見出し画像

ファッションにおけるオープナー戦略

オープナーと呼ばれる画期的な戦略をご存知だろうか。

オープナーとは、MLB(メジャーリーグベースボール)における投手起用の一つであり、発端は2018年ということで最近取り入れられた戦略である。

従来の継投では、先発投手が5回〜7回投げ、その後リリーフ投手にスイッチするのが一般的である。
昨今のMLBでは1〜3番にスラッガータイプの選手を配置するチームが急増した。
そのため、リリーフ投手を先発で1回投げさせた後、本来の先発投手にスイッチする起用法が常套手段となった。
この起用法により、まだ一人立ちしていない先発投手の育成だけでなく、1〜3番にスラッガータイプの選手との対戦機会を少なくする(初回を三者凡退に抑えた場合、事実上1〜3番は7〜9番となる)という効果をもたらす。

前置きが長くなったが、本日お話したいのは、野球のことではなくファッションにおけるライフサイクルである。

従来のライフサイクルでは、素材、製造、輸送、使用、廃棄で構成されているのが一般的であり、一方通行となっている。

これらのプロセスにおいて、特に問題視されているのが廃棄である。
ポリエステルやナイロンのような石油由来素材の増加によって、焼却処分によるCO2排出や埋め立て処分による水質汚濁が深刻化している。
中には一度も袖を通さずに売れ残り商品が廃棄されるものは少なくない。
フランスでは、売れ残り商品の廃棄禁止を法令化している。

オープナー戦略を応用すると、廃棄→素材→製造→輸送→使用と配置するのが実はスムーズなのではと最近考えるようになった。
理論上はサーキュラーエコノミーと呼ばれる使用した商品を廃棄することなく、資源として繰り返し使用する概念と同じであるが、重要なのはライフサイクルの新たな意識づけである。
つまり、廃棄からスタートすることによって、多くの生活者が廃棄=処分ではなく、廃棄=資源へとマインドセットできるのではと思っている。

理想論では廃棄ゼロが望ましいが、従来の廃棄をクローザーに据えると炎上間違いなしだ。
とはいえ、新・勝利の方程式にも欠陥はある。
廃棄から素材が繋がっていないのだ。
そこで、ワンポイントとして回収を配置する。

廃棄→回収→素材→製造→輸送→使用

廃棄をなくすというゴールはハードルが高いように感じるが、その手前に廃棄の概念を変えるという階段を設けることで、一人でも多くの人が取り組みやすくなるのではないか、というのがメッセージである。
日本にはすでに何かを回収するという文化が根付いているので、あとはそのような仕組みが増えれば廃棄処分の量は少なくなると考える。

End of lifeからRe.Start of lifeへ。

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?