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フィンランド映画「枯れ葉」

先日、フィンランド映画「枯れ葉」を
観に行った。フィンランドが舞台の映画と
言えば、荻上直子監督の「かもめ食堂」と
「トイレット」を観たことがあった。
「枯れ葉」はアキ・カウリスマキ監督の
フィンランド人によるフィンランド映画で、
実は私はこの監督の映画を観たのは初めてだった。
名前は聞いたことがあったけれど。
カウリスマキ監督は2017年に突然引退し、
6間年のブランクが空いての久しぶりの
制作だったと、ネット情報で知る。

内容は、労働者の中年男女のラブストーリーで、
女性はわりとしっかりした人だけれど、
男性の方はどこか大人になり切れない
おっちょこちょいなキャラクター。
二人はカラオケバーで出会う。
視線を交わし、お互いに惹かれあった。
カラオケというのは、世界のマクドナルド
のように世界的に広まっているのだと
今更ながらに思った。

ラジオからは戦争の不穏なニュース、
生きていくためには厳しい条件下での
労働が必要で、そんな生活の中、
友人との会話やお酒などが慰めのひととき。
中年男女の二人はすれ違いながらも
最後はハッピーエンドに辿り着く。

特別な盛り上がりはないけれど、
ワンシーンワンシーンが絵になるような
映像で、それだけでも私はかなり楽しめた。
孤独や哀愁が漂う中でも、所どころで
クスッと笑えて重くもならず、
役者さん達のあまり感情的にならない演技も
よくて、好みの映画だと思った。

エンディングの歌が流れる中、字幕を読みながら
思ったこと、中年というのは四季に例えると
「秋」で、木々は赤や黄に鮮やかに色づく。
枯れ落ちる前の最後の輝きの時。
女優さんも赤い服を着ていた。
春に咲く若く瑞々しい花のような美しさ
ではなくても、様々な経験が積もり、
奥深いところからにじみ出るような、
それでいて鮮やかな輝きを放つ貴重な時。
冬はもうそこまで来ていても。
一度は引退したがこの映画で復活を遂げた
カウリスマキ監督自身にも重ね合わせて
思ったことだった。

50代の私としても、体が動けて時間が
あるときに、今できることを楽しんでおきたい。
人生の冬がきたらきたで、その時に
できることをと思う。

人気の映画なのか、チラシも無く
上映中なのにパンフレットも売り切れでした。



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