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水風呂の存在意義が分からなかったけど温冷交互浴を試した。

結婚していた時も、離婚してからも「少人数でお風呂沸かすのが勿体無い」という謎の思考に行き着いた結果、年間を通してシャワーしかしない人間になっていた。けれども20代前半には深刻な末端冷え性であることに気付いていたのに何もしないで「辛い。つらぴ。芋けんぴ。」などと呟いて手をこまねいているだけではいかんのでは無いかと思い立ち、今年に入ってから意識的に湯船に浸かるようにし始めた。

具体的にあった自覚症状としては「冬場仕事している時にとにかく手足の指が千切れそう」「血流が悪すぎて洋式の便座に座ると50%の確率で足が痺れる」「若い頃肩こりが酷すぎて眠れないことがあった」「首の裏の血流が悪くて頭が重いことがある」「去年、おそらく血流の悪さからか体が温まるまで二時間くらい片耳が聴こえなくなる謎の症状が現れる」「そんな中、ここ数年健康診断でコレステロール値が高いため、死ぬときの死因が脳血栓とかになりそう感が凄まじい」等が挙げられる。

そういったことを踏まえ、風呂に入ることを意識付けて生活していると、SNSでやたらとサウナの記事を目にする機会が増えた。興味のあるもののみ無意識に取捨選択する心理学で言う「カラーバス効果」なのか流行っているからなのか分からないけれどとにかく目にする。そうして、記事を読むと大体同じことが書いてあった。

サウナで10分程度汗を流す。その後水風呂に1、2分入る。体を拭いて休憩を10分程度取る。以上を3セット繰り返す。すると途轍も無い幸福が待っている。マジヤバイ。飛ぶぞ。

要約するとそんなことが書いてあった。リーガルなドラッグか宗教かといった勢いで軒並み書かれていたため、安定を好み変化を怖がる人間といえども俄然試してみたくなった。

「人生とは何かに依存しながら生きることである」という思想の持ち主であり「1つに依存することはその依存が無くなった時の苦しみが大きい。常にいくつかの依存を見つけることが重要である」という思想の持ち主でもある僕は、新たな依存先を見つけるべく小学生の時に友人と我慢比べで入った以来の水風呂を経験することにした。

水風呂への印象としては、ただただ怖い。その一点に尽きる。どう考えても拷問にしか見えていなかったし、銭湯に行った時に水風呂の中にいるおじさま方はオブラートに包んで言っても、頭がイカれているのではないかと思っていた。常軌を逸していると思っていた。サウナの蒸気で常軌を逸したのかと思っていたのだ。

しかしいくつかの記事を読んだ時に共通する単語「ととのう」「サウナの為に全国飛び回る」「むしろ水風呂が楽しみになる」「思考がポジティブになる」「自律神経がいい感じになる」が余りにも脳にこびり付いて離れないため(そういえば諸々の不安が祟ったためか自律神経がバカになった時もあったのでちょうどいい!とも思った。)意を決して温冷交互浴のやり方を熟読し決戦へと向かった。

 

1セット目。21時半に入店したため、ちょうどその日最後のロウリュに間に合った。ロウリュもついでに初体験しようと思ったけれど、これがまさに正解だった。今までただ熱いとしか思っていなかったサウナだったが、その熱さが2倍へと膨れ上がり心地良いアロマの香りも相まって、脳が、溶けた…。
しこたま汗が吹き出ているのに外に出ようと立ち上がった瞬間にヨダレが出た。ロウリュだけで満足している自分がいて、もうこのまま帰っても良いんじゃないかという程度には素晴らしかった。この時の白目を剥きそうな僕の状況にピッタリの歌があるので引用しておきます。

戻れないよ 昔のようには
煌めいて見えたとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降り頻ろうとも
今の僕には何が出来るの 何になれるの

まだ色々なサウナを経験していない為、他の店はどうなのか分からないけれど、ロウリュで仰がれる時に「それでは一巡目行きます」と言われ、唐突なドラフト会議か麻雀でも始まったのかと思ったが、ロウリュの数え方は一巡、二巡であると気付きを得る。

そうして20年以上の時を経て水風呂に入る。きちー。さみー。やっぱ地獄やんけー!と脳内で警告アナウンスが流れたため、ほどなくして水風呂から上がり、一応手順通りに体の水分を拭き取りそのまま近くにあるビーチチェアに横たわる。

…アレ?イスと体が一体化してる…?何か体溶けてるけど大丈夫これ。合法?リーガル?リーガルハイ?と思って、しっかりと見たことが無かったが、昔やっていたリーガルハイというドラマは法廷ドラマではなく実はサウナの物語だった可能性があるという気付きを得る。

この日外気温は3度だったが、全裸で10分寝ていても平気(というか気持ちいい)という新たな境地を知ってしまった…。

 


2セット目。ロウリュが無いと物足りない体になっている事に気付く。年々暑さに弱くなっており湯船に浸かると体がすぐダルくなったり目眩いがするため、サウナも5分以上入っていなかった筈が10分あっという間に感じ始める。

さらに水風呂が長すぎたのかロウリュが無くなったからなのか、休憩の際に乳首が自分史上最高に勃起していた。乳首が小さいことが長所でもあるため、さながらアポロチョコレートのようになっていた。というか、余りにもビンビンになってるからこのままロケットとして月まで飛び立つかと思った。そうして「なるほど、だからアポロチョコレートなのか…」と気付きを得る。前澤社長!僕の乳首100万円で使ってください!ニヤニヤしながらもちょっと耐えがたい寒さを感じたため、早々に3セット目へ。

 


3セット目。サウナが10分に差し掛かるところでテレビにペコパ、ミルクボーイが出る。ミルクボーイが極端に好きでYoutubeの公式ページのネタは全て5回は見返して、寝る時にも流しながら寝てしまっているくらいのファンになっているため「頼むからミルクボーイが先に!」という願いも虚しくペコパが先にゲストの芸能人の実際に起きたことをネタに漫才を始める。しかしぺこぱも好きなため面白かった。ミルクボーイが出始めた辺りでサウナが14分突破。何か汗の流れる量が減った気がしてネタの途中ではあったが後ろ髪惹かれる思いで慌てて外へ出る。

水風呂は反省を活かし短めに調整。モチベーションが低いせいで仕事でやっていない筈のトライアンドエラーを自然にやりつつある。怖い。溶ける感覚は無いけど視界がクリアになる。「ととのう」感覚がよく分からないしハマっていないけど、一応もう少し追加検証しようと思い立つ。ハマっては、いないけれども。

 

4、5セット目。はっきり言ってあんまり記憶ない。とにかく水風呂で視界がクリアに。サウナに入ると突然汗が大量に出始める3分を経過した辺りから多幸感に包まれる。顔を伝う汗と一緒に顔面が溶けていく気分に。水風呂がむしろ目的になるという感覚は分からないけど、とにかく、サウナが、気持ち、良い。とろける。

その後露天風呂に。今まで風呂に入った時ののぼせる感覚が一切なくただただハッキリとした気持ち良さがある。ジェット風呂での締め、素晴らしい。

 

まだ「ととのう」感覚がよく分からないし、水風呂依存症にもなってないし、サウナのためだけに全国回りたいって気持ちも無いし、ハマっても無いとは思うけど、この10日で五回くらいサウナに行っている。

いつかハマってしまいそうで怖いなァ。

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