなわち人と同じように動けないとき、そこに劣等感を抱くのではなくそれは「強さ」だと自分を勇気づけてあげること。そこに自分らしさを認め社会(あるいは社会構造のなかの自己認知)と折り合いがつけるようになるのではないかとヒントを与えてくれています。

・自分がHSPかどうかを知る方法/研究など

 そして、まずやはりこれほど巷でHSPの概念が流通され気になるところは「自分がHSPか否か」というジャッジです。現時点では前回述べたアーロンのHSPセルフテスト、4つの主要素に分けた“DOES”の2点が存在します。なお、どちらも自己申告式です。

 ここで押さえておきたい大切な前提として、HSPは病気や発達障害ではなく「気質」だということです。そして前述でHSPのなかにあるASDと書きましたが、これは飽くまで隠喩であり(ややこしいですね)、本来は別物であるということも念頭に置きたいですね。
 恐らく、現在HSPが巷で浸透する過渡期において、様々な情報で攪拌されるなかで実体が掴みにくくなっている現状があるかと感じます。したがってHSPに関してどう扱っていいか分からない。そのなかで、このように読みやすく易しい/優しい文体で丁寧に教えてくれる専門書籍はとても貴重なのではないでしょうか。

 当然ながらアーロン以外にも研究しており、現在ではHSPは「環境感受性 Environmental sensitivity 」という言葉で解明が進んでいます。感受性は個人差があるとのことですが、HSP/非HSPとはっきり分かれるのか、スペクトラムなのかについては研究者の間でも議論が分かれているようです(私はグラデーションだと思いますが)。
 また、アーロンの調査によれば20%の人が感受性すなわち敏感度合いがきわめて高いとのこと。さらに人だけでなく、犬・猫・馬・猿などの高等動物においてもHSP気質は存在する研究結果が出ています。なお、但し書きとして研究によっては人口の何%がHSPなのか、その数値には幅があります(今回は分かり易くアーロンの研究結果のみを記載)。

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 さて、前回・今回で第一章への言及が終わり、概ねHSPの概念などを押さえることができたのではないでしょうか。次回からはいよいよHSPとトラウマの関連性について書籍を読みながら紐解いていければと考えております。

 それでは、ここまでお付き合いいただき、誠に有難うございました。もしよろしければ、是非次回もお目通しいただけると幸甚です。それではよい週末をお過ごしください。失礼いたします。

 you 拝










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