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テキトー漫画レビュー③【青春のアフター/ショーハショーテン!/光が死んだ夏ほか】

さて、今週もやってまいり以下略。
7カ月ぶりのこの企画。

ぶっちゃけ、もうやめたい(暴露)

このオムニバスみたいな感じでレビューする形式、あまり求められてない感じもあるし、何より私が求めてない(なんでやってるの?)

だって忘れちゃうんだよ感想を。ある程度数が溜まるまでに。
それが本当に良くない。
鉄は熱いうちに打てといいますけど、レビューも早い方がいいに決まってますわ。

とはいえ。
溜まったものもあるにはあるので、一応消化しようかなという感じです。
てか公開しなくても、下書きに読んだらすぐ書き溜めておけばいいんだよな。「テキトー」と銘打ってる割に気負い過ぎてるから、そんな面倒なことはできないという。

はい。
言い訳もこの辺にして、さっそく行きましょうか。
ぶっちゃけ最後の「青春のアフター」の話がしたいだけなんだけどね。

良かったらお付き合いください。
以下、ネタバレ注意です。


31.ショーハショーテン!

既刊4巻分および本誌最新話まで読了時点

ストーリー 8/10
作画 9/10
キャラ 8/10
総合 ★★★★☆

うん、おもろい(適当)

作画は『バクマン。』の小畑健さん。
原作は違うけど、バクマン的な匂いのするお話で、お笑い芸人版成り上がりストーリーという感じ。

原作の人は相当バクマン。が好きなのか、小畑さんの影響なのか、とても読み味が似てて、キャラの立て方も似ている気がする。
何より、作中の漫才がちゃんと面白くて笑えて、理論も(素人目には)納得してしまうので、こういうワナビ物語の要点は完璧に抑えた教科書的な作品だと思います。

4巻あたりから描かれる相方のバックグラウンドは、割とシリアスなんだけど、ちょくちょくギャグ(そしてツッコミ)を挟むので、全く読み味が暗くならないのは独特だなと思う。

最近、ひと段落して中盤の訴求力(読者が読み続けたいと思う持続力)が落ちている気もするけど、単純に私が展開を忘れている可能性もあるので、そこは一旦保留します。

どうでもいいが、私は出版社の面接で「テレビとかお笑いを全く許されなかったお嬢様が漫才やる漫画とかどうですか?」と話していた。
しかし、ショーハショーテン!はこれから益々売れるので、この企画はもう使えないなーと読みながら思うのでした。


32.亜人

全17巻読了済み

ストーリー 7/10
作画 7/10
キャラ 6/10
総合 ★★★☆☆

これもかなり前に読んだのでかなりうろ覚えだが、一気読みだった。
デスゲームなどに近い緊張感で、キャラを好きになるというより、「先が気になる」という一点だけでページをめくりたくなる作品。
こういう作品は個人的には好きだけど、あまり残らないというか、長く愛されづらい気もするから、時代的には不利かも。ジャンプとかだと特に。

「死なない」というシンプルな設定から、頭脳戦を展開しているところが一番の評価ポイント。悪役の佐藤が、自ら粉々になりにいくところは震えた。恐怖で。

なぜか幼馴染の海斗との関係性が最初と最後で強調されるが、個人的にあまりしっくりこなかった記憶。

33.光が死んだ夏

既刊2巻読了時点

ストーリー 5/10
作画 8/10
キャラ 7/10
総合 ★★☆☆☆

「このマンガがすごい!2023」オトコ編第1位として輝いた本作。

が、私にはあまり刺さらなかった。
めっちゃ嫌いでもないけど、めっちゃ先が気になるでもない。

まだ2巻しか出てないから、この先面白くなる可能性は全然ありそう。とは思いつつ、この2巻で第1位になったんだ、という驚きは正直あった。

プロット上の驚きというか、展開があまりない。
簡単に言うと話があまり進まないからだ。

シンプルに言うと、人外ホラーなのだが、その人外は死んだ少年のガワを被って人に紛れて生きている。彼と友達だった主人公はそれが人ざるものではないと知りながら、死を受け止めきれずに人外を拒めずにいる。人外はそんな主人公にヤンデレ的な執着を見せる。という感じ。

私が人外モノに滅法疎いのもあるが、この雰囲気と関係性のエモを全面に推し進める感じが、少年マンガっぽくはない。
元はBLとして描かれていて、その雰囲気は割合残っているので、「オトコ編なのにやけに女性向けっぽいな?」と最初思った記憶がある。

