未来はみないで〜後追いオタクのコロナ禍と宣誓と〜

生後1年半の後追い拗らせオタクが時差の壁をブチ破ろうと涙し、コロナ禍でまた推しに救われてしまった2019-2020の振り返りと、因縁のドームツアーについて。

2019年秋。
推しバンド、THE YELLOW MONKEYが昨年30周年を迎えた記念に、毎週金曜日に商品化されていない過去のライブをyoutube上に公開するという企画が行われていた。
フェスやイベント、貴重なアマチュア時のライブも公開され浮き足立ちまくった結果、
20代後半の女が花の金曜日に一切予定を入れず、公開される21時に正座をして待機をするという涙ぐましい光景を繰り広げていた。

葬式JAM事件

THE YELLOW MONKEYは2000年に休止を経て2004年に解散しているけども
2016年の再集結までに一度だけ、4人がTHE YELLOW MONKEYとして演奏をしたことがあった。

2004年12月26日「メカラウロコ・15 東京ドーム」。
演奏されたのはロックアンセムであるJAM。

批判を恐れずに言ってしまうと、動画で観ても、全然カッコよくなかった。
特にロビンではない吉井和哉、エマではない菊地英昭、心ここにあらず。
もちろんメンバーのソロワークは各々のパーソナルな部分が垣間見ることができて大好きなんだけれど、
THE YELLOW MONKEYとしては死んじゃってて、「魔法が解けちゃった」感じ。

とはいえ新参ファンはいままでカッコよくない彼らを観たことがなかったから、知らなかった彼らの歴史をまた一つ知れたことに少し興奮を覚えた。
生きてるバンドって魔法なんだな、と、いまリアルなロックバンドとして返り咲いてることが奇跡なんだなと。

一方、当時リアルタイムで休止、解散を経験し東京ドームに足を運んだファンからは、「葬式」「悲しすぎて観れない」等のコメントやSNSの呟きがあった。

そうか…休止から4年待ってやっと公式のイベント、しかもサプライズの登場でこれだもんな…
この悲しみとやるせなさはリアルタイムで経験してないとわからない。
わたしがどうやっても持ち得ない、想像でしか補えない感情が羨ましい。
休止、解散を経験していない自分が彼らのことを深く知っていると言えるのだろうか…と。
休止、解散を経験している先輩方は、いまの復活劇はどんなに輝いて見えているんだろうか…。
嫉妬と絶望のようなものを感じていた。

この動画が公開され、勝手にブチのめされたのが、2019年12月26日。

翌日2019年12月27日にはミュージックステーションの出演があった。曲目はJAM。
15年前の東京ドームで4人が纏っていた黒い衣装とは真逆の真っ白な衣装で。

さらに2019年12月28日「30th DOME TOUR」初日ナゴヤドーム公演。
バンド結成からちょうど30周年の記念日にあたるこの日のライブでももちろんJAMが披露された。
真っ赤なライトで照らされた名古屋ドーム。
悲壮感よりも純粋なバンドの喜びに溢れたステージ。

3日連続でJAMを聴くことになり、
公演後の名古屋・今池の寿司屋で泣いた。
2004年の葬式のJAM、白い衣装の贖罪のJAM、名古屋で観たのは再生のJAM。

2016年〜2019年はTHE YELLOW MONKEYにとってファンへの贖罪の旅だったようにも思う。
それを2019年12月28日、たしかに終わらせた。
youtube、テレビ、ライブの3つの媒体で3日間、過去現在未来のJAMを食らったことによって、すっかり機嫌をなおしていた。鬱から躁。
まんまとハメられた。
わたし、リアルタイムで推せてるじゃん…!!
THE YELLOW MONKEYは未来をみている。
あなた達がそれを許してくれるなら、わたしも同じ方向を見よう。それでいいじゃないか、と思えた。

そして2020年。

大阪事件

2020年2月11日「30th DOME TOUR」2日目・京セラドーム大阪。

仮病して日帰りするか…?とも思ったがさすがにイチ社会人として参加を泣く泣く断念。
そのうちにチケットがソールドアウト。

あとからで感想を拾うと、
どうやら吉井の声が本調子ではなかったらしい。

数日後、吉井和哉本人が更新するブログで、声帯結節がある旨が書かれていた。

ブログの最後はこう締められていた。
「神様、声だけは奪わないで〜」

吉井和哉はドラマチック病なので、あんまり間に受けないようにしているがさすがに動揺してしまった。

そうか、バンドとしてのスタンス、セールス的にも既に安定している今、彼らは自分自身との闘いというフェーズに入っているのか。

そして、コロナウィルスという未だかつて誰も経験をしたことのない大きな敵がイエローモンキーだけでなく日本の、世界の音楽興行を停止させることとなる。
このライブがイエローモンキーとしてのコロナ前最後のライブになった。

吉井の喉、残りのドームツアーは因縁の東京ドーム2days、ドームツアー終了とともに予定されているバンドの休養、日に日に近くなるコロナウィルスの猛威…
いままで当たり前に、変わらずみられると思っていた未来。
先行きが見えないまま、2020年3月16日。

深夜の音楽番組ではあるけれど大阪ドームで披露した最後の曲目「未来はみないで」が丸々一曲放映された。
大阪ドームではじめて演奏された曲だけれども実際に作られたのは2015年。
イエローモンキーが再結成を公にしておらず、水面下で準備をしていた頃に完成した。
けれど復活の一曲目にはならなかった曲。

ーーあなたはこの部屋を出て行くのでしょう。
ーーまた会えるって約束して

確かにリユニオン1曲目にしてはあまりにも切なく、続くかわからない未来より今を大事にする気持ちを赤裸々に歌った曲だった。
しかし偶然にも"部屋から出られなくなった"状況に対しての切望を予見した曲になっていた。
力のある楽曲には世に出るべきタイミングと運命がある。
イエローモンキーにしてはあまりにも優しいその曲はわたしにとって希望になった。
優しいロビンの声、宝物のように大切に弾くエマのギター、歌うようなヒーセのベース、包み込むようなアニーのドラム。
よかった。きっと彼らはもう大丈夫、どんなことがあっても。

4月に予定されていた東京ドームは延期となった。


そして11月3日の東京ドームを皮切りに、再びライブバンドが動き出す。
有観客の大規模ライブとしては初めて。

医療でも介護でもなく、自分も不要不急の職業でメシを食っているので、仕方ないことだけれど存在を否定されてしまった4月〜5月。
真剣に仕事としてやっているし、感染を拡げることが悪なのであって自分の生業である娯楽は悪いことじゃない。
でも誰もやり方がわからないもどかしさ。
そんな中でもライブが得意なこのバンドに救われた。
誰かが最初にやらなきゃいけない、その先陣が絶対の信頼を置いているバンドで本当に嬉しかった。

この数ヶ月で、もう無観客で全然いいですという人もいてそれは否定できないし、演者と観客が一緒に作る音楽、施設、音響、その他多くのビジネスが廃れていく潮目なのかもしれないけれど、ライブを支持します、イエローモンキーを必要としていますという意思表示として参加したいと思う。

そして、未来はみないで、とはいいつつも海外におけるローリングストーンズのような、エアロスミスのような、日本にはいなかった王道でゴージャスでライブが好きなバンドになる未来をみるまでは絶対に追い続けるぞと決心したのでした。

どうなるかはわからないけれど、とりあえず今いっしょに踏み出したいので、ドームツアーめちゃめちゃ楽しみです。


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