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仕事をクビになる時の無慈悲さ

日本では「正社員」になるためのハードルが高いものの、クビになるハードルも高いです。北米では真逆で、わりと簡単に正社員=Staffになれるもののクビになるのも一瞬です。

Staffに対して契約ベースで雇用されている人たちのことはContractorと呼びます。主な違いは契約期間の長さ(Staffは無期限)とベネフィットのあるなし、有給の日数などです。給与自体は緊急で雇われるContractorの方が高いことも多いです。

日本では正社員かどうかを気にする人たちが多いですが、こちらではあまり気にはされていない印象です。むしろスタッフになってしまうと、給与交渉の機会が減るので嫌だという人もいます。

三か月のProbation期間

まず殆どの仕事には三か月間のProbation=保護観察期間が存在します。

これは雇われ始めて初めの三か月の間は採用側の裁量でいつでも予告なしに無条件でクビにすることが出来る、というものです。

Two weeks notice

Probation期間の後でクビにする場合はtwo weeks noticeといって文字通り二週間前にそのことを告知しなければならない、というルールに変わります。

バンクーバーでは過去、二週間より短い告知でクビにされたといって採用元を訴えて勝ったケースもあります。

速攻でクビになることも

二週間前の告知が義務とされていますが、中にはいきなり「もう明日から来なくていい」とクビ通告し、二週間分の給与を払うというパターンもあります。

※もし、クビになったあとの二週間分の給与をきちんと貰った場合は上記の例のように裁判までもっていっても勝てません。

給料の高い側から切られる

会社にもよりますが、経営状況が悪くなった場合に給与の高い人間からクビにしていく傾向があります。また、会社が買収されて方針が新しくなった場合にも同様です。

私の知り合いの働いていたM社では経営状況が悪化し、ある日突然18人クビになりましたが、契約社員を差し置いて全員給与の高いスタッフだったそうです。まぁ、契約社員は放っておいても契約期間が終わればいなくなりますし…

別の知り合いの働いていたA社は他の会社に買収され、人員整理が行われましたが、やはり上の方のスタッフでクビになった人たちが多かったそうです。

事前に警告はいかない

会社の経営状況などの外部要因ではなく、本人の勤務態度が悪い、実力不足などが原因でクビになる際、ほとんどの場合は事前に警告はいきません。クビになった本人にしてみれば青天の霹靂ということが多いのです。

さらにクビになる際にははっきりと原因を言わないことがほとんどです。これはのちに訴えられることを避けるためだと言われています。

知り合いIのケース

例えば、私の知り合いのIは6つのスタジオをクビになったのちに私のスタジオへやってきました。彼女はひたすら彼女をクビにしたスタジオの文句を言っていて自分が悪かったとは微塵も思っていませんでしたが、一緒に働いてみてわかったのは彼女は勤務態度が悪く、仕事ができないということでした。彼女の元同僚も同じことを言っていました。

彼女は結局、私のいたスタジオではProbation期間内でサヨナラという結末になりましたが、人事曰くクビにした際に彼女へ伝えた理由は「思ったよりも仕事がなかったから人が必要なかった」という旨だったそうです。

元クラスメイトAのケース

他にも元私のクラスメイトのAは、仕事ができない上に遅刻はするし、勤務中に携帯ゲームをしているような状態でした。しかし、面と向かって特に何も言われなかったので態度を改めることはありませんでした。彼はProbation期間が終わる直前にいきなりクビとなりました。(代わりの人員を探している間、キープされていたらしいです)

クビ宣告イベント

私自身は幸いクビになったことはないのですが、幾人もクビになっていく人たちを見てきました。業界や会社によりますが、機密保持義務のある映画業界においては、昼休み中に呼び出されてクビ宣告+2週間分の給与が与えられる、というパターンが多かったです。また、給与の関係からか金曜日なことが多かったです。

昼休みにオフィスへ戻ってくると人が消えている!?→クビになっていた、という現象にはじめのうちは戦々恐々としていましたが、今では慣れたものです。


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