ことごとく私の好みではないけれど、好きな人は全然いそう。この後の展開によっては好きになる可能性ももちろんあるけど。
今のところはNot for meだなという感想かな。

絵はとてもおぞまくしてすごい(小並感)

34.いちご100%

全19巻読了済み

ストーリー 6/10
作画 9/10
キャラ 8/10
総合 ★★★☆☆

最新の女性向けマンガから一転、往年のゴリゴリ男性向けハーレムマンガへ。
たまーに読み返したくなるんだよね何故か。
作画が9点はちょっと贔屓目かもしれないですが、しかし少女の顔の一枚絵というか、その完成度はやはりすごい。シンプルに東城綾のキャラデザが好き。

昭和くさい諸々や今だったら叩かれそうな展開も大いにあるが(そもそも、いちごパンツ見て始まる恋ってなんやねん)(何よりこれを描いてるのが女性ってのがすごい意外)、このラブコメ今では珍しい展開の仕方してるんだよな。

分かりやすい例がニセコイとか、普通のラブコメって付き合うまでを描くことが多い。恋においては、両片想いの時期こそが物語としても、現実においても、最も楽しくて美しいですからね(諸説あり)

だけど、いちご100%では「付き合って別れる」的な変遷が見られる。
「自分の決断が誰かを傷つけてしまう葛藤」という恋愛における心情をしっかり描いているのが個人的には好きです。
まあ、後半(11巻以降)になるにつれて流石に目に余るというか、話ごとに気持ち揺れ動きすぎて、「主人公どうなっとんねん!」ってなるにはなるけれども。

しかし、同じ夢を持つ東城綾と、映画を共に作ることで関係を築くという構造は、どうしようもなく好みで、その青春特有のエモさを求めて読み返している節があるかもしれない。

だから、やっぱり結末は東城エンドにしてもらえませんか?
そこをなんとか…

35. JKハルは異世界で娼婦になった

既刊6巻分読了時点

ストーリー 8/10
作画 8/10
キャラ 7/10
総合 ★★★★☆

珍しく異世界もの。珍しいというのは市場ではなく、私の読書傾向的に。
そもそもファンタジーをあまり読まないけど、なぜか手に取った。最近娼婦論みたいなのを読んだからかもしれない。

話はそんなシリアスなものでは当然なく。
原作は「なろう」に投稿されたものだった模様(読み終えてから知った)。

しかし、「なろう」特有の嫌味や臭みは感じない。
主人公のハルは言ってしまえばギャルで陽キャ。そんな彼女が、男尊女卑の異世界を強くも、明るく生き抜く物語だ。
タイトルからの印象に反して、あまり性別を選ばない作品だと思う。というかマンガアプリでは「女性マンガ」に分類されているらしい。

設定にはキャッチ―さもあるし、各々のストーリーも面白いが、ストーリーの構成はまだ改善の余地がある気もする。
特に序盤はかなり日常回というか、本当に異世界のお仕事を日々こなすプロットが続くので、主人公の目的が分かりづらい(というか、そんなものはない)。
とはいえ、こうしたエッセイ的マンガというか、エッセイ的フィクションというか、ドキュメンタリー的フィクションというか、語義矛盾が凄いが、そういう傾向は最近増えている気もする。物語を通しで見るのではなく、一話一話の単体で見ることが増えたからだろうか。

しかし、終盤になって一気に物語が加速する。
シリアスな悲劇が起きて、主人公は怒りに震えて行動する(急にネタバレ配慮)
ここで隠されていた作品のギミックが明かされるのだが、急にカタルシスを感じてとても良かった。(伏線はなかったが、それでよかったと思う)

ただどうしても一緒に転生してきた「千葉」というテンプレキャラクターは必要だと思えない。ある意味、異世界転生のテンプレ主人公へのアンチテーゼというか、「なろう」への対抗のようにも感じられる。その人格と思想を批判する(もっと俗っぽく言えば、愚痴る)為に登場させられているみたいな。

