遠足の朝、3人の子どもたちがめちゃくちゃスムーズにお弁当を作った

遠足の日の朝。遠足といえば、お弁当。げんなり。おっと本音が出てしまった。

子どもたちが通う島の小学校は、児童生徒の人数が多くないので、小学生全員で遠足に行くという。今年の行き先は石垣島で、昨年は西表島、一昨年は小浜島だった。贅沢な遠足!!!

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(画像:やいまタイムスHPより)

小6、小4、小1の3人分のお弁当が必要だ。家を出発するのは7時半。今は6時半。さあ、作り始めるか。

炊飯器を開けて、炊きたてご飯をボウルにたっぷり入れてテーブルに置く。「何のおにぎりが良い〜?」と声をかけると「ゆかり!」との返事。ゆかりと、海苔と、ラップを出して、「おにぎり作ってね」と、あまり期待せずに伝えると「わかった〜」と良い返事が聞こえる。

いそいそと3人の子どもたちがおにぎりを握っている。朝ごはんとしておにぎりをたまに食べている。自由な朝ごはん。

「え、みんなおにぎに食べながらにぎってる……」少し前までは、私がそばにいて一緒に作ることばかりだったが、子どもたちだけでも作るんだ。戸惑いつつ微笑ましく眺めつつ、子どもたちからリクエストのあった唐揚げ用の鶏肉をぶつ切りにして、しょうゆとお酒をもみ込む。下味をつけている間に、卵焼きの準備を進める。

「卵焼き作りたい人〜」

何気なく声をかけると、「あ、俺作りたい」と、6年生の長男がやってくる。卵液を卵焼きフライパンに流しこみ、おぼつかない手つきで巻いていく。どっしりとした、ちょっと焼き色のある卵焼きが出来上がった。「やるじゃん」ちょっと誇らしげな長男がかわいい。

4年生の次男は「俺は唐揚げやりたい!!」と言いやってきた。「俺唐揚げ揚げるの好きなんだよねー」と、唐揚げを油に落とし、しばらく待ち、バットに取り出す。今まで何度か唐揚げを揚げているので、慣れたものだ。

さて、冷凍枝豆とミニトマトを出して、一通りおかずの用意ができた。おかずとお弁当箱をちゃぶ台に並べて、詰めなきゃなーと思っていたら、1年生の娘もふくめ、3人の子どもたちがそれぞれの弁当箱に詰め込み始めた。私が水筒にお茶を入れている間に、お弁当袋に入れるところまで終わり、準備は万端。

「行ってきまーす!」
「楽しんできてね!」

完成したお弁当の写真を撮る間もなく、3人が出発した。

子どもたちを見送ったあと、じわじわと込み上げてくる。「え、お弁当作り、めっちゃスムーズだったよね?え〜、すごい」感激する。

「この子達はきっと自分たちで生きていけるね」と、夫に興奮しながら話しかけた。子どもたちの自立が見えてきたように思い、嬉しくなってきた。

どうして、こんなにスムーズに朝からお弁当を作るようになったのか。子どもたちが小さな頃を思い出した。

長男と次男は、神奈川で暮らしていたとき、毎日お弁当の幼稚園に通っていた。「毎日お弁当」と言うと周りの人から驚かれたし、実際暮らしていたエリアでも「その幼稚園はお弁当だから選ばなかった」との声も多く耳にした。でもね、当時は長男年少、ちょうど正社員ワーママだったのが、退職して専業主婦になり、保育園から幼稚園に転園したタイミングだったんだ。長男といくつかの幼稚園を見学して、「ここがいいな〜」と言ったこと、目の回る忙しさだったワーママを卒業したことで、お弁当作りもやれるやれる〜!!と思っちゃった。

料理を頑張ろう、時間ができるだろうし、ものづくりを趣味にしちゃう?と思ってミシンを買ってみたり。ミシンは結局、入園のときに使ったっきり。あるあるだよね? 産後ハイならぬ、退職後ハイ状態。

お弁当作りも料理も好きにはなれなかったけど、意外と毎日のお弁当は慣れればそれほど大変ではなかった。島に来てからも、末娘の保育所は毎日お弁当だった!!!

