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カナダPGWPが変わるかもしれないらしい

私が残業に次ぐ残業でヘトヘトになっている間にX(元Twitter)で話題になっていたのがカナダの公立校の指定コースを卒業することで申請可能になる就労ビザPost Graduate Work Permitの要件変更の可能性である

今年になって噂はあったものの、割と具体的な話が出てきているっぽいので、ちょっと調べてみた上で、私なりの考えを紹介してます

毎度毎度恐縮ですが、あくまで素人による興味本位のリサーチに過ぎませんし、どうも何もまだ決まってませんから、ビザ関係のご相談はカナダ政府公認の移民カウンセラーもしくは移民弁護士の方にお願いします

PGWP狙いの人にはちょっと辛口の切り口で書いてますので(いつも辛口ですが、、、)、新制度が確定するまでPGWPの情報は読みたくないという人はそっと閉じてもらえると助かります


ニュースの発端

現移民大臣も以前から記者会見等でポロポロとPGWPの制度変更を口にしていたので、今年のどこかで変更するんだろうなという印象がありました
数日前から留学エージェント等がやけに具体的なポストをし始めたので、何があったのかと思い調べてみたところ、どうもカナダ政府がDLI(Designated Learning  Institutions)と教育を管轄する州政府にアンケートを送ったことがきっかけのようです

これを見る限り、あくまで業界に対して意見を求めている段階なので、まだ何も決まっている訳ではありません
このアンケートの回答を元に政府は今後制度設計を詰めていくものと思われます

政府の思惑を深掘りしてみよう

今回アンケートの最初にも書かれているように制度変更の意図はPGWP保持者の減少です
一見「カナダは移民を排除し始めたのか!?」とか勘違いしちゃいそうに聞こえますが、私は違うと思ってます
以前も以下の記事に書きましたが、コロナ明けにカナダは膨大な人数の留学生を受け入れてしまいました

24年1月に留学生の人数制限を発表、work permitの変更にも言及し始めているのはひとえに

今すでにカナダ国内にtemporary residentsがいっぱいいるんだから、その人達から採用してね

ということなのだと私は上の記事にも書いたようにずっと理解しています

以下のニュース記事から抜粋すると2023年は前年の29%増、コロナ前の2019年と比較すると63.2%増の1,040,985枚のStudy Permitを発行しています

これどういう意味か冷静に考えると早くて24年から異常に増えたPGWP保持者がフルタイムJobを獲得しに動き始めるということです
25年以降は3年の期限を持ったPGWP保持者がさらに労働市場に入ってきます

つまり、ここ数年のようにじゃんじゃんPGWPを引き続き発行していった場合、今も異常に永住権が取りづらい状況ですが、もっともっと難しくなるということです
なぜなら各年で永住権を発行する数が決まっているから
椅子取りゲームを想像するとわかりやすいと思いますが、決められた承認数に対して永住権を狙う人が増えれば自然と倍率は上がります
そして、すでに国内でカナダの労働市場に貢献している多くの人がビザ期限内に永住権の承認を得られず帰国を迫られる状況です
それらの問題に政府も気付いている
椅子取りゲームの参加人数が多い訳ですから、早いもの順じゃなくて限られた枠数に優秀な人、国や各州が欲しいと思っている職種の人材を優先したいと思うのは当然で、EEのCRSが上がってたり、PNPが激戦区になっているのは仕方ない流れなのかなと思います
カナダは国も州も移民を無限にしたいなんて全く思っておらず、国や州が欲しがっている分野に貢献してくれる人には積極的に永住権を出したいと思っていると思います

以前この記事にも書きましたが、「カナダ人では埋められない分野を外国人で埋めたい」という大きな本音が実は存在すると思っています

私が想像する政府の思惑としては

  • すでにカナダにいるPGWP保持者とPGWP予備軍は専攻を考えても、労働者不足の分野を埋め切れるとは言えない

  • でも、今までにようにPGWPを発給するとどんどん永住権は激化するだけだとも分かっている

  • またビジネス専攻等でPGWP保持者が今後も増えるとカナダ人が望む職業を留学生とカナダ人/PR保持者が取り合いが起こり得る上に、就職困難、失業率上昇、フードバンクに人が殺到するような負の連鎖が起こることが簡単に想像できる

  • なので、労働者不足の分野を学び、そのままその分野でカナダ内で活躍してくれる人には引き続きPGWPを発行したい

  • アンケートの目的欄に「while reducing the overall of PGWP holders」と書かれているように恒久的な措置というより今後増えるPGWP保持者とのバランスや来年の選挙のことも考えて今のうちに対策しよう

という感じかなと想像しています

思惑はあるものの押し切って最終的に現場が困っては意味がないので、DLIや州政府に意見を聞いているというのが今の段階なんだと思います

カナダは留学先として魅力がなくなるのか?

