史上最強の剣"導入事例"はこう使う
髙橋です。以前びくびくしながら公開した「"売ってる俺が凄い"と勘違いしている未来の自分へ」を思いのほか、色々な人に読んでいただけたようで安心しました。ありがたやありがたや。
これを機に、あなたの感謝の言葉があなたの仲間に少しでも多く届いていれば、なんか嬉しいなとか思っています。
そして、本記事を読んだあなたは明日から買い手に導入事例を届けたくてたまらない体質になっているはずです。なってなかったらすいません。
では本題に入ります。
※言葉の定義として、既にサービスを利用いただいている=「お客様」とし、まだ利用いただいていない=「買い手」としています。これは「買い手」に対してリスペクトが薄いわけではなく、文章を読みやすい様に棲み分けをしているだけなので双方に高いリスペクトを持っています。
なぜ導入事例を使いこなす必要があるのか
答えは簡単です。
基本的に営業は信用されていないから
これに尽きます笑
かの有名なHubSpot様が過去に「この中で信頼できる職業はどれですか?」というアンケートを買い手側に行ったことがありました。いわゆる職業別信頼度調査ってやつですね。その驚愕の結果がこちらです。
一番信頼されているのはお医者さんで49%ですが、それに比べて営業マンはわずか3%でした。3%って・・・
僕は初めてこれを見た時に悲しい気持ちになると共に「まあなんか言いたいことはわかるわ笑」と思いました。
また、この結果とは裏腹に「どんな会社からサービスを買いたいですか?」というアンケートの第1位は「信頼できる」なんですよね。
つまり
営業ってなんか信頼できないけど
信頼できる会社(人)から買いたい
っていうのが買い手の真意なんです。
では、どうすれば信頼を得られるのか?ここで満を持して登場するのが"導入事例"という訳です。理由は2つです。
1,導入事例はサービスを利用している先人の声であり、営業の言葉ではない
これが大部分です。営業の言葉が3%しか信頼されていないなら、もはや営業の声ではなくお客様の声を伝えればいい。「俺はこう思ってる」というのは信頼されてからは買い手に響きますが、それはちょっと先の話です。まずは「あなたに近いお客様はこう言っている」と伝えるためにお客様を憑依させて価値ある情報を伝えることが信頼を得る第一歩です。
2,世に出ていない情報にこそ価値がある
調べればなんでも出てくるこの世の中で、調べても出てこない情報を伝えることはとても価値が高いんです。また、例え世に出ている情報であっても"情報を要約してわかりやすく伝えてくれること"の価値もとても高いのです。
最近YouTubeでも映画や本を10分で要約してわかりやすく伝えてる動画が流行ってますよね?あれです。
(逆に言えば、書いてあることやちょっと調べれば出てくる事を得意げにダラダラ話す営業には価値を感じてもらえません)
基本的に買い手は会社の利益を上げることで忙しいので、長ったらしい導入事例記事を全て読んでくれる事はほぼ無いと思ったほうがいい。
そして人は目で文字を読むより、人の言葉で耳から情報を取り入れたほうが記憶に残ると言われています。それができるのは営業の特権です。
あの有名な営業集団も徹底的に導入事例を利用しているのだ
営業をやっていたら誰もが耳にする会社、僕の古巣であるキーエンスは導入事例を徹底的に共有し、新入社員の時から叩き込まれます。
全社員が見れるプラットフォームに事例が公開されており、誰でもいつでも見に行ける状態が確立されています。
・業界別に刺さる商品の用途事例集
・こういう課題はこの商品をこう使うと解決できるという課題ベースの用途事例集
などがグルーピングされており、その情報を元に架電を行いアポをとりデモを実施して受注に繋げています。
この方法が確立されているからこそ、新入社員はその内容をインプットし3ヶ月後には実際に買い手と商談を行い、当たり前のように受注に繋げていきます。
新たな用途で商品が売れると、即座に日本中の営業マンに伝達され徹底的な横展開が圧倒的なスピードで遂行されていく。
この仕組みが徹底されているからこそ平均点の高い営業組織が構築されあの驚異的な営業利益率を叩き出せているんです。
・・・どうですか?今「ほええなるほどなあ」と思いませんでしたか?これがまさに事例の力です。
今、僕はあなたに世に出ていない情報を要約し、わかりやすく伝えただけなんですよ。導入事例の導入事例です笑
導入事例における3つの軸
導入事例は3つの軸で整理できます。(と思ってます笑)
1,業界軸
※バーティカルサービスだとこれは無いので、会社規模軸とかになるはず
2,ビジネスモデル軸
3,状態軸
僕は初回商談で必ずこの3つの軸で事例を準備していきます。
ポケモンをやってると、「このポケモンは何属性なんだ?どの属性の攻撃が効果バツグンなんだ?」って速攻ググると思うんですが、営業ではググってもあまり出てこないので、あらかじめいろんな属性攻撃を用意していくイメージです。
業界軸
まあこれは特に書くこと無いです。字のまんまです。近い業界の事例を用意する。多くの人がやっている事であり、1番買い手に価値を感じていただけやすい事例です。ハイハイ、当たり前の事言うなよ髙橋。って感じですよねすいません。
ビジネスモデル軸
いろいろな人の話を聞いていると、意外にこの観点は漏れてるかも?と思います。
例えば"受注してから売上が完全に計上されるまでタイムラグがあるビシネスモデル"という目線で見ると「人材紹介」や「カーディーラー」、「ハウスメーカー」が同じ括りになりますし、"ブランド使用料を払っているビジネスモデル"という目線で見ると「大手企業にM&Aされた会社」や「ゲーム、アニメ制作会社」が同じ括りになります。売上に応じてロイヤリティ(ブランド使用料的なやつ)を払ってる企業群ですね。
