前編の記事は、こちらです。
1 どんな問題を解かせるか
今回、Chat GPTに解いてもらう問題は、
2023年度共通テスト数学Ⅰ・A第1問〔2〕(1)です。
・ この問題を選択した理由
まず、最新の問題を解かせたいので、2023年度の問題を選びました。
次に数学Ⅰ・Aを選んだ理由は、数学Ⅱ・Bより受験者数が多いからです。
第1問〔2〕(1)を選んだ理由は、他の問題は絶対値記号や図があるため、Chat GPTに解かせることが難しいからです。
2 使用したChat GPT
GPT-4o(無料版)を使用しました。
3 正弦定理を使いなさいと指示すると
前編で書いたように、GPT-4oは余弦定理や円周角の定理を使って、$${sin∠ACB}$$の値を求めていました。
では、人間側から「正弦定理は使えないか?」と聞いてみました。
以下が、GPT-4oの回答です。
ついでに、一般的な解法を載せておきます。
GPT-4oの回答は、明らかに手順が多く、効率的な解答とはいえません。
4 回答から見えたGPT-4oの思考の癖
GPT-4oの回答から、思考の癖を私なりに考察してみました。
前編の記事で書いたGPT-4oの回答もそうですが、GPT-4oは必ず最初に△OABに注目しています。
でも、高校生が解く場合、△ABCに注目するはずです。
この2つの三角形のちがいはなにかというと、頂点に点Cを含むかどうかです。
点Cは円周上を動く動点なので、△ABCは形が変わります。ですが、△OABの場合、すべての頂点は動かないので、決まった形です。
△ABCは形が変わりますが、円に内接しているため、正弦定理を使うことができます。
GPT-4oは、変形する三角形を避けて思考しようとしているかもしれません。
その結果、簡潔ではない回答になってしまいます。
また、「正弦定理を使いなさい」、と人間としては効率的な方法を提案したはずが、結果的により煩雑な思考をさせてしまう結果になりました。
5 最後に
今回は上述したような、GPT-4oの思考の癖を見ることができました。では、他の場合ではどうか(円ではなく三角形、動く点が2つなど)など、さらなる疑問も生まれました。
また、どのように指示すれば、一般的な解法で示した解答が得られるのかも気になるところです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。