今回のPGWP変更についてのポストが出回ったとき、何人かの人がカナダが留学先として魅力がなくなるんじゃないかというコメントを寄せてました
私としては50% Agreeで50% Disagreeです
自分がやりたい分野で留学したいし、自分のやりたい分野で永住権も狙いたいという人から見れば確実に魅力は減ると思います
反対に永住権取得を目的にしていて、政府が望む分野に進む意思がある人から見ればオーストラリアのような年齢制限もないですし、引き続き魅力的な留学先じゃないかなと思います
他国からカナダの永住権を狙う人は準備もやる気も日本人とは比べ物にならないぐらい強い人達がたくさんいます
恐らくそういう人達からすれば「ここのコースを狙えばいいのね」と気持ちを切り替えてくるだろうなと
ちなみに私自身が3年のPGWP保持者だから実感を持って言えるのは、現時点と恐らくここから何年かは優先職種や修士号/博士号保持者、日本の職歴を活かしてカナダでも同じ職歴を詰める人やネイティブ並の英語力がある人とかじゃない限りPGWPが3年あっても永住権取得はかなり難しいです
なので、今回PGWPの制度が変わらず、自分の取りたいコースでPGWPを取得したとしても、今の永住権の傾向に合致しないのであれば依然茨の道に変わりはないと思います
残念ながら今は以前のような「PGWPを取れば自分が選んだ職業で自分の好きな街に住みながら永住権を取れる時代」とは言い切れないと思います
少なくとも今回のPGWP変更で具体的にどの分野が永住権に近いかがはっきりするので、どんな職業に就いてでも永住権取得が最優先なのか、職業選択が最優先なのかは留学前にじっくり考えるとよいかなと思います

Brace for impact (衝撃に備えましょう)

現時点でPGWPは持ってないけど、PGWP狙いで在学中、入学予定という人は変に慌てたり、異常に不安になるのはなるべく抑えて、PGWPの何かが変わるという覚悟だけをしておいた方がいいと思います

「カナダのダブルスタンダード」でも書いてますが、基本的にカナダはStudy Permitを発行する際に「卒業したら帰るんだよね?」という建前を確立していますから、PGWP対象じゃなくなったとしても留学生側からは文句が言えない状況をうまく作っています

今回のアンケートのKey Questionを見れば政府がどういう方向に舵を切る可能性があるのかはなんとなく想像ができます

もしかしたら語学要件が付くかもしれないし、Job  offerが必要になるかもしれない
単に不安で待ち続けるぐらいなら語学力を上げる努力に時間を費やすとか、Job Offerがもらえるようなレジュメかどうか再試行してみるとか、準備としてやっていけることはあると思います
また、人材不足の職業以外PGWPが発行されないなら専攻を変えてでもカナダ永住権を狙いたいのか、もう一度自分と向き合ってみるということも今のうちにできるかもしれません

何度も言いますが、今は「PGWPを取れば自分が選んだ職業で自分の好きな街に住みながら永住権を取れる時代」というのが難しい状況です
たまたま自分の望む職業が優先職種だったり、自分の住みたい都市の求める職種と合致していればもちろん永住権取得に有利な状況だと思いますが、全員がそういう状態ではないと思います
恐らく24年に予定されているアメリカの大統領選挙や25年に予定されているカナダ国政選挙も含めてこれからもどんどん制度変更や傾向の変更はあり得ると思います
本気で今の時期にカナダ永住権を狙うなら変更を恐れるより、変更は起こると覚悟した上で、その変更に順応していく強さを持つ方が今後の為になると思います

そして、どれだけ制度が変更されようと順応し続け、永住権取得までくらいつく覚悟と資金力がない限り、留学後(もしくは卒業後の就労を経て)日本に帰るプランは想定しておいて損はないと思います


自分の想定通りに進まないことはストレスでしかありません
留学には多額の資金が必要なこともあり、計画途中での制度変更は大きなショックになり得るでしょう
しかし、今までも永住権が取りやすかった時期もあればその逆もありました
永住権取得が難しい時期だから留学時期をズラすというのも個人的には一案だと思います
(いつ傾向が変わるかはさっぱり読めませんが)
ただ、永住権取得が難しい時期と分かっていて、チャレンジするなら、制度変更も含めて覚悟して望まれるのがよいかと思います
簡単に永住権が取得できていた頃の話を参考に考えれば考えるほど、今の状態は理不尽で納得できないと感じると思います
反対に永住権取得はとても難しい時期だし、制度は国や州の都合で急に変わるものだと覚悟しておくだけで、心の衝撃が違います
永住権狙いでPGWPを狙おうと考えている方は是非その辺の覚悟を今のうちにしておかれることを心からお勧めします

本当に毎回毎回厳しい話ばかりで恐縮です

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