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【推し本④】活眼活学(前編)

 今日は、「活眼活学」(安岡正篤著 PHP研究所出版)を読んだ感想を書きます。

1 きっかけ


 まず、この本を読んだ経緯を書かせていただきます。

 実はこの本、購入したのではなく頂いた本です。
 小学校1年生から9年間通っていた塾の先生から、辞めるときに「ぜひ読んでみて!!」と頂きました。

 しかし、中学校3年生の私が読むにはかなりハードルが高く、(当時母も難しいと言っていた記憶があります(笑))最初の数ページで断念しました。

 もちろん後で読もう、後で読もうと思い、本棚に置いていたのですが、そろそろかな~と思い読み始めた次第です。

2  臍のない人間

 この節を読んで、まず共感したのは、「日本人に臍の無い人間が多い」ということです。

 「臍」とは、誰しもが母の胎内にいたときに栄養を吸収していた臍の緒を切った後にできるもので、それが無い人間はいません。つまり人間は連続した生き物であり、臍は伝統の象徴です。

 しかし、日本人ほど、伝統を重んじない民族はいないと書かれています。私自身も耳が痛い言葉です。


 例えばオリンピックの開会式を例にお話しすると、海外と日本の開会式では、やはり海外の方がすごい!!と思いましたし、日本の伝統芸能のすごさはちっとも分かりませんでした。

 でもそれはそうですよね。自分でこれまで日本の伝統に触れようと努力していないから。しかしそれでは民族性が薄れ、伝統は消えてゆくでしょう。日本人のアイデンティティはどうすれば醸成されるのでしょうか。
 難しい問題です。


3 東洋文化と西洋文化の違い

次に東洋文化と西洋文化の違いについて、様々な例を用いて比べており、とてもわかりやすかったです。

 西洋文化は、「一つのものが限りなく自分を分化し、発言しようとする特徴がある」のに対し、東洋文化は、「複雑な差別を統一して、なるべく内に含蓄しようとする特徴がある」と書かれております。


 例えば服です。
 西洋文化では「外出用はこれ」「運動用はこれ」というように用途によって分化されます。東洋文化、つまり和服ですが、融通性・統一性をもったものになっています。
 帯は、礼をするときにみぞおちから折れず姿勢を崩さないために作られています。また和服には花鳥風月など、美も付与されております。


 また俳句にも東洋文化の特徴がよく表れていると書いてあります。俳句は五七五でその場の情景や心情、季節を伝えるわけですが、これって実はすごいことです。たかが17文字で伝えるんです。


 例えば松尾芭蕉の、「古池や 蛙飛び込む 水の音」。これだけで情景が思い浮かびます。これを英訳させて日本語訳したものが紹介されています。こうなるそうです。
「さびしい池が幾代か経た静けさの裡に眠っている 離れて、じっと、何の響きも動きもなく、その時、突然その中へ一疋の剽軽な蛙が飛び込んだ」
これでは説明ですよね。65文字です。これをたったの17文字で芭蕉は伝えたんですからすごいですね。このように、説明されずとも句の中に多くのものを内包できる日本の文化はすごいと感じました。
また同時に、「文を読めば理解できる日本人」でありたいと思います。


4 ※超重要 知識の3段階

 次に大切だと感じたのは、「知識・見識・胆識」です。知識というのは、本を読めば身に付くものです。理論もそうです。

 しかし理論闘争というものがあり、これは知識では解決できない。そこで「見識」が必要なんです。
 例えば、一つの問題に対して、色々な人が知識をもって解決策を助言します。しかし、どう判断するかは、自分の体験や人格等が元となります。これを「見識」といいます。

 さらに物事を実行するには、周りから様々な批判を浴びます。これを断乎として排除し実行する知識・見識を「胆識」といいます。


 この「胆識」って大切ですよね~。
 特にこの情報化社会、情報があふれているからこそ、記事を読んだだけで理解した気になるし、自分に都合のいい理屈を作ってしまう。
 でもそれはいざというときに役に立たない。
 だから「やってみる」ことが大事だし(見識)、その経験が「胆識」になっていく。

 これはとても大切だし、とてもわかりやすいと思いました。
 またこれを身に着けるには、「学問」をしなければわからないとあります。

 次回、この本の後半に書かれているところ(第2節以降)から、感想を書きたいと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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