見出し画像

『ルックバック』を見てルサンチマンを知る

「ルックバック」を見まして。
主人公の藤野ちゃんは自分より絵がうまい京野に出会って、もっとうまくなろうと努力するほうに動いたけれど、私はその逆で、はなっから無理なんだと絵を描くことさえやめてしまうのでは?と思いました。
そんなことを考えていた中で、出会ったのがこのルサンチマンと言うワード。

ルサンチマン: ressentiment、 (フランス語発音: [rəsɑ̃timɑ̃]) )は、弱者が敵わない強者に対して内面に抱く、「憤り・怨恨・憎悪・非難・嫉妬」といった感情。
そこから、弱い自分は「善」であり、強者は「悪」だという「価値の転倒」のこと。

ルサンチマン - Wikipedia

「ルサンチマン」とはフランス語であり、デンマークの思想家セーレン・キェルケゴールが想定した哲学上の概念である、とのこと。

ちょっと待って!
キェルケゴール!?
それって、ジャンプラで連載中の「実存アンプラグド」の主人公のこと?

こちらの漫画「実存アンプラグド 」ですが。
言いたいことがありすぎてこの世界に戻ってきてしまった哲学者たちの一人キルケゴールが、東京・中野を舞台にバンドを組んで思想を歌に乗せて伝えていく、といった内容で。
(哲学的なことを話すと中二病っぽくなる感じが何とも好きです笑)
まさか、ここで出会うとは。ちょっと嬉しい。

そしてこの「ルサンチマン」は、キェルケゴールが概念を想定したあと、

フリードリヒ・ニーチェの『道徳の系譜』(1887年)でこの言葉が使用(再定義)され、マックス・シェーラーの『道徳の構造におけるルサンチマン』(1912年)で再度とり上げられて、一般的に使われるようになった。

ルサンチマン - Wikipedia

と広がって行きます。
主にニーチェさんが広めがようです。

例えば豊かさを手に入れることができない弱者は、富を手に入れている成功者に嫉妬を感じてしまいます。
ですが自分の中にある負の感情に着目せず、
「豊かさを手に入れるために、あいつはひどいことをしたに違いない」だとか、
「金持ちは友達が少ないから可哀想だ(そんなことはないと思うけど笑)」とか。
何かしら負のレッテルを貼って安心する。
そんな感じかな。

藤野ちゃんが京野の漫画を前にした時は、嫉妬はあったかもしれないけれど。
それをこじらせて京野をやっかんで、
「引きこもっている子なんだから漫画家になれるわけがない」
とかなんとか、否定的な感想を持つことはなくて。
「自分よりうまい小学四年生がいること」が許せないのだと叫び、自分はもっとうまくなろうとデッサンの本を買い、ひたすら絵を描きまくるわけですよ。
すごいわ。小学四年生の藤野ちゃん。
全くルサンチマンらない(使い方笑)

ルサンチマン自体は誰にでもある感情だから、それを抱いてもいいのだと思います。
嫉妬さえ感じないのは、もしかしたら向上心がないためかもしれないし。
すべてに満たされているとか、そもそも欲もなく、何も感じない人もいるかもしれないし。

でもたとえ嫉妬しても、うらやましい、憎たらしいと思ってしまっても、さらにその後、成功している人を貶める方に動くのではなく、いやいやまてよと立ち止まり、次に自分を持ち上げる方向に力を注いでいけたらいいなぁと思いました。

うむ。
ふわっと聞いたことはあったのだが、しっかり向き合えてよった、ルサンチマン。

これからは、「あ、今の私の感情ってルサンチマンだったかも」なんて口にしちゃえば、嫉妬とかやっかみなのに、ちょっと崇高なイメージを纏えそうだし(笑)
それをきっかけに、自分と対話はじめちゃって。
「それが羨ましいのは、自分がそれになりたいって思っているからなんだね。だったら素直に認めて、そちらに近づくために出来ることは何か考えてみようか」
なんて自問自答しちゃったりして。

ルサンチマン、これからちょっと使っちゃおう~
(ヤッターマン的ななんとかマンに見えなくもない笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?