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まるで絵のような「石川九楊大全前期【古典篇】遠くまで行くんだ」上野の森美術館

何きっかけで知ったのかが思い出せませんが、学生の頃から気になっていた石川九楊。
2期に分けた大規模個展が開催されるということで心待ちにしていました。

上野の森美術館は初訪問。前は何度も通っているけれど、話題の展覧会が開催されて大混雑のイメージでなんとなく敬遠してた美術館です。
ちょうど来年の大河「べらぼう」の題字を担当と発表されたので、混んでるかなと心配してましたがそんなこともなく、ゆったり楽しむことができました。

大きな空間を活かした「李賀詩」の展示は、書というよりと絵のよう。近づいても文字が見えたり見えなかったりするけれど、筆の運びは感じられます。絵画としての鑑賞できて面白い。解説には元の文章が書かれているので、なんとなく文字を探すことはでき、詩の内容との関連性もわかる気がしました。

『源氏物語』は「雲隠」を含めた五十五帖の作品はそれぞれの帖の内容に合ったさまざまな書き方をされているので、源氏物語の話を思い浮かべながら見るとより楽しい。
本人の解説も読むとなぜこう書いたのかの一端を理解できた気がします。

「萬葉歌四首」は一文字ずつをマス目状にレイアウトされていて、これがかっこいい。ポストカード欲しいなと思ったけれど、これはなかったのが残念でした。

最後に展示されている「千字文」を盃1,000枚に綴った「盃千字文」は、お皿の色や文字の色、書の書き方が違っていて、これ欲しいな、あれはかっこいいなと考えながら見るのが楽しかったです。

「『書』といえば習字を想起するかもしれないが、『書』は『文字』を書くことではなく『言葉』を書くこと」ということが書かれていて、たしかに習字と書は違うことがよくわかる素晴らしい作品ばかりでした。
ホールで流れていたインタビューで「墨は黒ではなく影。だから濃い薄いがある」という主旨のお話もとても納得のいくもので期待以上の展覧会でした。
後期の【状況篇】も行くのが楽しみです。

源氏物語書巻五十五帖「若菜上」が使われたポスター

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