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「事例」を使う際に気を付けるべきこと

この仕事をしていると、様々な事例を目にする機会が多く、また他社(他者)の事例を研究する機会が多くあります。

視察に行ったり、新聞・本を読んだりといった活動ですね。それらを基に、時流を読むこと(マクロ視点)も含めて、日々分析をしながら、「事例をどう活かすか?」を考えてきています。

「事例」は非常に有効であると感じています。「なるほど、うまい!」と思うこともしばしばで刺激を受けつつ、実際に仕事にも活かせることも多くあります。非常に重要な視点ですね。

事例の罠に気をつけよ!

ただ、少し気をつけなければいけないこともあるとも感じています。
若干の罠も隠されているなぁということです。

思考停止の罠

一つは、「思考停止の罠」です。
ここは大いに気をつけるべきで、「事例→模倣」だけに単純に一足飛びにいくことは危惧すべき点でしょう。マーケットや組織風土など、様々な変数がある中で、咀嚼しながら、自社に合致する方法論を常に探るべきだと思います。何より、戦略的な観点からすると競争に巻き込まれていき、レッドオーシャンにはまり込んでいく可能性が高い。やはり、事例の中にいかにオリジナル性を組み込むかということですね。思考停止に陥らないようなマインドは必要です。

思考停止に陥らないようにする。これは十分気を付けるべき点です。
いかに自社の強みや独自の価値を認識し、うまく事例を使えるか、これを考え抜かなければなりません。その際はメタ視点(抽象的思考)を持つことがコツなのではと考えています。「木だけではなく、森を見る」ということでしょうか。

イノベーション停滞の罠

もう一点、指摘しておきたいことがあります。
「イノベーション」が起きないという点です。

事例というのは、コミュニケーション上、便利なものです。というのも、顧客・社内双方で「事例」を媒介にして、コミュニケーションや了解を取りやすいからです。これはどの組織においても同じで、大企業ではよく指摘されるものではありますが、中小企業も無縁ではないでしょう。

このような便利さの反面、未知のニーズ(顧客が気づいていないニーズ)を満たすサービスの実現には相当な難易度が上がるということも指摘しなければなりません。「付加価値」とは言いますが、「加える」ではなく、「創る」という力学が働きにくくなってしまいます。

マーケティングの有効性はもちろん理解しつつ、顧客が認識していないニーズがあるということも念頭に入れておかなければなりません。

組織体系や風土も大きいと思います。「事例をあえて無視する局面」を作り、果敢に勇気を持てる風土を醸成し、「チャンレンジ枠」として心理的安全性を担保しなければならない。「そんな余裕はない!」と思うことも理解はできますが、小さく始めて、小さく勝ちを積み重ねる体験でいいと感じています。

その他、色々とありますが、大きくはこの2つではないでしょうか。

事例は使い方次第

ただし、誤解をしていただきたくないのは、私は「事例」を軽視しているわけではないということです。うまく活用できたら非常に有効です。これは間違いなくあります。まさに学ぶというは、事例研究が多くを占めます。大いに学ぶべきであり、今後とも私も学んでいきたいと考えています。

日々忙しい中で言うは易しですが、意識をして、念頭に入れておくだけで全く違うと思います。

ぜひ事例はうまく使っていきましょう。
私も肝に銘じます。

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