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学力差の要因は何だろう?~志水宏吉さんの本を読んで~
1 はじめに
最近学校に勤めていて感じるのは、
子どもたちの間の学力差や学校間の学力差の要因は何だろうか?
ということです。
この疑問に対する1つの答えを示してくれていると感じたのが、今回参考にした「『つながり格差』が学力格差を生む」(志水宏吉著、亜紀書房)です。
2 学力差の要因
この本の中で分析しているデータは、昭和に行われていた全国学力調査や、現在毎年行われている全国学力調査の統計データです。
この本では、総人口や老年人口割合などの「人口的要因」、消費支出や生活保護率などの「経済的要因」、児童生徒1人あたりの教育費や大学進学率などの「教育的要因」といった統計指標をとり、学力の相関を調べています。
その結果、昭和、現在の学力テストの両方で、経済的諸要因が学力と強い相関があるとわかったようです。
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3 現在のテストで強い相関が見られるようになった指標
昭和のテストでは強い相関が見られなかったが、現在のテストでそれが見られるようになった指標があるようです。
それは、「離婚率」「持ち家率」「不登校率」です。この3つが学力と強い相関があったようです。
この3つの指標は、昭和ではどの地域においてもさほど変わらなかっただろうと思います。しかし、現在では地域によってこの3つの指標の数値は、かなり差があると考えられます。
特に著者は、大阪府に注目しております。
大阪は、昭和のテストでは上位でしたが、現在のテストでは順位が下から数えた方が早いというくらいまで下がってしまっています。
その要因を考えるために、この3つに注目しています。
4 「つながり格差」という考え方
上述した現在のテストに強い相関が見られる3つの指標について、志水さんは、「つながり格差」と呼んでいます。
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5 志水さんの「学力」の捉え方
学力については教育学の見地から、ピアジェ的な学力とヴィゴツキー的な学力がある。
ピアジェ的な学力は、思考の発達に注目しており、具体から抽象、論理的に物事を考えられる学習者を、理想的な学習者と考える。これは、個人の頭の中で起きる変化に着目する。
それに対してヴィゴツキーの学習観(学力)は、「発達の最近接領域」に代表される考え方(一人ではできないが、他者のサポートがあればできる)で、身近な他者の的確な援助こそが、学習の成功のカギとなる、という考え方です。
志水さんはヴィゴツキーの学習観から、つながり格差の着想を得たと述べています。
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6 最後に
最近は個別最適な学びや協働的な学び、とよく言われております。前者はピアジェ的な学習観、後者はヴィゴツキー的な学習観からの着想なのでしょうか?
この本はまだ途中までしか読めていませんが、生徒間の学力差を埋めるために大切な考え方を教えてくれそうな予感がします。
ある程度読み進めましたら、また記事にしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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・参考文献
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