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【詩】昔からずっと雨が好きだった

帰ってきて、部屋にいる
雨が降ってきたようだ
窓を開け放っているので
雨音が部屋を満たす
さらさらとした均一な
ノイズが心地いいのである
小さい頃は漠然と
「地球も泣くんだ」と
思っていた
泣いてもいいのだという安心を
雨から勝手に受け取っていた
遠くで車が走り抜ける
大粒の雨はどこかに衝突しアクセントを奏でる
雨雲が通り過ぎてしまったのだろうか
デクレッシェンドして行く
と思えば急にクレッシェンド
どこかの玄関の閉まる音
誰かが通り過ぎる足音
この前の帰り道
下水の音で満たされていることに急に気がついた
あの時の月、綺麗だった
この雨もきっと
止んでしまうんだろうな
昔からずっと雨が好きだった


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