=読書感想文=女たちよ! 伊丹十三著 新潮社
–この本を手に取ったきっかけ–
新幹線で福岡に帰る時に立ち読みした雑誌「POPEYE 本と映画のはなし」で二人くらいこの本を紹介していたので興味を持ちました。
ビジネス系の本以外はほとんど読まないので、長い新幹線の娯楽程度に購入しました。娯楽といったら失礼だけど、最高に面白かったです。
乗車率200%、通路まで満席のイライラ空間のなか、笑いをこらえるのに必死だった。
苦痛な移動を強いられるときにおすすめです。
そのため、この本のネタバレは避けたい。そのためレビューとしてあまり深く書きません。実際に読んで楽しんでください。
本のレビューについて、伊丹十三氏風に言ったらこうかもしれません。
「書評とか言って人の本にケチをつけて、ネタをバラす下品な行為」
氏はもちろんそんなこと言っていません、、、でもこの本を読み終わったら、みんなそんな口調になっているかもしれません。
これだけでは、自分に合うかわからないという方のため、触りだけ書きます。ここで、面白いと思った方は、最後まで楽しめると思います。
「日本人は真似の天才であるという。なにが、なにが。本物を知らないからそんな甘ったれたことが言えるのだ。遠慮することはない。できるんだったら、もっともっと真似を押し進めて、ついには本物を凌駕するところまでいけばいいじゃないか。-中略-ただ、優れたものを取り入れる時には、それを自分の狭い視野と貧しい感覚で持って、低い次元にまで引きずりおろし、歪曲するということをするべきではない、というのだ。根本精神をあやまたずに盗め!」
スパゲッティを、「スパゲッティの名を借りた炒め饂飩の域を出ない」といい、フランスにある使い捨てライターのアイデアを輸入した日本は、それにアジャスターをつけ、ストッパーをつけ、その上、ガスの入れ替えを可能にして、お好みのカラーと柄を揃えた。
これに対して、「こんな安物をも飾り立てずにはおられない。それがかえって貧乏たらしいことに気づかない。これは安物だからガスがなくなったら捨ててしまうんだ、というところがクリケットの颯爽たるところじゃないの。なんにもわかっちゃいない、のです」
そして、本物のスパゲッティの作り方が書いてあります。いくつのホンモノが書かれている。いつかこの本に書いてあるレシピを全部再現して見たい気になる興味深い料理方法がたくさん。
中華にしかり。「肉屋なんぞに、餃子の皮と称する煎餅のようなものを売っているが、冗談じゃない。あんなものを使うのはよしましょうね。餃子の皮を自分で作らないくらいなら、餃子なんか初めっから作らなきゃいいのです。」ときたもんだ。
料理の腕も舌も一流なんでしょうね。
終始この調子です。タイトルにしても、内容にしても、今なら炎上間違いなし。
でも、今だから笑って当時のこの本を楽しめると思います。そして、今でも多くの内容が新鮮で通用すると思います。
さて、読んでみたくなりましたか?
–スタート–
いつもならまとめがスタートしますが、ご自身で読んで楽しんでください!
—最後に、—
この本を読んで、一番悔やまれること。
この本は、私が生まれる7年前の1968年に発売され、その以前からの経験に基づく著書です。
海外旅行が一般化する少し前の時代に、欧米諸国を周り、実際に生活し、海外の友人との交流、この経験に基づく、博識と見解から見た日本はさぞかし不思議国で、当時最高の伊達男だったと思います。こんな人と実際に話す機会がたくさんあったのに一言も話さなかったのが残念です。
伊丹十三氏は、小学校の同級生のお父さん。なぜ、小学校1年生の時、この本を読んでいて、「女たちよ!を読みましたよ。旦那」と話しかけなかったんだろう。
読書習慣は、早ければ早いほど得です。
子供に読書習慣を。
テレビ人であった著者も言っています。
「テレヴィジョンを見る時間が本を読む時間を超えるということは絶対に我慢がならない。この両者の比率は、五対一くらいが健全というものであって、ましてテレヴィジョンだけ見て1日暮らすというのは明らかに狂人か痴呆の技である。」
さすが!
この本の中で、気になった本。伊丹十三氏が、旅行の度に再三読んだという「味覚極楽」次に読むリスト行きです。
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