都会から離島の小学校に転入して思うこと
2024年現在、「不登校」と呼ばれる子どもたちが、30万人にも及んでいることが連日話題になっています。
2020年に、日本の子どもの幸福度に関する野本響子さんのこちらのnoteを読んだとき、わが家の子どもたちが通う離島の学校について皆さんに届けたいと思い、このnoteを書きました。ひとクラスの人数を、今よりも減らすだけで随分と色々な状況や先生の負担などが変わるのではないでしょうか。
こちらの投げかけを見て以下のツイートをしたところ、ぜひ読んでみたいと返信をいただきました。
神奈川→全校30名の離島の小学校へ転入
わが家には小学4年生長男・2年生次男・年中長女、3人の子どもがいます。今は沖縄県の離島にある、全校30名に満たない小学校に通っています。2018年に横浜から引っ越したとき、長男は3年生に進級、次男は入学直前でした。引っ越した当初から、楽しそうに通っています!
「今日本の学校に楽しく通っていますよー」のひとつの例として。
離島の学校の様子を知りたい、と言っていただくことが多いので、子どもたちの学校生活の様子をご紹介します。
子どもたちが通っている小学校の特徴を書き出してみます。
小中併設校かつ複式学級での学習
複式学級とは2学年の子どもを1つにした学級のことです。授業は教室の前方で1年生、後方で2年生、という形が教科によってはとられます。ただ、先生同士で連携することで、中学校の先生が理科や社会を担当するなど、なるべく1学年ずつの授業になるようにしているようです。小中併置校の利点を活かして教育が行われていると感じます。
昨年度長男が3年生のとき、理科は中学校の先生から習っていました。長男は図鑑や伝記(特に科学者など理系の歴史人物)が好き。学校で理科の先生とお話したときに「色々なことを知っていますよね~」とおっしゃっていただきました。人数が少ないため、自然と会話やコミュニケーションが増え、一人ひとりのパーソナルな部分まで感じとってもらえていると思います。
また、行事は小中学生全員で取り組むことが多く、団結はしつつ、お互いの個性を尊重しながら行っていることが印象的です。何より小学生を引っ張る中学生たちの自主性や責任感、企画力、人の前で話すプレゼン力に感心する場面が多くありました。
環境のすばらしさ
全面芝生の校庭や、豊かな自然環境はやはり素晴らしいです。体育館にアカショウビンが迷い込んできたり、オオゴマダラのサナギ(黄金色で珍しい)が校庭で見られたり、天然記念物や固有種など生き物も多く見かけます。
家の前で見かけた、天然記念物のセマルハコガメ。
放課後や休日は海に自転車ですぐに行くことができます。
息子たちに学校どう?とインタビューしてみたところ
という答えが返ってきました。子どもらしい(笑)。
地域の温かい目
神様や伝統行事を大切にしている土地で、地域の絆が強く、行く前は他の地域から行くわが子たちがどう迎えられるのだろうか、という心配が少しありました。ところが島には「子どもは宝」という考えが根付いています。
近所の方に会うと
「〇〇くん、毎朝ここの前を元気そうに歩いているよ」
「〇〇くん、放課後自転車ですごいスピードで走ってたね!」
と声をかけていただいたり、入学式、運動会、卒業式などは、島内放送が流れ、地域の方がたくさん見に来られます。(今はコロナウィルスで難しいですが)
海に囲まれた離島なので、海洋教育や地域の文化についての教育などは地域の方が率先して関わります。島で運行されているグラスボートに子どもたちが乗せてもらったり、伝統的帆船の「サバニ」教室があったり、地域をあげて子どもたちを応援していることを感じます。
学びは従来型の学び
あくまでも授業内容は日本の学習指導要領に沿っていて「自由な学び」なわけではありません。ただ1クラスの人数が一桁、という人数の少なさのため、一人ひとりに手厚く行き届く面はあります。
こちらでも4月から5月に約1か月の休校期間がありました。この間はわが家の子どもたちは、ほとんど人に会わない島内を散策したり、誰もいない浜でヤドカリのお城を作り続けたり、好きな絵を描いたり、家でも外でものんびり自由に過ごしていました。
学校からの課題は子どもたちと話し合い、家庭の判断で量を調整させてほしいとお願いし快諾していただいたので、好きな遊びや必要と感じた学びをしていました。
その反動かわかりませんが、学校が再開してから長男も次男も週に1,2度「頭がくらくらする」と言って休むことがあります。こういう姿を見ると、自由で主体的な学びができる場など、より本人の学び方に合う教育環境があるのかもしれない…と思うことはあります。でもたまに休むことで、自分のバランスを取っているように感じています。
自然の中で育まれる感性
習い事や部活の選択肢、科学館や美術館などの体験は都会に比べて少なくなります。それでも、豊かな自然の中でのびのび過ごせる子ども時代は、東京育ちの私から見てかけがえのないものだと感じるし、不便な暮らしの中で工夫する力などがついていると思います。
私の好きな本に、アメリカの作家で海洋生物学者であったレイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」があります。センス・オブ・ワンダーとは、レイチェルによると「神秘や不思議さに目を見はる感性」のこと。作中に次のように書かれています。
自然の神秘に触れられる環境は、不便さを補って余りあると感じています。
一方で、コロナウィルスの影響でオンライン学習の幅が広がり、離島にいながらオンラインであらゆる授業を受けられるようになりました。これは思ってもいなかったことです。長男は探求学舎のオンライン通塾に参加しています。日々新しい学びや気づきをいただいています!
学校と保護者、地域が連携して子どもたちのことを見守り、自然が豊か。さらに今はオンラインでさまざまな学びの機会が得られます。
子どもたちを見ていると、来てよかったな、と思います。
この話には続きがあります。コロナ禍の一斉休校の時期に、島を駆け回り、家ではパソコンのプログラミングに励む、という暮らしを続けた子どもたちは、休校明けから学校がある日になるとめまいを起こして行けない日が増えました。この敬意や、そこから中学校選びに奔走した日々のことも書いています。
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