0への手紙
雷鳴
風の唸り
なだれ込む雨音
雷轟、ふるえる空
稲光
心に浮かんだのは、数日前に訪れた海のこと
美しい青の一帯
風が止む
そして、静寂
“もうすぐ、終わろうとしている”
でも、決して終わりではない
“そして、始まる”
でも、すでに始まっている
0という数字の真新しさにどきどきする
生まれたての卵の形
始点と終点をなめらかにつなぐ
どんな形にもなれる、最強の魔法
轟く雷鳴
はげしい雨風
そんな時に、心に浮かぶ景色がひとつでも多くあれば
それだけで、穏やかな眠りとまぶしい朝日を信じて待つことができるから
夜は秋からのベルが聞こえる
高い澄んだ音色が、夏の終わりを予感させる
朝が包みこむ
細胞が目覚めだす
今日は満月だという
笑顔が咲きますように
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