スタートアップとメンタルヘルス
こんにちは。コミューン株式会社代表の高田です。
先日、プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手が「うつ症状」を公表し、全仏オープンからの棄権を申し出ました。
本件では、事の発端でもあったプロテニスの世界における会見の意義が取り沙汰され、選手それぞれの特性を尊重した大会運営がされるべきでは?という論説がロサンゼルス・タイムズからは発表されています。
大坂なおみ選手の棄権は、わたしが持っていた問題意識にもタイムリーにシンクロする出来事で、コミューンにおける取り組みに近い部分があるな〜と思い、取り組みの背景や具体的なアクションをまとめることにしました。
みんながみんな自分ほど強くはない
わたしは2018年5月にコミューン株式会社を立ち上げましたが、この3年間で自分自身の考え方も大きく変化してきました。
私はかねてから、精神的に極めて健康で、安定していて、辛抱強く、ハングリーであることが自分の強みであると認識しています。
以前は、"他の人よりもアドバンテージが多少はあるかな"くらいの話だと思っていました。前職の外資コンサルでは、同質の方ばかりだった(生存者バイアス)のも影響しているかもしれません。
前職時代は、心のバランスを崩しお休みされる方などを見ると、心のどこかでは"気合が足りないのでは?"とか"体調管理も仕事だよね"と思っていました。
が、コミューンを立ち上げ、組織が拡大し関わるメンバーが増え、あるいは社外の知人の好不調を見聞きしたりする中で、どうやら自分はめちゃめちゃレアケースであるということに気づきました。
みんながみんな自分ほど強くなく、そしてそれは、甘えとか気合とかそういう話ではないのです。
スタートアップは大変なのはわかっているはず。そのとおり。だからといって、「メンタルマッチョイズム」でよいのか?
まず、どんなしごとも大変ですよね。"憂鬱でなければ仕事じゃない" って言いますし。
また、仕事じゃなくても大変ですよね。人には人の乳酸菌じゃないですが、人それぞれの地獄があると思います。
ただ、その中でもスタートアップならではの大変さ、というのもあると思います。
・いつ会社がどうなるかわからない、という構造的な不安がある
・求められる成長が組織レベルでも個人レベルでもかなり高い
・(多分)平均的な労働時間は多い
・組織制度が整っていない
・場合によってはガバナンスがちゃんとしていない
・常に人材不足なので、自分が欠けたら、、、というプレッシャーは大きい
...枚挙にいとまがありません。
これらに対して、「ストレス耐性があるひとがスタートアップに向いている」というメンタルマッチョイズムがあります。
個人的にはメンタルマッチョ側の人間ですし、言いたいことはわかるのですが、スタートアップという選択/働き方はすでに市民権を得ており、これらのカオスから生まれるストレスの処理を個人の責に帰すのはもう時代遅れで、組織として仕組みで解決すべきフェーズに来ているのでは?とわたしは考えています。
組織としてメンタルヘルス向上に貢献する経済合理性
こういうスタンスを取ると、やさしいとかそういう感情的な面で捉えられることがあるのですが、違います。
全て合理性の観点から見ています。
スタートアップの多くは、人材レベルが高まるほど付加価値量が非線形で高まるタイプのビジネスで、かつ求められるアウトプットクオリティが極めて高い環境で仕事をしていると思います。
ですので、強い方に安定して高いアウトプットを出してもらうことがめっちゃ大事です。
そして、強い方、ということは引く手あまたですよね。その強い方に2週間のサブスクを更新し続けていただくことが重要です。(ちょうど昨日タイムリーなツイートをしました)
ちなみに、「アウトプットに厳しい = ストレスフルでメンタルに来る」、「かんたんな仕事やゆるい職場 = ストレスフリー」のように誤解している方がたまにいるのですが、それは間違っています。かんたんなしごとだけど人間関係のストレス大きい、とか全然あります。(そもそも、アウトプットはコトの話ですしね)
私は、ベストは無駄なストレスがなく高いレベルのアウトプットが求められる環境だと思っており、それは実現可能だと考えています。
また、健康経営という言葉はご存知でしょうか。
平成26年に経済産業省が健康経営ガイドブックを制定し「健康経営優良法人認定制度」を策定したことから普及したもので、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながるという指針です。
ご興味ある方は調べていただければと思いますが、上記から抜粋すると、いくつも従業員等への健康投資が結果的に業績向上や株価向上につながる、という論を支持するデータがあることがわかります。
