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【小説】秀頼と家康の会見 完

家康は一人の武士として、若き主君に対し憐れみでも、情けでもなく、同じ武士として言葉を発した。

もはや徳川と豊臣は水と油のようなもの。天下に主人は二人といりませぬ。

張り詰めた空気が、廊下にまで伝わった。まるで乾いた音でも聞こえるように草木が擦れる。

茶の湯の波紋が収まる頃、秀頼は応えた。

で、あろうな。

家康は戸惑った。

それでも、戦う、と申されますか?

秀頼は白い歯を見せ、微笑んだ

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