ピアノ教室

先生のピアノ教室は
神社の横の道を通って
突き当たりの駄菓子屋を右に
それからしばらく真っすぐ
街灯がとぼしい真っ暗な道を行く
その途中、真っ暗な墓場がある

墓場の近くまで来たら、
足を速めて、
一気に駆け抜ける
横目に何も映らないようにして
半ズボンの小さな足で、
一気に駆け抜ける
大好きな歌をくちずさんで

やっとの思いで墓場を過ぎると、
ピアノの音色が聴こえてくる
今日もああ、いつものピアノの教室だ。
メガネをかけていて、髪が長くて、
指も長くて、とても細っそりした先生が
優しく笑って待っている。

今日は何を話そうかな?

「ピアノ教室」詩・山田正史

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