瀬尾さん作品2冊

瀬尾まいこさんという作家さんをご存知でしょうか?本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』の映画化にあわせ、雑誌『ダ・ヴィンチ』最新刊で瀬尾さんが特集されていました。最近の瀬尾さんの作品はどれも読んでいたんですが、過去の作品で未読のものがあったので、その中から2冊を読んでみました。

『強運の持ち主』。こちらは、仕事をやめて主人公が次に選んだのがなんと「占い師」。初めは師匠の教えに忠実にちゃんと占っていたものの、途中から面倒になって、適当に直感で占うようになるのがまずは面白い。それでも客足は途切れず、なんとなく寄り添って依頼主の問題を解決しようと奮闘し、依頼主も一歩前に進めるようになります。「終わりが見える」特異能力があるとアシスタントを志願して主人公の隣りに居座る大学生、占いの師匠、そして主人公の夫と、個性的でクスリとする愛すべきキャラクターも多く楽しいです。

もう一冊は『僕らのごはんは明日で待ってる』。兄を病気で亡くして以来、周囲に心を閉ざし人が死ぬ本ばかりを読んでいる主人公。運動会の競技でペアを組むことになった同級生がきっかけで徐々に心を開き、主人公の人生もまわりはじめ…。

こちらも、日常の何気ない、でもちょっとユーモアのある会話で2人の関係が深まっていき、読んでみると恋愛ものなんですよね。愛してるとかのワードや大胆な性描写があるわけでもないのに、しっかりと恋愛ものとして成立しているのが瀬尾さんらしいというか、手腕だと思います。めちゃくちゃ良かったです。沁みました。

とっても読みやすい文章で、クスリとされられる会話にホッとしたり、温かい気持ちになれるような二作品です。瀬尾作品にハズレなし!誰にでもおすすめできる作家さんです。






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