健康とは、からだのことだけではありません。企業として従業員のメンタルヘルス向上に貢献することは、合理性がある収益向上のための取り組みなのです。
コミューンでの具体的な取り組み
コミューンはグレートカンパニーを目指す、というプリンシプルを持っていて、クライアントサクセス、エンプロイーサクセス、ステークホルダーサクセスの3つの柱を等しく重要視しています。
一方で、足元の業績は強烈にグロースしていても、我々はまだまだこれからのスタートアップです。
そこで、コミューンの「超本質主義」というバリューに基づき、中期的な事業成長 / 収益向上のために、超本質的に考えたときにアクションをすべきポイントから優先的に従業員のメンタルヘルス向上に取り組んでいます。
具体的に取っているアクションはいくつもありますが、代表的なものは下記です。
コトとヒトの切り分け徹底の浸透
アウトプットに厳しい環境 = ストレスフルな環境だと思ってしまう方の多くは、コトとヒトの切り分けが得意ではありません。
当然100%きれいに分けられるわけではありませんが、訓練や意識により、コトに向かう議論ができるようになると、ヘルシーに仕事ができると考えており、コト思考の重要性があらゆる側面で訴求されています。
一方で、特にフィードバックする側に対しては、ヒト面への影響の配慮の必要性にも言及されており、バランスを意識しています。
心理的安全性プログラム
各人の仕事上の強み/弱みやMBTIテスト結果、価値観等について規定のフォーマットにまとめたうえで、仕事上で特に密に連携するメンバー / 上長と1hの1on1を行う。心理的安全性を担保して仕事ができるようにすることで、無用なストレスを減らす。
詳細はコチラ
「Direct to management」 slackチャンネル
ここに投稿されたslackは経営チーム全員が100%目を通し、なんらかの回答を行う、というslackチャンネル。実名でのポストはもちろん、google formと連携し匿名投稿もできるようにしています。これまでに2つの福利厚生プログラムがこのチャンネルを通じ実現されています。
保健室制度
コーポレートのメンバーが「保健室」となり、マネジメントやマネージャーには相談しづらいことがある場合には秘匿性を担保し対応します。
バディ制度
入社から一ヶ月間は同一部門内でマネージャーとは別に既存社員とバディが組まれ、細かいところを含めてわからないことは全て聞ける体制を整備しています。
シックリーブ制度
当人の体調不良はもちろん、家族やペットなどsignificant othersの体調不良の場合で、当人がシックリーブを取ることがコミューンにおける中期の生産量総量を最大化することに繋がる場合は対象となります。
隣部門のマネージャーとの1on1
入社後、隣部門のマネージャーと1on1が行われ、もし自部門内では相談しづらい事象が発生した際にアクセスしやすいように、顔なじみになっていただきます。
マネージャーの評価への「労働時間」の組み込み
労働時間がメンタルヘルスに与える影響は大きいという視点から、マネージャーの評価項目の中に、「メンバーの労働時間の長さ」が含まれています。
マインドフルネス講座
半期に1回、外部講師を呼んで~1.5時間のマインドフルネス講座を行っています。(自由参加)
色々取り組んでるのですが、何より大事なのは、マネジメントがメンバーのみなさんの健康をとても重要視していますよ、ということをしつこいくらいに伝えることだと思っています。
実際、週次の全社ミーティングでは、マネジメントの誰かしらは必ず"ご自愛啓発"をしています。
もちろん現行の取り組みが完璧だとは全く思っておらず、もっと磨いていく必要があると思っていますが、スタートアップに関わる方にとってなにかの参考になれば幸いです。
コミューンでは、働きやすい環境で、高いレベルの仕事をしたい方を募集しています。
コミューンが上記のような制度整備をしているのは、それだけレベルが高いアウトプットが求められる環境だから、とも言えます。
働きやすい環境で、高いレベルの仕事をしたい方にピッタリの環境だと思います。
また、先程も記載したように、まだまだこれからの会社ですし、制度が完璧だとも思っていません。
クライアントサクセス、エンプロイーサクセス、ステークホルダーサクセスを全て高いレベルで実現しグレートカンパニーを作っていくことに、主体的に取り組みたい方に向いていると思います。
コミューンではフィールド/インサイドセールス、カスタマーサクセス、デザイナー、エンジニア、人事、情シスなど、誇張でなく全職種で採用中です。
(オープンポジションもあります!)
ご興味持っていただけた方は、まずは気軽にカジュアル面談のお申し込みをお願いします!(下記からアクセス!あるいは私にDMでも大丈夫です^^)
ともにいい仕事をしましょう!
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