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年下君の誕生日を祝えた話

彼に誕生日を教えてもらってからというもの、どうやってお祝いしようかずっと考えていた。

どうやら楽しい場が好きそうなのでなるべく人数を集めて…と目論むも各所調整が難航し、申し訳なさでいっぱいになりながら「当日の実行は難しそうなので、もう少し後になってもいい…?」と聞いてみたりもした。

もちろん彼はいい子すぎるので、思いっきり謙遜しながら「みなさん忙しいだろうからいつでもいい、来年でもいい」と言ってくれたことで、こちらの気持ちはだいぶ軽くなったのだが。

(でも開催してほしいことに変わりはないんだな、と思って微笑ましくなったりもした)

というわけでいつ開催できるかわからない誕生日会を浮かせつつ、当日にはプレゼントだけでも渡そうとこっそり準備を開始。

最近の雑談から入手した彼が好きなもの、ハマっているものといった情報を照合して、ささやかな雑貨を用意した。
(先輩から受け取っても負担にならないような気軽なものを…)

ちなみに一言メッセージカードを添えようと思ったが、2、3枚手書きしてなんだかしっくり来なかったのでやめた。
これは無しにしてよかったなとなんとなく思っている。

さて、私も年下君も相変わらず仕事が詰まりすぎて目まぐるしい日々を送っていたが、ついに「誕生日の前日」を迎えてしまう。

その日は普通に仕事をこなして帰る気でいた。

そうしたらちょうどご無沙汰していた私の社内の仲良しが、「お暇なら夜ご飯でも」と誘ってくれたので、「ここだ」と思った。

その子と年下君は面識はなかったが、「私の仲良し」なので引き合わせたかったし交友関係を広げたがっていたので、まったく問題なしと勝手に判断。

さらに私と年下君の共通の仲良しもちょうど会社にいることが判明し、よしこれは今誘えるメンバーで、つまり私が好きな人たちだけで飲みに行けるぞ!!
と完全にスイッチが入った。

「みんなこの後ご飯行ける?」と声をかけると全員快諾してくれたので、「よしもう今日は店じまいだ行くぞ!!」と仕事を強制終了させて近場のお店に繰り出したのだった。

年下君は突然のお誘いにもかかわらずとても喜んでくれて、ほくほくで着いてきてくれた。

そこからは、時間を忘れて楽しく楽しくご飯を食べてお酒を飲んで話し込んだ。

次の日も仕事だったからなるべく早めに全員帰さねば…
と思いつつ楽しすぎてハシゴして気づけば深夜0時を過ぎていた。

ノリの良いメンバーなのでなんとなくこうなることは予期していたか、実は狙ってもいた。

そこでおもむろにみんなに乾杯を促し、「年下君、お誕生日おめでとう」と声をかけ、だいぶ粗いがサプライズバースデー的な演出に無理やりこぎつけたのだった。

年下君は照れくさそうに微笑み、その場にいたメンバーから「そうだったの?!」のリアクション。彼の誕生日を知っていたのはどうやら私だけのようだ。

年下君はもしかしたら、私がリアルタイムで誕生日を祝えるように人を集めて会を催したと思ってくれたかもしれない。

ごめんよ、本当は全部行き当たりばったりだったんだ。
でも、楽しい人たちが集まってくれて楽しい時間になって、それは君がいい子だから、みんなこうして帰らずにとどまってお祝いしてくれたんだと思うよ。

そうして盛り上がっていたら結局朝になってしまった。

びっくりした。

めちゃくちゃ遊んでしまった─。

ちなみに飲みの場で年下君の恋愛事情なども聞けてザワついたりもしたが、それはいったん受け止めて放置することに。
(かなりザワついたので後日向き合おうと思う…)

しかし年下君は本当に知れば知るほどいろんな過去や魅力があって、とても面白い人だなと再認識。これはますますみんなに愛されるだろうな。

結局始発まで遊び倒して解散し、数時間後にコンディション最悪のまま仕事場で再会。

互いにどう考えても二日酔い面で、他の人たちにはバレないようにアイコンタクトをとるのが少し楽しかった。

しかし平日のオールはきつい。
本当にきつい。

何をしても体調が戻らず、その日はまったく仕事に身が入らずに使い物にならなかった。

なんとなくタスクをこなして、あとは明日取り返そうと早めの帰宅を促して、彼と一緒に会社を出た。

この日はどうしても、彼と二人で帰りたかった。
途中誰にも会いませんようにと願いながら駅まで歩いた。

幸い誰にも捕まることなく駅に着いたので、帰り際に、用意してきたプレゼントを手渡すことに成功。

そう、朝帰りの後帰宅して「今日こそが誕生日当日だ」と、準備していた例のブツをカバンに入れて出勤していたのだった。

年下君は満面の笑みで「えー!!」と喜んでくれて、突如渡されたプレゼントをしっかり受け取ってくれた。
飲み会でお祝いは完了したと思っていたのだろう、プレゼントまで…と素直に喜んでくれて、またしても性格の良さを実感。

「帰ったら開けてね」と添えて、解散した。

しばらくして帰宅したであろう頃にメッセージが届き、以前伝えた好きなものを覚えていてプレゼントしてくれたことを感謝された。
いつもよりテンション高めのテキストだったので、かなり嬉しかった。

正直もっとしっかり諸々準備したかったが、最終的に喜んでもらえたので、慌ただしくも楽しくて良い時間だったなあと思う。

仕事のために最近一緒にいすぎてしまっているし、毎日彼への興味が深まっているので、惹かれすぎないように気をつけないと色々やばいぞ、という妙な危機感も覚えている。

距離感には本当に注意しながら、引き続き仲良くなれたら嬉しいことこの上ない。

仕事もそうでない時も漠然と「なんか楽しいな」と思えるようになったのは、間違いなく彼のおかげなので。

私は彼の良い先輩でいなくてはだ。

さあ、今日も働くぞ。

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