ある程度サービスが成熟していれば大体どの業界でも事例があったりするんですが、スタートアップだとなかなか業界軸で事例を揃えるのは難しいですよね。でもビジネスモデルで見ると事例を用意できることは多いですし、共通ペインが多いので十分有効な導入事例になります。
状態軸
これはわりとビジネスモデル軸に近いですがちょっと目線が違います。
例えば「M&Aを続けて成長し続けている会社」や「IPO前後で多方面に正確な情報を説明しなければ行けないフェーズの会社」など、業界やビジネスモデルは違うが、会社の状態が同じである事にフォーカスをあてます。
買い手のペインは会社の状態(フェーズ)によって異なるので、この視点はかなり大事です。
この3つの事例をしっかり整理できる事で、営業活動の上段にある"俺たちはこういう企業群にこのアプローチで今攻めるべきである!"という戦略策定にも良い影響を出すことができ、社内でも影響力の高い人材になることができます。
具体的な戦略の作り方は弊社の天才Bizdevが書いたnoteがあるので、ぜひ覗いて見てください。僕と同い年なのですが、"天才×努力家"なのでいつもすげえなあという尊敬の眼差しで見ています。
「僕、東大以外に友達いないんですよねー」と普通なら憎まれる事を本当に素で言うので何故か憎まれないという才能の持ち主でもあります。
導入事例を差し込むタイミング
これ結構迷いません?会社や営業担当によって会社説明なのか?デモ前なのか?デモ後なのか?など違ってくると思います。
ただ、僕の中では明確な解があります。それは
ところどころ、何回も
です。
導入事例は格闘技でいうジャブです。ちょこちょこ出しながら相手との距離を確かめ、強い攻撃を当てるために1番多く出される攻撃がジャブ。導入事例も同じで、一発でかいの当てるのではなく、ちょこちょこ出すからこそ意味があります。この"ちょこちょこ"も実は3シーンに分かれていて、それぞれお伝えする事例内容が異なります。
1,導入背景やAsisを伝えるシーン
主にデモ前の初期ヒアリング時に使います。業界、ペイン、検討背景から「御社に近いお客様ですと〇〇様、〇〇様などご利用いただいております。簡単に導入背景や導入前の課題をお伝えします。」と伝えて、「あーわかるわーやっぱうち以外の会社も同じように困ってたんだな」と今検討するのは間違ってないんだ!と買い手の中にWhy nowの確信を芽生えさせます。
そして「今お伝えした事例で1番共感いただけたのはどの事例でしたか?」と質問をし、その回答から次に備えます。
2,活用方法を伝えるシーン
私は必ず、活用事例を伝える時は実際にデモでお伝えします。「これからデモンストレーションをご覧いただきますが、今日は先程共感いただけた〇〇様がどの様に活用されているのか?を踏まえながらご説明します」と先程の伏線を早々に回収していきます。笑
実際にデモを行う時も「〇〇様は~」と枕詞を添えながら説明することをすっごく意識しています。こうすることでデモ説明が"機能説明"から"活用方法紹介"に進化し、買い手の頭の中で機能→活用と変換する必要が無くなるので脳内ストレスを極限まで減らした状態でデモをご覧いただけるようになります。
3,導入効果を伝えるシーン
これ、結構やりがちな間違えとして「1(導入背景やAsisを伝えるシーン)と同じタイミングで伝えてしまう」ことがあると思います。実はそのタイミングで伝えてしまうと「まだ何も見てないのにこんな効果ありますっていわれても・・・ねえ笑」とあまり刺さらないことが多いです。
導入効果はジャブではなくもはやストレートなので、何回もジャブで牽制しつつ「今だ!!」と思ったタイミングで打ち込んだ方が刺さりやすい。
なので1番効果的なのは買い手が「なんか良さそう・・・!」と思ってくれたであろうデモ後だと思っています。
なので、全体の流れとして
「あなたと同じ悩みを抱えていたお客様も導入されてますよ」と今検討する事は正解だと伝え、「そのお客様は実際にこういう風に使ってますよ」とシステム導入後の実務を想像していただき、「しっかり導入が定着したお客様はこんな状態になっていますよ」と導入後の世界にワクワクしてもらう。
これが1商談全てを使った導入事例の活用方法です。
※番外編
ちなみに3に関しては、あえて定着が失敗した(効果が出なかった)事例も説明します。
これには2つ理由があって
1,マイナス面もあえて説明したほうが信頼に繋がる
→書いてあるまんま
2,導入後、しっかりプロジェクトにコミットしてもらうため
→CSになるべく負荷をかけぬよう、お客様に当事者意識を持っていただき解約リスクを下げる
です。
まとめ
こんなかんじです
導入事例は「この会社の導入事例はこれ!」みたいな大きいブロックでガサっと頭にいれるのではなく、導入事例軸×導入事例内容で分解し、なるべく小さいブロックで頭の引き出しにいれるのです。ノートではなく単語帳のイメージ。そして伝え方はこんなイメージ
あとは、どこの引き出しに何が入ってるかしっかり把握し瞬時に引き出せるレベルで定着させる為のインプット、アウトプットを続けることです。
二人一組で事例ロープレ※を繰りかえすのがオススメですよー。
※この内容にはどの事例を当てる?のテストをロープレ形式で繰り返す
あとはそもそもこの状態にはこういうペインがあるだろうと精度の高い仮説を立てるために、業務フロー整理でよりリアルなペイン知識を取り入れるのもオススメです。この記事にちょっと詳しく書いてあります。
最後に
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