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ちょっと元気が出てきた年下君が、馴れ馴れしくしてくれて嬉しかった

峠を越えた年下君、だいぶ顔色も良くなり元気が出てきた様子。

出社すると「ちょっと見てほしいことがあるので」と隣にやってきたので、私も自分の作業をしながら合間に見てさしあげた。

その日は出社メンバーが少なくてフロアもがらんとしていたが、広いデスクに年下君と私二人。

別の席からの眺めはちょっと不自然かもしれなかった。
「なんでそこだけぴたっと隣なんだ」と。

最近「どうやら一緒に良すぎて(多分私が言い寄っていると)噂されているらしい」こともわかったので、また誰かにやいやい言われてしまう可能性もあったが、

普通に隣にいられるのが嬉しいので、どうでも良かった。

それでまた、いちいち年下君の距離が近い。

「あれ…なんかうまくできない」
と戸惑う年下君に
「それこうやるんだよ」
と自分の画面を指して教えると、すごく近くに寄って見てくれる。

マウスを動かすときに、お互いの腕と腕がぴとぴと当たったりもする。
年下君はもはや気にしていない様子だ。
(夏場で半袖だから素肌接触なので、流石に恥ずかしくて私からちょっと引っ込める)

ひと段落したので、
「じゃあそれ以降も同じ感じでやってみてね」
と指示して自分の作業に戻ると、

年下君は元いた席に戻るかなと思いきや、
「はい」
と言ったきりずっと隣から動かなかった。

なんだかブツブツ独り言を言いながら、黙々と作業している。

たまに「うわっ、また無茶振り来たよ!」とかそれはどう考えてもリアクションしてほしいやつだろうな…という独り言も発してくるので、「大丈夫?」とたまに反応を返しながら、ちょこちょこ会話もして。

なんだか隣にいることが自然なようで、これはなかなかメンタルに良い。

しかし、いいにおいがする。

この日の年下君、香水とは別のいいにおいがした。

私にはわかる。

これ、年下君自身のにおいなのだ。

年下君はたまに明らかに香水をつけてくるから、香りの違いがはっきりしているのだ。

ほどよく甘いものっすごくいいにおいが、隣から永遠に漂ってくる。

思い返せば昔めちゃくちゃ好きだった人が香水を使わないのにほんとにいいにおいで、「なんなんだこの人…!」とざわついたものだが、

「遺伝子レベルで惹かれる人からはものすごく良いにおいを感じる」
という定説は、あながち間違ってはいないのだろうなと思う。

年下君は本当に、いいにおいがするのだ。

もしかしたら誰にとってもいいにおいなのかもしれないけれど。

落ち着くなあ、本当に隣が心地よいなあ…

と思いながら作業を進めた。

途中、年下女子ちゃんが遊びにきてくれたが、
年下君はまだ本調子ではなかったため全然雑談に加わらず、絡みもそこそこに女子ちゃんは帰ってしまった。

(「年下君まだ疲れてるけど多分来週には復活してると思う、来てくれたのにごめんね」と後で個人的にフォローしに行ったら、彼女はもちろんわかっていてさすがマイガール…となった)

その後も、年下君はちょっと作業を進めては「見てください」と聞いてくるので、都度都度チェックしてさしあげる、を繰り返した。

スイッチが入ってその場でガンガン直してしまったが、
年下君が小さい声で「どんどん良くなっていく…」とつぶやいたのがちょっと面白かった。

なんとか年下君のタスクは完了したが、結構良い時間になっていた。

夜は新人さんのプチ歓迎会を行う予定だったので、参加者に声をかけて、ぞろぞろとお店へ向かう。

年下君にナビしてもらいながらの道中、なんとなく先頭で二人になって、そこでもたくさん話しながら歩けた。

激務から少し解放されて気楽になったのか、年下君の調子も戻りつつあって嬉しい。

到着したお店は、パツりすぎて幹事どころではない年下君に代わり私が行きたいところを予約したのだが、これがまあ素敵なたたずまいのお店で。

入店したらまず、新人さんを囲むようにして、まだあまり喋ったことのない人同士が近くなるように促して行く。

新人さんに色んな人交流してもらうことが最優先なので、自らあえて年下君と一番遠い席に座ってバランスを取った。

運ばれてくるおしゃれで美味しいご飯にいちいちみんなで歓喜しながら、よく飲んでよく食べてよく喋った。

新人さんもすごく楽しそうにしてくれている。

年下君は離れたところから「これもありますよ」と料理を持ってきてくれて、「これ釜石さん好きなやつなんですよ」と新人さんに教えてあげていた。

よく覚えてくれていますね…と少しだけ感動する。

ちなみに店員さんに一人、華奢で背が高くてサブカルな雰囲気の若いイケメンがいらして、新人さんと凝視しながらキャッキャできたのも楽しかった。

多分20代前半ぐらい、どこからどう見ても若者だが、漫画から抜け出てきたようなイケメンだった。

同席した年下上司が「釜石さん、連絡先聞きなよ!」と小声で促してくるのを「いくらなんでも若すぎるよ、コンプラ違反です!」と退けていたら、年下君が「それは気にしなくていいと思うけどなあ」とノールックで反応していた。

