【SS】動かないボーナス/#毎週ショートショートnote
もうどのくらい前になるだろう。
「それ」は体の割に大きな頭をもち、4本足で歩こうとすると前のめりに転びそうになっていた。
それがふと気の毒になった私は、ボーナスのつもりで私は「それ」に2本足で歩く力を与えた。
手を使えるようになった「それ」は、次第に道具を使うようになった。
様々な道具は、時に他のものを傷つけたが、生きとし生けるもの達が互いに影響し合う軋轢の中では、ある程度は仕方のないことで私は目を瞑った。
「それ」は時に私を讃えるもの、私を喜ばせるものを作るようにもなり、私はその手遊びを楽しんだ。
そう、手遊び程度であればよかったのだ。
「それ」は、次第に己を弁えず、増長し、己が生きるため以上の物を求め、この世を動かそうとすらし始めた。
私が与えてきたのは、ちょっとした気まぐれのご褒美にすぎない。
これ以上動かそうとするなら、私にも考えがある。
これ以上のボーナスはもう与えられない。
「それ」すなわち「ヒト」が分をわきまえない限り。
(412文字)
開催ありがとうございます。
今回も参加させていただきました。
バタバタ慌ただしい中、なかなか投稿できず、やや焦っていました。
現実世界のボーナスは動いてほしいなぁ。
できれば上向きに!
切に願います。
ちなみに今日で60日連続投稿と相成りました。
およそ2ヶ月。
なかなか頑張って続いてます。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
何かしらでも、あなたの琴線に触れることができたのなら、サポートいただければ幸いです。 いただいたサポートはありがたく活動費(つまりは書籍費、笑)にさせていただきますね。