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【今でしょ!note#65】 ラベリングとワードチョイスが未来を変える

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、仕事の秘訣シリーズとして、ラベリング・ワードチョイス力は決して侮らずに、特に繊細に気を配るといいですよ、という趣旨のお話です。

何かを説明するとき、資料を作るときに、ラベリングとワードチョイスに意識が向いているかどうかで、分かりやすさ・伝わりやすさが格段に変わります。

ラベリングとは、"Laveling"ということで、直訳すると「ラベルを貼ること」です。
物事や事象に名前をつけて、その後詳しく内容を説明する手法で、ビジネスにおける意思伝達シーンでは、何かを構造的・論理的に伝えるのに役立ちます。

ワードチョイスは、"Word choice"ということで、言葉選びですね。ある物事を説明するときにAという単語を用いるのか、Bという単語を用いるか、という選択の話です。

私は、これまで仕事で色々な国の要職に就いている人に対して説明をしたり、講演をしたりする機会を多く持ってきましたが、各国共通でこの2つを意識することが本当に大切だと実感しています。


まずはラベリングで全体を構成する

文章を書く、説明する前に、最初にやると良いことは、これから伝えようとしている物事に関して、1 wordで構成を組み立てることです。
頭の中で階層図を作り、各階層の塊に対して名前を付けていくイメージです。

例えば、「私は春が好きです」という主張をするとします。

その理由を述べる時に、「春は暖かくなってきて、外に出かけやすくなります。花見のように外で集まってワイワイやるイベントも多くなり、私はお酒が好きなので、外で昼から飲めるのが楽しいです。また、暖かくなってくると、気分が上がりますし、日本では年度の切り替わりのタイミングでもあるので、新しい環境にいく節目でもあり、ワクワクするからです」のように説明したとします。

日常会話で話している分には良いのですが、ビジネスで端的に言いたいことを伝えるためには、相手の脳内メモリにどのように情報が展開されていくかを意識して、脳に展開しやすいような順番で情報を送り込んでいくのが重要です。

上の例では、「私は春が好きです」くらいの情報量であれば、はじめに伝えても伝わるでしょう。
次に「その理由は2つあります」と伝えることで、相手の脳内メモリに2つの箱が用意されます。
その上で、「1つ目はお出かけしやすいから、2つ目は気分上々だからです」とラベリングすることで、相手が用意した脳内の2つ箱に「お出かけ」と「気分上々」の2つの単語が箱に収まるんですね。

ここまで相手の脳内に理解の下地を作ってあげれば、「お出かけ」というラベルに花をつけていくイメージで、「暖かくなる」「花見」「外で飲める」みたいな情報たちがすんなり入ってくるようになります。

ナンバリングされている資料や説明は結構ありますが、番号が付いた箱に対して、記憶に残りやすいラベルが貼ってあることは少ないです。目にする文章や説明に対して、ラベルが貼ってあるか?の視点で見てみると、自然と意識できるようになります。

ワードチョイスで理解度が伝わる

ある文章の塊にラベルを貼る癖をつけることが大切ですが、その時にどのような言葉を選択するか。そこに、ある分野に対する知識レベルと読み書きのリテラシーが表れます。
決して、難しい専門用語を使うべし、と言っているわけではありません。

「この資料のレビューをお願いします」と言われた時に、「資料の内容を確認すれば(見れば)良いのね」という趣旨で受け取る人と、「資料の品質を保証するレベルでチェックが必要なのね」という趣旨で受け取る人がいるように、「レビュー」という言葉ひとつをとっても、組織や環境が違うだけで、解釈の仕方が異なります。

以前、海外のお客さんと仕事をしていたときに、担当レベルの人と資料内容の確認をする時に「Review」という言葉を使わずに「Confirmation」という言葉にしてくれ、と言われたことがあります。
「Review」は、上述のように「資料の内容に確認責任が発生する言葉だから」という趣旨であり、担当レベルでそんな責任は取れない、という理由でした。

このように、相手が異なる組織や、背景を持った人とコミュニケーションをとる時には、特に単語レベルで感度を上げておくと余計なトラブルを回避できます。

また、海外の幹部のお客さんに説明に行った時に「あなたはこの業務がよく分かっている」と言われたことがあります。
それは、単に質問に対する受け答えができたからとか、説明した資料がよく調べられてあったからというのではなく、ワードチョイスにかなり気を配っていたから、と捉えています。

海外の金融関係のお客さんと会話していた時に、「ある金融取引を監視する」みたいなニュアンスを伝えたかったとき、「Monitor(監視する)」ではなく「Supervise(監督する)」を選んだんですね。
Superviseという言葉を聞いた瞬間、お客さんの表情が明るくなり、深く頷かれたのを見て、「あ、いま伝わった!」というのがよく分かりました。

バックグラウンドの異なる人と話す時にはできるだけ平易な言葉が適切ですが、専門性が共通している人と会話する時には、あえてMonetary operationのようなキーワードを切れ味よく差し込むことで、自分の理解度を伝えることができます。

ラベリングとワードチョイスで未来が変わる!

このような実体験から、大袈裟でなく、ラベルとワードチョイスに普段から配慮することが、ゆくゆく大きな差になって表れることを痛感しています。
MonitorでなくSuperviseを選択したからこそ、そのお客さんは自分を信頼してくれて、何か困ったことがあると(私が金曜夜に日本にいても)「次の月朝にすぐ来てくれ!」と声がかかるようになりました。

先方の要人と信頼関係を構築できたからこそ、その分野の専門知識を直接教わる機会も増え、当時やっていた分野において、社内では第一人者と呼ばれるようになりました。

ラベリングは、相手の理解の順番に配慮する行為です。
自分が言っていることが格段に相手に伝わりやすくなるので、信頼感を得るためのコミュニケーションスキルとして身につけて損はありません。
人間誰しも「何を言っているかよく分からない」人に対しては、少なからずストレスを感じますから、「何が言いたいかよく分かる」人の方が信頼感を得やすいのは、明らかでしょう。

「たくさん説明すれば伝わる」は大間違いです。

「たくさん説明しなくても良いように、事前にたくさんの情報に対して自分でラベルを貼って、それを切れ味良い単語で端的に伝えようとする努力があるから伝わる」のです。

ワードチョイススキルを磨くには、普段から身近にあるものに名前を付ける癖をつけることをオススメします。
私の昔の上司でとても仕事ができる人は、何でもかんでもラベリングしてました。例えば、海外出張時に現地で使う携帯が複数あったのですが、小さくて黒い携帯は「チビクロ」、大きくて白い携帯は「デカシロ」みたいな感じです。

長い説明を要する事象や物事が目の前に転がってきた時は、チャンスです。
名前を付けて、他人に伝わるかどうか、日常のシーンから実験してみましょう!

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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