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思わぬ形でつながった音楽とスポーツ医学

 最近はずっと家にいて暇なので、大学の授業の復習を始めた。大学生だとテストで点を取って単位がもらえればその勉強は終わりという人が多いだろう。僕も去年まではそうだった。しかし、周りにはもっと将来を見越して熱心に勉強する友人がいて、このままじゃいけないと思って勉強しようと思った。そして何より、夢を叶えるために幅広い知識を身に着けようと思った。

 昨夜は前期に履修したある科目の復習をした。その科目は僕の所属するゼミの先生の授業であるため、他の科目より力を入れていた。昨日復習した内容は突然死に関するものだった。若年アスリートから、中高年にいたるまでの様々な原因疾患について学んだ。そのなかでもメジャーなものについて改めてインターネットで調べていると思わぬ情報を見つけた。それはロシアの有名な作曲家であるラフマニノフがマルファン症候群であった可能性があるというものである。ラフマニノフと言えばピアノ協奏曲第2番などで知られる有名な音楽家だ(「のだめカンタービレ」とかで聞いたことあると思う)。以前書いたことがあったが僕は12年ほどピアノを習っていたことがある。実力がそもそも不足しているのだがラフマニノフの曲の楽譜を見たときは「こんなの絶対弾けない!」と思ったのを覚えている。その最大の理由が音の開き具合だ。ピアノを習ったことがある人にはわかると思うが、彼の曲は平気で一度に10度(ドから1オクターブ上のミ)まで手を広げたりしてくる。僕は同年代の男性に比べるとかなり手が小さいのでピアノをやっているなかでそういった類の悩みには何度もあった。そのため、他の人は手がもっと大きいからできるんだろうと思っていた。しかし、そのマルファン症候群に関する記述で謎が解けたような気がした。

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 マルファン症候群とは遺伝性の病で解離性動脈瘤によって突然死をもたらす危険のある病気だ。心電図では発見できず超音波検査をしなければ見つからない。しかし患者には体格に特徴がみられることがわかっている。高身長、長い手足、くも状指、非常に柔軟な関節など、眼に見える形のものがほとんどだ。その特徴からスポーツ界ではバスケットボールやバレーボールの選手で見られ、NBAでは新人選手全員が検査を受けることになっている。

 ラフマニノフはというと、身長が2mに達し、巨大な手の持ち主で、なんと12度(ドから1オクターブ上のソ)まで押さえることができたという記述があった。さらに指の関節も異常なほど柔軟だったという。僕はここまで詳しくラフマニノフについて調べたことがなかったので驚いた。そして、初めて自分が過去に学んできた他分野が現在学んでいるスポーツ分野につながるという経験をした。おそらくピアノを習っていなかったら、マルファン症候群の症例として目に付くのは他の有名人であっただろう。スポーツ医学について学んでいなければラフマニノフの曲は自分の実力不足でできないと思っていただろう。

 このような経験は誰にでも起こると思う。「まさかこの分野とこの分野が!?」と思わぬ形でつながったりするのである。そうするとまた新たな面白い発見があったりする。僕は今回の経験から、改めて幅広い知識を持つことの良さを実感した。ただ広く浅くでいいわけではなく、広さに加えて深さもある程度は追及したほうがいいと思う。

 最後にラフマニノフのマルファン症候群はあくまで説であるため確証はありません。

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