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やる気スイッチがなかなか入らない

1人でいるけど、完全な自由ではない時間が、思いのほかある。

「3人子育てしてて、忙しいよね。大変だよね。すごいなあ」とよく言われるのだけど、2019年に離島に来てから、1人の時間がぐんと増えた。

長男次男は小学校、末娘は保育所へ。朝から夕方まで子どもたちが家にいないうえ、子どもたちは夕方帰宅しても外や友達の家に思い思いに飛び出していく。

朝から夕方まで、何をして過ごしているのか。島内には娯楽施設はあまりない。かといって、石垣島に出るフェリーは1時間におよそ1本なので、片道15分とはいえ、行く時間や戻る時間に縛られる感覚があって、それほど石垣島には出ない。夫が通勤に車を使っているので、車もない。1人の時間とはいえ、やるべき家のタスクはある。加えて、3人の子どもたちのプリントや集金袋、今は3人分の家庭訪問の知らせが届いてたっけ。子ども会、PTAの集まりもある。なんだかんだで、頭の中が、忙しい。

行ってみたいところやってみたいことはそれなりにあるけど、時間やお金を考えるとなんとなくしづらい。誰かに何かを言われたりされたりしているわけではないんだけど、どこか、緩やかに縛りつけられているような感覚がある。だから家にいる。それの繰り返し。

2019年に島に来た。神奈川での毎日幼稚園送迎、夕方公園、習い事、買い物……といった目まぐるしい日々から一転、カレンダーが真っ白な毎日になると、なんだか毎日眠くて仕方がなくなった。

気疲れが、眠気という形で出ていたと思う。

2019年から1年半、シェアハウスみたいな環境で家族5人暮らしていた。詳しくは書けないが、ある国出身の人がいて、部屋はそれぞれ独立コテージを使っていたけれど、キッチンが共用だった。3人の子どもがいて、キッチン共用は絶対に無理があるから、早く住むところを見つけよう、と夫と約束し、仮住まいの意識で島に来た。そのはずが、なかなかほかに住む場所が見つけられず、結局、2年弱暮らした。

この人が、言いたいことをはっきり言うし全く遠慮をしない人だった。さらに、その時の機嫌が顔や空気にはっきり出るタイプ。個性もあると思うけれど、生まれ育った文化がそもそも違う。こちらの察してほしい、、、がことごとく通じない。

でも、私ははっきりと言えなかった。庭でその人がペットをよく放し飼いしていて、うちの子たちが怖がって庭に出られないことがよくあった。その時に、「吠えちゃってごめんね。押さえておくから今通っていいよ〜」とか、ペットの行動に申し訳なさを見せてくれればまだいい。

でも、「大丈夫だから!通っちゃいなよ」と、怖がる子どもたちを責めるかのように言う。飼い主にとっては大丈夫でも、怖がっている子どもに対して、私たち親が「大丈夫だから!」と言うならまだしも、飼い主が言うのはなんなの……?もう少しこちらに気を遣ってくれない……?そんなことの繰り返し。

子どもたちは色々お構いなしに過ごすので、たまにその人から怒られていた。私は子どもたちの言動を見てハラハラしていたし、こんなに気を遣っているのに相手は遠慮なしなので、しんどかった。はっきり言わない自分が良くない部分があるのもわかっていた。でも、どうしても言えなかった。

子どもたちが怒られるのを見るのも苦手だった。子どもたちは意外と怒られてもケロッとしていて、特に末娘なんかはわりと懐いていて、一緒にクッキーを作ったりしたこともある。悪いことばかりではない。

でも私は、いつ怒るかわからない人が近くにいるのが、自分にとって大きなストレスになるんだと、このとき初めて気づいた。大人になってからすぐ怒る人が近くにいることなんてあまりなかったからなあ。終始そんな出来事の繰り返しで、私はどんどんその人へ苦手意識を強めていった。

それでも、その人は全く気にする様子がなく、逆に尊敬の気持ちを抱くほどで。引っ越したいけど住める家がそこしかない。石垣島に出たいくらいだったけど、子どもたちは転校は嫌だと言う。なんだか、1人だけ我慢しているような日々で、なんとか前向きに過ごそうとしていたけれど、こうして書いていると、どろっとしたその時の感覚が蘇ってくる。

振り返ってみると、仲の良い自分の実家でさえも、泊まるのは1週間が限界だな……と思うくらいなのに、シェアハウス的暮らしを楽しいかもなと好奇心でしてみた自分を殴りたい。正直、かなりしんどかった。お互い気遣いしあえるならまだよかったのかもしれないけれど。

人のイライラを影響受けないように、体の周りに膜を張るイメージをする、とかしてしのいでた。自分の不器用さを知り、子どもたちのたくましさに助けられた2年弱だった。

そんな日々の中、2020年から在宅で仕事を始めた。その間に、同居人は引っ越していき、私たち家族も島内で引っ越して生活しやすくなった。

でも、2021年末頃から、仕事も、家事も、やる気が出なくなってしまった。何もしたくない。ただただスマホで漫画やサイトを読む。YouTubeで推しを見る。そんな日が増えている。

このままでいいのかな。でも私だって、26で子ども産んでからずっと走ってきたし。その間に転勤は2回。引っ越しは4回した。子どもたちが帰ってきたら忙しいし。夫は夜遅いし。誰もいない時間くらい、のんびりさせてよ。

いやいや、こんなダラダラした親の姿、子どもたちだって見てるよ。子どもたちも将来ダラダラした人間になっちゃうよ!夫はずっと働いてるんだよ?

いつも、こんな声が頭の中をかけめぐっている。うるさいうるさい!はあ、世の中の在宅ワークやフリーランスの人たちはどうやって自分を律しているのだろう?

一度仕事リセットしようかな、とよぎるけれど、自分に収入がない専業主婦時代の負い目もなかなかなものがあったし……と思うとそこまで思い切れない。ああ、また、誰にも何も言われていないのに、緩やかに自分を縛っているなあと思う。

そんなことを考えていたら、最近お世話になっているボディーワーカーさんから、たまたま、教えてもらったことがある。

やる気スイッチは、人間にないんだよね。体を“その形”にすることでやり始められるの」(例えば、パソコンに向かう、ノートを開いてペンを持つなど)
やる気が出るのを待ってたら、人はなかなか始められない。だから、休み明けにやる気出ないときは、休み明け3日はやる気が出てもやらないぞ!と決めてから机に向かってみるといいよ。やらない!って思ってたら、だんだんやりたくなったりするからね」

何もしたくない、やる気が出ない、と思っていても、机に向かってやり始めると気づいたら1時間経ってる。この感覚は今までも何度も体感していて、おそらく多くの人があることだと思う。

こうして改めて言葉にして人から言われると、「確かに」と、自分のなかにスーッと浸透してきた。さらに、「やらないぞ!」と決めて机に向かう、そのめんどくさい感じ。ひねくれている自分には合ってるかもしれない。

そんなことを思い、今夜は子どもたちが寝た後にこのnoteを書いている。

子どもたちに、大人って楽しいよ!ってところを体現したいなと、ずっと思ってる。もうすぐゴールデンウィーク。さて、どうやって過ごすかなあ。

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