商社とメーカーの営業の違い

私は過去15年以上航空宇宙(防衛・宇宙)業界で、商社で働いていますが、10年少々前に数ヶ月ほど外資系メーカーで営業も行なった経験があります。サンプル数が少なく実体験からの話だけですが、そこでの比較論として、商社での営業職の仕事の進め方と、メーカーでの営業職の仕事の進め方の違い方には大きな違いがあることに気づきました。どちらが自分に合う合わないというのは人それぞれだと思いますので、今後就職、転職活動を考えている方の参考になれば嬉しいです。

1.メーカー

メーカーでは営業職といえでも、自社製品に精通し、かなりの部分の技術的な理解を持つことが望まれます。また、その理解がなければ技術部門と協調して提案活動を行う際など、会話が成り立たなくなります。メーカーは例えるならば、狭く深くです。マニアックなほどに技術的要素も含め、自分の部署が取り扱う自社製品に詳しくなる必要があります。仕事の進め方は会議が多いと思います。プロジェクトごとに週1ベース等で会議(電話会議、ウェブ会議)を営業部単独、または技術部を含め行なっていきます。会議が多いことに加え、担当する顧客訪問もありますので、自席で自由に使える時間は比較的に少ないです。ただ、会議は大人数で行うことが大半であり、自分が積極的に発言を行う会議は限られていて、私の経験した外資メーカーでは半分以上の会議は内職自由という環境でした。英語は海外工場とのやりとりがメインでした。顧客訪問時にはブランド力を背景にした強気の交渉ができるようになります。

2.商社

商社では、私が経験している輸入業の場合、複数の海外メーカーの代理店として国内メーカーや日本政府への提案、契約活動を行なっていきます。航空宇宙といっても製品は多岐にわたるため、知識はどうしても広く浅くとなってしまいます。メーカーでの営業職ほどに、マニアックなほどの技術知識は求められませんが、国内メーカーと海外メーカーが提示する技術的な内容を、どういうことが課題なのか等、会話にある程度ついていけるレベルの技術的な理解は求められます。商社は少人数うで仕事を進めます。また、会議はメーカーに比べて少ないため、自席で使える時間は比較的多いです。商社は黒子です。海外メーカーからの情報をいち早く国内メーカーへ伝える必要があるため、顧客視点で考えると午前中の早いタイミングで海外からの情報展開を行い、夕方に国内の顧客からきた要求でも可能な限り当日中に海外仕入れ先へ展開することが求められます。それらの作業には翻訳を伴うことが多いです。英語のやりとりは主に海外メーカーとの会議、または顧客となる国内メーカーを含めた3社間の会議(電話会議、ウェブ会議)になります。私の場合は外資メーカーでの勤務よりも商社勤務の方が圧倒的に英語を使う機会が多かったです。商社では右左の情報伝達だけでなく、自らが海外・国内での情報収集を行い、顧客への提案、海外メーカーへの新規提案を行います。また、それに加え、10年先を見据え、新たな仕事になりそうな可能性を感じる商権を取り込むような動き(海外メーカーの取り込み、時には投資を絡めせる)を取っていきます。

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