年下君、本当に私の「そういうの」に興味がない。
「関係ないんで」感が強い。

他の女友達(友達って言っちゃうが)の「そういうの」はある程度掘ってくれるのに、私の時はまったくだ。

多分あれだ、「身内のそういうの聞きたくない」という反応なのだろう。

ただいつだったか、年齢の話題になって
「私なんて…」的な反応をしたとき(流れ的にせざるを得ない)、

年下君は
「釜石さんよく年齢のこと気にしてますけど、感性が若いから喋ってても違和感ないし僕気になったことないですよ。とにかく気にしすぎ!」
とフォローしてくれたことがあり、優しい子だなあとは思う。

そりゃあ盛り上がったら友達のようにタメ口で喋ってくれるぐらいだもの。

(ちなみに見た目とかではなくて「感性」だそうです。感性。そうですか…)

なお年下君はというと、
自分の「そういうの」は、割とみんなの前で話してくれる。

その日の飲み会でも、
「出かけるより部屋でまったりおうちデートするのが好き」
「僕はずっと好きなのに、飽きられてフラれがち」
といった恋愛傾向をよどみなく語ってくれた。

多分元カノとかまだ好きなタイプだろうな、と考えながら聞いていた。

年下君が話し好きなのと、何かと振り易いこともあって、結局年下上司も新人さんそっちのけで彼に話題を集中させ、なんだかみんなで「年下君の取扱説明書」を読み進める時間になってしまったが、みんなすごく楽しそうだったので良い会になったと思う。

閉店時間を迎えたのでおひらきにして、駅までみんなでふらふら歩く。

帰り道に某大学の前を通ったら、年下君が
「大学生に戻りたい」
「大学生っぽい遊びしたい」
「大学生の頃彼女できなかったからやり直したい」
といった叶いそうにない願望を次々と口にしたので、「誰よりも感性が若いのは君だよ…」と言おうとして胸の内にとどめたりした。

年下君のモテエピソードも色々聞いてはいるけれど、どうやらそれは大学を卒業してかららしいです。

みんなほろ酔いの帰り道、年下君は完全に私に対してタメ口になる。

「駅まで行くならこっちじゃない?」
と私が言うと
「ちがうちがう絶対こっちだから!合ってるから!」
と口答えをし、

普通に話したつもりがうっかり一昔前の芸人の一発ギャグになってしまった時は
「それこうね!」
と完全再現した上で
「ていうか古い!釜石さんいつもそういうの絶妙に古い」
と年上のセンスを小馬鹿にし、

「そういえば◯◯といえばさ…」
と話し出したら
「釜石さんのそれ聞くの4回目!もう何回聞いたと思ってんのそれ!」
と牽制されてしまった。

調子、

戻ってきたじゃん…!!

新人さんが「そんな口の聞き方をしていいの…?」という不安そうな顔で見ていたので、「アットホームな職場です」と笑顔で返しておいた。

駅が見えてきた頃、時間は終電まで余裕があったけれど、さすがに新人さんを連れ回すわけにはいかないので、「二軒目行こう」は言わないでおこうと決意。

年下君、「今日はもう解散ですかね…」と心なしか名残惜しそうだったが、「うん、今日は帰ろう!」と解散を促して、みんなで「良い週末を〜!」と言い合ってそれぞれ帰路についた。

やっぱり年下君がいると馬が明るくなるし、同席したみんな彼のことが好きなのが伝わってきて、本当にハッピーな空間だった。

年下君も元気になってよかったな。

週明けきっとまた、飲み会での態度を粗探しされてなんか怒られるんだろうな。

貴重な意見だからちゃんと受け止めよう。

また近々違うメンバーでも飲もうね、と話しているので、きっとこの夏も酒まみれになりそうだ。

もっともっと一緒に時間を過ごしてとにかく仲良くなりたい。
「なんか居心地良いぞ」と思ってもらえるように、引き続き楽しい先輩を続けます。

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