何にせよ、あと1巻で完結っぽいので早く読みたい。気になる作品です。

36. 青春のアフター

全4巻(+IF,IF NOT)読了済み

ストーリー 9/10
作画 8/10
キャラ 8/10
総合 ★★★★★

さて、今回のメイン。
これを書きたいがために他の5作品の講評を捻り出したといっても過言ではない。

久しぶりにこういう漫画に出会った。
私の読書体験的には、小説だとまだあるんだけど。この「いつまでも作品のことを考えてしまう」感覚。

正直、手に取った時は、普通のラブコメかな?と思った。
一巻の裏には32歳の主人公と28歳の女性が、16歳の少女を間に挟んで手を繋いでいる後ろ姿が描かれている。
これだけだと「よつばと!」みたいなアットホーム日常ちょっぴりラブコメみたいなものを想像しても、仕方がないだろう。

実際の読み味は、最悪だった。
これは誉め言葉だ。最悪に居心地が悪くて、人の浅はかさ、愛情の醜さ、どろどろした未練の気持ち悪さが、最高に最悪だった。

そんなにハマると思っていなかったから、正直1巻は流し読みしていた。
だが、この作品はどんどん心の深部を描き出していく。

簡単に説明すると、根暗主人公は高校生の時、同じクラスの根暗女を好きになり、なんなら勝手に勘違いしてフラれる。挙句の果てに彼女の恋路を邪魔し、彼女に「いなくなっちゃえばいい」とまで吐き捨てられる。
しかし、その刹那、彼女は目の前から消える。物理的にどこにもいなくなる。

物語は主人公が32歳になってから始まる。
彼は16年という月日を経てようやく初恋の呪縛から抜け出そうとしていた。新しい恋人もでき、同棲生活がいざ始まろうというタイミングで、例の彼女と再会する。それも、16歳の、当時そのままの彼女とである。

彼女は消えたあの瞬間から、16年後にタイムスリップしたのだという。記憶の混濁し、行くあても無い彼女を、主人公は自分の家で一旦預かることに。同棲生活は二日目にして、三人暮らしへと変貌することになった。

この作品で描かれるのは、徹底して、
「今の恋人を大事にしたい心と、初恋の傷がフラッシュバックして溢れてしまう心」
その葛藤、揺れ動きである。

都合がいいことに、もしくは都合の悪いことに、
タイムスリップした彼女は、そのことを誰にも信じてもらえず、唯一の拠り所である主人公に好意を寄せるようになる(元々友達として嫌いではなかった)。

それ故に、主人公の中の「絶対に振り向いてくれなかった彼女」「自分のものにならなかった憧れ」という絶対的な前提が崩れ去る。過去の思い出が、肥大し美化し歪んだ憧憬が、理性を突き破って暴れ出してしまうのだ。

人は恋をするとき、愚かになるという。
しかし、同時に恐ろしいほど、欲望の充足のために、狡猾にもなる。

主人公に限らず、こういう人間のリアルな心情を描き出している点でこの作品はとても好みでした。やったことないけど平静初期のエロゲ的なストーリーなのかもしれない。純愛を希うが故に、人を傷つける、的な。いっそ悪に振り切って二股でもすれば苦しまなかっただろうに、みたいな。

実際に、この作品は「青春の後始末」と何度も作中で言及されているように、終わらせられなかった想いの残骸を片付けるようなプロットだ。それは主人公にせよ。ヒロインにせよ。
だから、どう足掻いてもこの作品はハッピーエンドにはならなくて。選ばれなかった方は、とても悲しい結末を辿るんだけど。
この作品は、バッドエンドのその後の人生が既に作中に組み込まれているという点が本当に斬新なんだよね。これは読んで体感してほしい。

タイムリープが何度も出てくるから、時系列が割と複雑で、私も一回軽く読んだだけでは理解しきれていない。
普通に終盤は、トリックに騙されてしまったし。

そういう意味で、本当に読了後も嫌でも考えてしまう嫌な(良い)作品でした。早く読み返したい。(カバー裏に年表があるらしいんだけど、それも見ていなかった。)

絶対、一般受けはしないだろうけども。
秒速5センチメートルのほろ苦さを500倍に濃縮したビターな味。でも、忘れられない恋はそれでもなお手を伸ばしてしまうくらいには、甘くて酸っぱい。

私はそういう題材がどうやら好きと分かったので、他にもこんなマンガがあれば是非読みたいな。それこそ昔のノベルゲームとかに手を出せと言われそうな気もするけど。

何にせよ、読者の心に穴を空けるような作品って、しんどいけどたまらないね。という結論でした。


はい、ぐだぐだ書いてきましたが、これで以上です。
次からは普通に一作品一記事で書こう。うん。

それが読む側も書く側も、きっといい。




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