▲滅多に作らないキャラ弁を作ればここぞとインスタに上げる私

いつも同じようなものばかり詰めていたし、冷凍食品を頼ることもあったけれど、振り返ると、7年もお弁当を作ってきたんだな〜。

子どもたちの通う学校では、年に一度、自分たちで作ったお弁当を持って登校する「お弁当の日」がある。自然と息子たちは張り切って用意するし、今回の遠足でも同じように「何か1品作ってみよう」と学校の先生から声掛けがあったらしい。遠足から帰宅した息子たちが「◯◯はあれを作ってきてたよ〜」と、友達どうしで何を作ったのか話したようだった。

わが家の子がお弁当をスムーズに作ったことに驚いていたけれど、島の子達、みんなしっかりしている……!!!

あともう一つ。

今小6の長男が赤ちゃんの頃から、キッチンの入り口にベビーゲートをつけずに自由に出入りさせていた。私が料理する足元にまとわりついて、時にパンを握らせたりしつつ、料理するところを見せていた。1歳を過ぎたらレタスをちぎるなど、少しずつ料理を一緒にするように。

子どもと台所に立つようになったきっかけは、子育ての著書を多数出している河村京子さんの『自立心と脳力伸ばす 親も楽しむ後ラク子育て』で「キッチン子育て」を勧めているのを面白そうだと感じたこと。さらに、子どもがどんなことをできるのかな〜というのは、坂本廣子さんの『坂本廣子の台所育児』を参考にした。

『台所育児』にも書いてあったけれど、子どもは大人が思うよりも全然、怪我をしない。ちゃんと道具の使い方を教えてあげれば、器用に使いこなす。

切れない包丁はかえって危ないと聞き、息子たちが幼稚園生の頃に、それぞれ名前を彫ったよく切れる子ども用包丁をプレゼントした。

▲末っ子の娘は2歳で包丁を使いこなしていた

将来は私の家事が楽になることを大いに期待して、下心を待ちながら、子どもたちがなんでもやりたがる幼児の間にたくさん一緒に色々なことをした。

「あー!小麦粉ひっくり返った!!」「牛乳またこぼれたーー!!」

基本ワンオペ、阿鼻叫喚の毎日。

「もうっ出て行く!!」

疲れているときに子どもたちの喧嘩やかんしゃくが重なって、家の外に飛び出した日もある。(今もたまに。近所をぐるっと散歩して帰るのだ)

コンビニも、ファミレスも、レトルトだって使ってきた。「専業主婦なのにな……」とよぎることもあったけど、自分をたまには甘やかした。

子どもが3人になり、理想通りにはいかないことばかりだ。やはり思惑は少し外れて、息子たちは、漫画やパソコンが好きで、片付けがちょっと苦手で、気づくとだらだらして親に急かされる、子どもらしい子どもたちになった。料理も、ふだんはそれほどするわけではないし、カップラーメンやマクドナルドが大好きだ。子どもたちへと購入した子ども用包丁は、小さくて使い勝手がよく、今や私が日常的に愛用している。

でも、全員小学生になった遠足の日。私があれこれ言わなくても、あまりにスムーズにお弁当を作った子どもたち。息子たちが小さいときに少し頑張ってよかったのかも、報われたような気持ちになった。自分をちょっとほめてあげよう、と思った。

私が在宅で働くようになり、子どもたちと料理やお菓子作り、ボードゲームなど、何かを一緒にする時間がかなり減っている。でも、いつまで子どもたちと同じ家で暮らすのかはわからない。今自分にとって大切な時間は何なのか。お弁当作りから、改めて見つめ直したくなった。

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